山岸先輩の資産力
日間35位ありがとうございます!
僕は気持ちが昂ぶって部活に集中出来なかった。(けどいつも以上には動いた)そして部活終了後。
「着替えた後、裏の門で待っていてくれない?」
少し恥じらった顔をしていた。僕はつい興奮しつつも平静を装って、はいと返事をした。そしていつもの様に帰る道を通り、門の前で先に待っていると山岸先輩が来た。あまり彼女の制服姿は見たことなかったが、紺のブレザーに背中まで伸びる黒髪とその容姿が妖艶な魅惑さを放っていた。ミニの制服指定の紺のスカートにハイソックスでムチッとした太ももはユニフォームの時とは違った魅力を発する。
「行きましょうか」
「はい!」
彼女の後ろを歩く。家に行くのは始めてだ。かなり緊張する。後ろ姿も綺麗で髪が風になびいて良い匂いがする。僕はその匂いに気を取られ夢心地良い感じになる。
「……君。小谷君っ」
「は、はいっ!」
「隣を歩いて……」
「え? しかし……」
「構わないわ」
「あ、はい」
そして彼女の隣で歩く。これじゃあまるで……、
「まるで恋人みたいね」
彼女はふふっと笑い、僕はドクンと鼓動が高鳴る。どんな顔しているだろうか、顔が熱い。
「クラスで小谷君はどんな感じなの?」
「え? 静かに暮らしてますよ」
「そうなのか。友達はいる?」
「えぇ、まぁ。いますね」
「そうか。それは良かった。部活は楽しい?」
「まぁ大変ですが、楽しいです」
「そうか。小谷君の趣味は何?」
「僕はやっぱり小説ですかねーっ」
「そうかっ! 私も好きなんだ」
「え!? そうなんですかり!?」
「あぁ、どんなの読むんだい?」
「歴史物、推理物ですかねーっ」
「あぁ、一般小説か?」
「あ、はい」
「そうか……」
「どうかしましたか?」
「私はライトノベル系だから」
「あ、そうなんですか?」
「いやー、恥ずかしいなっ」
「いえいえ、そんなことないですよ。けど意外です。先輩堅いイメージあったので」
「そうかな?」
「はい、そうです」
僕達は笑いあった。
「半年以上過ごしてきてまだまだお互いの事しらないようだ」
「えぇ、そうですね」
そして彼女は歩くのを止めて、僕の正面に来た。
「どうしました?」
「私は君のことが知りたい」
ドキッ。
「君はどうだい?」
「僕はですか?」
僕は……と言おうとした時、ふと香織が過る。
(? 何だ今の?)
「……」
「……」
「まぁ、おいおいで良いよ」
「え、あっ……」
それから何分歩いただろうか。お互い軽く話していると、
「着いたよ」
「あ、はい。あっ、ここですか?」
少し大きいが意外と普通の一戸建ての家だった。確かに表札は『山岸』と書いてある。あれ? おかしいな、噂ではかなりの金持ちと聞いたことがあったのだが。
「入ろう」
山岸先輩がガチャッと門の扉を開けた時、
「駄目ーーーーーっ!!」
と声が響いた。びっくりして見るとそこには香織がいた。
か、香織!?
彼女はつかつかと急いで歩いて来た。
「君は……」
山岸先輩は香織を見て、香織は山岸先輩を軽く睨む。
「あぁ、そうか。君が望月さんか」
「はい。いつも部活で洋平がお世話になってますっ」
お互いがじーっと見合っている。ところで……と山岸先輩は言う。
「何しに来たの?」
「それはこっちの台詞です。もう夜になるというのに、男子の後輩を家に招いてどうするつもりですか?」
「……」
「……」
何やら二人は険悪な雰囲気を出している。怖いなーっ。
「まぁまぁ二人とも。落ち着いて……」
「一体誰のせいよっ!?」
香織はかなり怒った顔で叫ぶ。彼女がここまで怒るのは久しぶりかもしれない。
「帰るわよ洋平っ」
「え、あっ……」
香織は僕を引っ張る。
「ちょっと待ちなさいっ」
山岸先輩は僕達に声をかける。香織はぴたっと止まり、
「何ですか?」
「貴女も家に上がりなさい」
僕と香織はお互いを見合って不思議そうな顔になる。
「どうしてですか?」
「見せたい物があるわ」
「……分かりました」
そして僕達は山岸先輩の家に入り、廊下を歩くと真ん中にエレベーターがあった。僕は不思議に思い、
「どうしてエレベーターが?」
「うちの家、実は地下6階まであるの」
「え!?」
そしてそれぞれの階に軽く連れて行って貰い、そのあまりの部屋の広さと量に驚愕した。一階の廊下に戻ると、僕と香織は無言になった。
「どうだったかしら?」
「……」
「……」
凄くて言葉が浮かばなかった。しかし香織はあまり怖じけずに彼女に訊く。
「どうして私にも見せたんです?」
それはもっともな質問だった。どうして彼女は香織にわざわざ見せたのか?
「それはね……」
山岸先輩は笑いながらこう言った。
「……貴女がライバルって言ったら分かるかしら?」
「!」
「?」
「まだ彼には言ってないから伝わってないと思うけど、貴女には伝わったと思うわ」
「……」
僕には何のことかさっぱり分からなかった。
「じゃあね、また学校で会いましょう。またね、小谷君っ♪」
そして僕達は彼女の家から出て行った。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
ブックマーク、評価頂き励みになります。