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ニンニクと卵料理の効果

「なんだ、小谷。 一人で運動会でもするのか?」


 昼休み。美馬がそんなことを言う。いやいやそんなことしないよ。しないけど……、この重箱を見たら無理もない……か。確かに僕の好きな肉じゃがとかしょうが焼きが入っている。美味そうだ。しかし、相変わらずニンニクと卵料理が多めに入っている。


「すごい量だな」

「まぁ、食べてみる」


 味は美味しいからどんどん食べられる、昼まで寝かせたせいか良い感じにしゅんだ肉じゃがの色が美味しそうだ。しょうが焼きもしょうがが適度に効いて美味しい。食べられる、食べられるけど……多いな。そして僕はなんとか頑張って食べ切った。


「お、なんとか全部食べたか」

「あぁ、何とか……」

「後、10分で昼休み終わる所だったな」

「もうそんな時間か」

「苦しそうだな、大丈夫か

?」

「まぁ、何。動くまで時間がある。2時間も経てば大分消化しているだろう」


 そして席に戻って机にうつ伏せが出来ない。お腹が張って椅子にもたれる。全く、香織の奴めーーっ。ちらっと彼女の方を見ると目が合う。笑っている……。少しムッとする。くそっ、僕が苦しんで楽しいのか!? しかし苦しいのは1時間程だった。次に来たのは……、

(体が熱い……)

 うちの高校は部屋にエアコンが完備しており涼しいはずなのに、僕は体内から熱を感じ、それが徐々に増していく。体はぞんぞんしないから風邪ではないだろうが、何だこの熱さは? かなり変だ。熱い熱い熱い。体内からどんどん熱が発生するのを感じる。くそっ、香織の奴! そして僕は香織をちらっと見る。彼女は自分の髪を柔らかく触り耳にかけた。なぜかいつもより艶めかしく感じ、ドキッとする。はっ。な、何で香織にドキッとしてるんだ? 顔を左右にぶんぶんと振る。

 そして放課後。SHRが終わり僕は机に項垂れていると、洋平と声がかかる。


「な、何だよ」

「どうだった? 今日のご飯は?」

「……美味しいけど、量が多い」

「そうかしら?」


 彼女はきょとんとしていた。いや、多いだろ明らかに!? 運動会かよ!? 僕は軽く香織をじーと恨めしげに見た。一方彼女は笑ってずーと僕を見つめてくる。

 ムラッ、と体の下の方から来た。えっ、ちょっ、え!? まさか香織に欲情してるのか!? 僕はそうなることになるのが信じられなかった。今まで異性として見たことなかった香織を始めて異性として感じてしまう。

 そして香織は不思議そうな顔でぐっと近づいてくる。

 ムラムラッ。

(こ、これはヤバイ!!)


「じゃ、じゃあ香織! 部活があるから、じゃっ!」

「あ、洋へ……」


 僕は急いで体育館へと向かう。走りながら思う。

(やべーーっ。香織を見てムラッと来るなんてーっ! どうなってるんだ僕の体ーーっ!)

 そして体育館に着いた時はもう既に準備が始まっていた。


「もう遅いよ。小谷君」


 山岸先輩が叱責する。


「はい、済みませ……」


 彼女はバレーのユニフォームを着ている。


「え? 先輩どうして、ユニフォームなんですか?」

「なぜってもう少しで大会があるからよっ」


 彼女はユニフォームを着ているせいか、かなり体のラインが分かり、少しムチッとしている。太もももいつもより艶めかしく感じる。

 ムラムラッ。

 あーーーーっ。やべーーっ!!


「僕急いで着替えて来ますので!」


 そして男子更衣室へと向かった。

(やべー、何だこれ!? いつもと調子が違う。今日は何でこんなにも女子を見ると欲情するんだ!?)

 自分ではなぜこうなるのか分からなかった。そして部活が始まり練習に意識的に集中した。しかし休憩になると、キョロキョロと女子の方を見てしまう。そして部活終わり、片付けをしていると山岸先輩から声がかかる。


「小谷君」

「山岸先輩」

「やけに女子の方を見ていたが何かあるのかい?」


 見られてた!?


「いやーっ、女子の練習が素晴らしいのでつい参考にしようと思いましてっ」


 よし言えたっ!


「そうか? それにしてもじろじろと気になる目線を感じたが?」


 まじで!?


「いや~、それはそのーっ」


 言葉が詰まる。


「まさかいやらしい事考えていたのかい?」

「いや、まさかそんなっ!」


 僕は慌てふためいた。


「あはは冗談よ、何を本気にしているの?」


 彼女は笑う。冗談かと僕はほっとしたが、


「あ、そうだ。まだ腕があまり使えてないようだったよ。もう少しだな、ここをこう」


 そう言いながら、手を僕の肘に添えてくる。

 ドキッとする。


「もう少しそう。膝を曲げて腕をもう少し上に……」


 彼女は僕の背後に立って指導してくれるのは良いが結構密着してくる……。背中に胸が当たる、柔らかい。山岸先輩の匂いがする、良い匂いだ。

 僕は練習を忘れそうになるほどドキドキが止まらず、ぽーっとなり特に下が熱くなる。


「あら?」

「?」

「どうしたの小谷。少し腰が後ろ気味になっているわよ……」

「!」


 山岸先輩は僕の耳元に少しからかい気味で囁いて来た。


「あの僕ちょっと急ぎの用事があるので済みませんが先帰りますっ!」

「あ……」


 僕は急いで男子更衣室に行った。ヤバかった……。

 そして帰り道ムラムラしながら歩いていると、弓道場前で香織に会う。げっと思いバレないように早歩きにしたが、洋平!と声がかかった。


「さつきちゃんまたね」

「うん、また」

「待ってよ洋平!」


 そして彼女と一緒に帰るが変に意識をしてヤバイ。ムラムラする。


「あのさ、今日の肉じゃがとしょうが焼きどうだった?」

「……美味しかったよ」

「良かったーっ」


 そんなことよりニンニクと卵料理の量の方がそれより半端なく多かったんですが、それはどういうことでしょうか? ちらっと彼女の方を見ると幸せそうだ。いかん邪なことを考えるなーっ。静まれー、静まれー。


「ところでさーっ」

「あんだよ……?」

「今日はやけに照れてなかった?」


 僕はドキーとする。彼女はじーっと微笑みながら見つめてくる。


「ま、まさかーっ」


 僕は慌てて目線を逸らした。そして僕の耳元に近づいた香織はとんでもないことを言う。


「今日私Tバック穿いてるの」


 は?

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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