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山岸先輩とお出かけ……?

 自転車でショッピングモールに行き、服のお店に向かった。そこはおしゃれな服が沢山あり、陰キャの僕には少しまぶしく感じた。僕は大体適当にTシャツを着て、その上にチェックのシャツを着る程度だからだ。


「おお……」


 感嘆な声と共に少し腰がひける。果たして僕みたいな人間が来てよい場所なのだろうかと思った。


「こっちよ」


 そのまま山岸先輩に促されてレディースの所に連れて行ってもらう。メンズ服とは違うハイセンスな服が沢山並んでいる。


「どう? こんなのは」

「良いんじゃないでしょうか?」


 おしゃれに疎い僕は彼女が選ぶ服はどれも見栄え良く見えてしまい違いがよく分からない。


「じゃあこれは?」

「良いと思います」

「次はこれっ」

「okですっ」


 どれも似合っている気がして彼女が選ぶ服はとてもおしゃれに感じる。


「むー、ちゃんと選んで見てくれてる?」


 少し機嫌が斜めになる。


「え? あ、はい。勿論見てますが……?」

「……」


 彼女は目を細くして、僕の方をじっと見る。


「じゃあ小谷君が服を選んでみて?」

「え!? 僕がですか!?」


 彼女の突然の提案に困惑する。服屋さんに滅多に行かないこの僕が服を選ぶというのはまるで寿司職人がこのスープに合うラーメンの麺を選ぶくらいよく分からない(この例えも分かりにくい)。

 とりあえずうーんと頑張って考えて選んでみる。どれもおしゃれで良い感じに見える……。


「これとか似合いそうじゃないですか?」

「こういうのが好きなの?」

「えーと、先輩が似合いそうな服を選んだ感じです」

「小谷君が好きそうなの選んでみて?」

「あ、はい」


 どれもよく似た感じに見えるんですけど……。先輩の方をチラッと見ると、僕の手の辺りを凝視している。とりあえず好みそうな服を、あっこれは……。


「あの先輩これなんかどうですか?」

「これは……」


 白のひらひらするスカートだった。


「……」


 先輩は考える。そしてしばらくして、


「これミニスカートよね?」

「え?」


 言われてみれば長くはない丈だ。しかし、


「丈の長さはそこそこありませんか?」

「腰に合わせて穿くからその部分は大体下腹部になるのよ」


 なるほど。それを考えると短いかもしれない。


「ふーん、小谷君はこういうのが好きなんだ」

「え、いや、その……」


 確かにミニは嫌いではないが、まぁ好きかな?


「その?」

「好きです、はい……」


 彼女はニコッと笑い、


「男の子ねっ」


 と微笑みながら言って、これに合いそうな服は……と上着を探してから試着室へと向かう。僕も付いていき待っていると、カーテンが開く。

そこに居たのは、ファッション誌に載りそうな程のおしゃれな女子だった。


「!」

「どうかしら?」


 堂々とした彼女の立ち姿はまるでモデルかと思う程だ。僕は見とれながら、


「良いと思います」


 と言うと彼女は急に顔を垂れて髪をいじった。


「お客様はどれにしますか?」

「あぁ、とりあえず選んでいる所なのでっ」


 他にも客がいるらしい。離れた所から声が聞こえてくる。

 そして服が決まったので山岸先輩は上下購入した。


「次はこっちに行くから付いて来て」

「は、はいっ」


 そして付いて行くと、


「こ、ここは……」


 そこは女性の下着コーナーだった。最も男が立ち寄らない場所の一つである。僕は恥ずかしさのあまり動揺する。


「何ガチガチになってるの? 来るの始めて?」

「あ、当たり前じゃないっすか!?」

「ふふ、そうね」


 山岸先輩は鼻歌を歌いながら平然とコーナーの中をうろうろする。僕は周りの視線、声を気にしながら彼女の後ろを付いていく。

 彼女は色々下着を選んでいる。僕は他に目線を移す。


「こういうのなんかどう?」

「え?」


 見るとかなりエロめな下着だ。僕は吹いた。


「そ、そんなの着るんですか!?」

「あはは、冗談よ。顔を真っ赤にして可愛いーわねっ」

「~~~~!!」


 か、揶揄われてしまった。


「じゃあさ小谷君。何か選んで見て?」

「えぇ!?」


 選ぶって下着を!?


「いや、それは勘弁して欲しい……です……」

「あら? 私が着る大切な肌着を選ぶのが嫌なの?」

「嫌という訳ではないですが……」


 彼女は笑いながら僕の胸辺りを人差し指ですすすと触り、


「恥ずかしいの?」


 ついドキッとする。目線を逸らしながらこくこくと頷いた。ふふふと微笑み、適当で良いからと呟く。僕は仕方なく適当にちゃっと選び急いで彼女に渡した。


「こ、これは……」


 彼女は躊躇いがちに言う。見ると、これはこれでまたエロめの下着だった。僕はギョッとする。


「いや、これは……」

「……」


 彼女は下を向いて喋らない。耳が赤い。正面に向くと少し真面目な顔を赤らめて、


「Hッ」


 と言った。そして僕の手を取り、試着室に連れて行く。

(え、え!?)


「ちょっと待っててね」


 僕は試着室の前で呆然と立たされる。そして、試着室のカーテン越しに手が伸びてくる。

(え、ちょっ、えっ?)

 そして僕の服を引っ張るが僕が少し躊躇いがちにその前で立ち止まって抵抗すると小声で、


「早く入ってっ」


 言われたので言われるままに任せて入ろうとすると、駄目っ! と言って後ろから強引に引っ張られた。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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