3/野菜の味
どうもはじめまして、かいみん珈琲です。
こちらのサイトに投稿は初めてですが、よろしくお願いします。
作品の紹介として、
作風として『ゾンビらしくないゾンビ』×『死生観』というテーマです。
あくまでもゾンビ風にしているので、スプラッタなシーンは少ないです(笑)
表現もソフトにしています。
温かく完結まで見守っていただけたら幸いです。
●ヒルデ墓所(朝)
少年の瞼が、ゆっくりと開く。
身体を起こすと、自分がベッドに寝ている事に気づく。
重たかった身体がやけに軽い。
どれくらい寝ていたのだろう。
ぼやける視界が次第に輪郭をかたどる。
えらく殺風景な部屋。
少年の自宅と比べるとひどく質素だった。
机やクローゼットなど、家具が満足にない。
あるとしたら、このベッドくらいだろう。
窓から差し込む朝日に、目が細くなる。
傷だらけの窓ガラスの向こう、誰かの後ろ姿が見える。
ベッドを降りて、殺風景な部屋を出る。
外に通じる扉に向かう途中、居間の通り過ぎた。
なぜかソファにだらしない恰好で寝ている女性。
おそらく、女性だろう。
寝相が悪く、手足がソファから落ちそうだった。
外に出ると、軋んだ音に気付いたエインがこちらを見る。
「やあ、起きたんだ。よかった」
と、エインは両手の土を払いながら少年に近寄る。
「心配したんだよ、痛いところはない?」
「…………」
と、子供は間を開けて首を横に振る。
よかったと、エインは安堵する。
「ボクはエイン。妹のメメントとこの小さな墓地をやってるんだ。よろしくね」
背格好は少年とあまり変わらないエイン。
だが、優しく微笑んでくれる様子を見る限り、父と接しているような安心感がある。
ふと、エインの背後に目がいく。
「ん? ああ、ボクがやってる家庭菜園だよ」
少年の背中を押すようにエインは一緒に菜園へ足を向ける。
瑞々しい実から朝露をこぼれる。
新緑の葉が小さく揺れる様子をじっと見つめる少年。
「これなんか食べ頃かな」
と、成熟した野菜の実をもぎ、少年に渡す。
「食べても大丈夫。おいしいよ」
エインの微笑みに応えるように、恐る恐るの一口。
咀嚼して、硬直する少年。
しかし、せきを切ったように野菜を頬張り始める。
「おいしい?」
「うん! ぅん! っん!」
と、何度も頷く。
口周りや両手を野菜の汁で汚す少年。
その少年の顔には、疲労も恐怖も微塵も感じさせなかった。
ここまで読了、ありがとうございました。
文字ボリュームはどうでしたか?
個人的に投稿していく中で気を付ける点として、以下の通りです。
・文字のボリューム(1000~1500文字程度)
・矛盾点があれば、その都度リライト(修正)
・擬音語や擬態語、抽象的な表現はできるだけ出さない
・ダラダラしたあ、尺を長くする描写を控える
もし何かありましたら、コメントしていただけると参考になります。