2/兄妹
どうもはじめまして、かいみん珈琲です。
こちらのサイトに投稿は初めてですが、よろしくお願いします。
作品の紹介として、
作風として『ゾンビらしくないゾンビ』×『死生観』というテーマです。
あくまでもゾンビ風にしているので、スプラッタなシーンは少ないです(笑)
表現もソフトにしています。
温かく完結まで見守っていただけたら幸いです。
●ヒルデ墓所
「腹減ったー。エイン、飯まだー?」
と、色あせたソファがしゃべる。
実際にはその声はそこに寝っ転がっている女性の声だった。
彼女の名前はメメント。
歳は20歳半ばぐらい。
裾がめくれたスカートを気にせず、組んでいる両足。
読み飽きた本を、上着から見えるヘソの上に置く。
「はいはい。もうちょっと待って」
もう少しの辛抱だよ、とキッチンから男の声が聞こえる。
「待つっていっても……早くしないと溶けちゃうよ……」
昼下がりで陽気が温かい。
少し汗ばむのか。
上着を摘まんで、ぱたぱたと腹に空気を通す。
その都度、垣間見える色白な肌と黒い下着。
「あー本当に早くしてよねー」
メメント、ゆっくり起き上がる。
無造作にまとめた長髪を流し、後ろ手にうなじをかく。
口元が寂しくなったのか。
テーブルに置いてあったタバコに手を差し伸べる。
しかし、箱の中身は空。
無意識に、今度は頭をかきむしる。
「エインー、新しいタバコは?」
「えー。昨日、禁煙するっていってなかった? それで最後のはずだよー?」
「……そうだっけ?」
といった途端、昨日そういって残りを捨ててしまった事を思い出す。
火の車の家計に余計な金をかけたくないからと、確かに零した記憶があった。
だが、それも酔っ払いの戯言である。
「やっぱり無理ぃー。エイン、タバコ買ってきてー!」
「こっちも無理だよ。今、昼ご飯つくってるから手が離せない」
メメント、口をへの字に曲げながらキッチンへと向かう。
「んじゃ飯をつまみ食いして誤魔化す」
「はいはい。そっちに置いたヤツならいいよ。盛り付ける前の」
人が2人分くらい立てる、こじんまりとしたキッチン。
そこには、台座に乗って鍋をかき混ぜる男がいた。
メメントの兄、エインである。
背丈は台座に乗った状態で、メメントと同じくらい。
素の身長ではメメントから彼女の2頭身分、差し引いたくらい。
だが、その華奢な体躯から、どこか歪な印象を受ける。
長袖からでもうかがえる、線の細い右腕。
それと違い、左腕はどこか筋骨が膨らんでいる。
妹のメメント同様、色白な顔立ち。
対して、薄い小麦色の鎖骨辺りが首元からのぞける。
「いただき」
「もうっ行儀悪いよ。手づかみはやめなさい」
と、注意するも、だらしない妹は止まらない。
盛り付け前の料理、特に自分の好物をどんどん摘まんでいく。
「美味い。流石、兄さん」
××××× ××××× ×××××
「あ、いけない。油が切れてたんだ。メメント、買い出し頼める?」
「やだ」
「そこをなんとか」
「ヤ、ダ」
食事を与えて機嫌が良くなっても、兄の頼みは聞いてくれない。
小さなため息を漏らすエイン。
エプロンを外して、財布をとってくる。
「じゃあ少し出かけてくるから、途中の料理を見といてね」
「うん、了解」
メメントは胃の寂しさがまぎれたのか。
つまみ食いもほとほどに終わり、またソファの定位置に戻る。
脱力しきって手足を投げ出すその姿。
兄のエインにとって、日常茶飯事の様子。
気にとめず、玄関へと向かう。
「ついでにタバコもよろしくぅ~」
と、ソファから手が生えて、左右になびく。
エイン、返事を返しつつ外へと出る。
――だがその後。
エインが持ち帰ってきたモノは油やタバコではなく。
憔悴しきった少年を抱えて、自宅に戻ってきた。
ここまで読了、ありがとうございました。
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