空から降ってきた妖精様
ヴェルダン領。王都から離れた辺境地。
うちの領地は自然豊かで穏やかな場所である。
春には様々な色の花が咲き、夏には西瓜やさくらんぼが実る。秋には紅葉し、冬には白い雪がふる。四季折々の風景を見せてくれる、僕の大好きな故郷だ。
だが、危険がないってわけではない。それはヴェルダン領が魔物の棲まう領域に面しているからだ。
そして、魔物の襲来が度々に起こるここで領民を守り、ほかの領地へ魔物が流れないようにするのが、この地を治めるヴェルダン家の役割であった。
そして、その家に生まれたのが僕、ブラント・ヴェルダンだ。
僕は、幼い頃からこの地で剣と魔法を学び、父と領民のみんなと力を合わせて魔物を討伐する日々を送っていた。
そんなある日、気分転換に庭で散歩をしていたら空から女の子が降ってきたのだ。
当時十歳。
いきなり現れた同い年ぐらいの女の子を受けとめることができず、女の子が僕に乗っかる形で地に倒れこんだ。
「いたた」と身を起こした少女とばっちり目があう。僕はポーッと少女に見惚れた。
吸い込まれそうなほど綺麗で大きな金の瞳。
くすみ一つもない透明感のある白い肌に僅かに赤く色づくぷっくりした頬。顔のパーツは整っており、肩ほどに伸ばされた黒髪はまるで夜空を閉じ込めたようにさらさらで美しい。
驚くほどの美少女がそこにいた。
「……妖精?」
僕の口から飛び出したのはあまりに間抜けな声だった。
「いきなりごめんなさいね」
ふわりと微笑み、僕が入れた紅茶を優雅に飲む美少女、おそらく本物の妖精様だ。
彼女は僕の妖精発言に、否定せずにっこり微笑んだから、そうとしか思えない。
神話にでてくる妖精に、僕ははじめてあった。
紅茶の飲み方といい、ただ座っているだけなのに溢れる気品。美しい容姿。
妖精って本当に綺麗な顔しているんだなぁ…
さっきから手汗が止まらない。行儀悪いかもしれないが、こっそりズボンで拭っていた。
「えっと、妖精様が一体何の用でこんなところに…?」
目の前に座る妖精様に、おずおずと尋ねると、きょとんと首を傾げられた。
「というか、ここってどこなのかしら?」
「えっ」
驚き唖然とする僕に「転移魔法ちょっと失敗しちゃったみたいだわ」と妖精様は気楽に笑った。どうやら友人の元に飛ぶ予定だったらしい。
それにしても、超上級魔法である転移魔法をそう軽々とやってしまうあたりさすが妖精だ。
僕は尊敬の念を込めて妖精様を見つめた。
妖精様は紅茶を置くと、僕を見つめ返してきた。
「そういえば貴方は誰なの?」
「えっと、僕はブラント・ヴェルダンです。…妖精様の名前をお尋ねしてもよろしいですか?」
僕が名乗ると妖精様は、一瞬わずかに口を開けて驚いたような表情を浮かべた。だがすぐに笑顔を浮かべて言った。
「私は、そうね…ジェシーって呼んで!私も貴方をブラントって呼ぶわ!」
「わ、わかりました」
「敬語も禁止よ!」
「えっ、はい!じゃない、うん!」
妖精様改めジェシーは、僕の返事に満足したのか頷いた。
その後、僕たちは互いに質問を繰り返し、というか、ジェシーの質問責めに僕が返答するのが多かったが……気づけばもうかなりの時間が経っていた。
僕自身やヴェルダン領について、もうわからないことはないだろうっていうくらいに質問し終えたジェシーは、僕の両手をぎゅーっと握りしめると「また来るわ」といって笑顔を浮かべ、転移魔法で消えた。
また来てくださるのかー…
妖精と人間の月日の流れは全然違うと本で読んだことがある。その"また"がもしかしたら十年や二十年後だったりすることもあるかもしれない。
僕は気長にその日を待つことにした。
§
「来たわよ!」
その日は思っているよりすぐだった。
出会った日からわずか二日目、僕の自室にジェシーは現れた。
机に広げたノートを見て、ジェシーは不思議そうな顔をした。
「あら?もしかして勉強しているの?」
「うん、そうだよ」
貴族や、金銭に余裕のある平民の子どもたちは十六歳になると王都にある学園に通うことが可能となる。
だが、ヴェルダン家の者は滅多に領地から離れない。ジェシーのように転移魔法が使えたら話は別なのだが、僕は使えない。
つまり、十六歳になっても僕は学園には通えないのだ。
しかも、ヴェルダン家の嫡男は早くて十九歳、遅くても二十歳には爵位を譲り受けるという決まりがある。
そのため、本来学園で習う勉学や、領地経営についてとか、教材を見ながら頑張って学んでいるのだ。
ジェシーはそのノートの中身を見て、ふむふむと頷き、一部をトントンと指差した。
「ここ、計算間違ってるわよ」
「えっ!…本当だ、ありがとう!」
言われた箇所を確認し、直す。お礼を言うとジェシーは得意げな顔をする。
その表情は年相応で可愛らしかった。
…ところで妖精って見た目と同じくらいの年齢なのだろうか。
ふと疑問に思ったが、僕の母が歳を聞かれるのを嫌がっていたのを思い出し、やめた。
そして、そのままジェシーに見守られつつもくもくと勉強する。
しばらく経った頃、ちょんちょんと服を引っ張られた。見ると柔らかそうな頬をぷくっと膨らませたジェシーがいた。
「………そろそろ休憩してもいいのではなくて?」
しまった。大変むすっとしてらっしゃる。
妖精様を放置して勉強に没頭してしまっていた。慌てて、ノートを閉じる。
「休憩します!」
「敬語禁止ですわ!」
「あ、休憩する!」
僕が慌ててそう言うと、何がおかしかったのかジェシーは口に手を当てて上品にくすくすと笑った。
休憩がてら僕は、ジェシーにこの領地を案内することにした。自室を出て、廊下でばったり父にあったが、父は今まで見たことないほどに目を見開き固まっていた。
本物の神話の妖精に会って驚いているのだろう。僕は父に妖精に会ったと話していなかった。絶対に信じてもらえないと思ったからである。ちなみに母には話し、微笑ましそうにされた。
ジェシーは父の側にすすすっとよると何事か耳打ちしてすぐ、僕の側に戻ってきた。
父は困ったような苦笑を浮かべ、「案内しっかり頼むぞ」と僕の頭を撫で、去っていった。
「ブラント、行くわよ!」
父の様子に不思議に思ったが、ぐいっと満面の笑みのジェシーに手を引かれ、僕も笑顔で外に駆け出した。
§
その後もジェシーは度々僕の前に現れた。
頻度は大体月一回ほど。
転移魔法で急に現れるものだから、最初の方はいちいち驚いていたのだがそれももう慣れた。
だから自室のドアを開けた時、僕のベッドでジェシーが眠っていてももう驚かない。
あ、きてたのか。そう思うだけだ。
両親も慣れたようで、僕が知らないうちにやってきて母とジェシー二人でお茶会をしていたりする。
ジェシーはとても気持ち良さそうに眠っていた。今日は天気がいい。窓の外から鳥のさえずりが聞こえる。
起こすのも悪い気がしたので、ジェシーが起きるまで僕は勉強することにした。
本棚からいくつかの教材を取り出していると、肩をトントンと叩かれたので振り向いた。
「っ!?」
「ふふっ、引っかかったわね!」
ほっぺに指がささった。
後ろにはどこか満足気な顔をしたジェシーがいた。
「…いつから起きてたの?」
「さっきよ!ところでブラント、今暇かしら?セイラさんの食堂で"豚の生姜焼き"というまた新しい料理が出されるようになったそうよ!」
「まあ、暇だけど…へぇ、知らなかった」
「もう!なんで知らないのよ!今から食べに行きましょう!」
目を輝かせて、グイグイと僕の腕を引っ張ってくる。頷いてみせると、ジェシーはその麗しい美貌を緩ませた。
そして部屋を出ると、ジェシーは上機嫌に鼻歌を歌いながら廊下を歩いていく。僕の手をしっかりと繋ぎ、ぶんぶんと嬉しそうに振っている。
向こう側から歩いてきたメイドが、僕たちを見て温かい眼差しで「いってらっしゃいませ」と告げた。
ジェシーは、ご飯を食べるのが好きなようだった。とくにセイラ食堂で食べる時はそれはもう楽し気であった。周りが賑やかだし、顔見知りになった領民たちと話せるから好きなんだそうだ。
僕の家で食べる時も目を輝かせていた。
僕の家ででてくるのは貴族っぽくないどこにでもあるありふれた庶民料理である。うちの領地にある、セイラさんが経営している食堂に出てくる料理とほぼ同じ、領地で取れた野菜を使ったものだ。
…やっぱり妖精って高級な料理を食べ慣れているから庶民的な料理が珍しいのかな
僕はそう思った。
うちの領地はいつも平和ではない。
ジェシーが来たこの日、ジェシーが僕と出会ってからはじめて、魔物の襲来があった。
僕は鎧を身につけ、いつも使っている剣を腰にさした。その僕の姿を見たジェシーは、「かっこいいですわ!」と興奮したようにパシパシと叩いてきた。
いざ向かう時、危ないから屋敷にいてほしいとジェシーに言ったらこう返ってきた。
「私も行きますわ!」
いやいや、え、どうしようこれ?
危険だからと重ねて言うも聞き耳を持つ様子がない。
困って近くにいた父に助けを求めるが、苦笑が返ってきた。えええ…どうしろと?
結局、ジェシーは付いてきた。一応離れた距離にはいてもらってるし、周りにうちの騎士についてもらってるから安心できる。
そう思って、魔物の討伐を行っていた。
だが、ふとジェシーがいるはずの場所が騒がしくなった。不思議に思って振り返ると、僕の倒した魔物を興味深そうに眺めるジェシーがすぐそこにいた。
ええ、なんでいるの!?
驚愕して固まる僕にジェシーはにっこりして「ここに来る魔物を倒せばいいのよね?」と尋ねてくる。
混乱した頭でとりあえず頷くと、ジェシーはパチンと指を鳴らした。瞬間、周りの土地が下がっていく。違う、僕たちのいた地面が高く高く上がっているのだ。
「なんだこれはッ!?」
「ーー氷!?」
戦っていた者の足元にも同じような氷の足場ができ、驚き戸惑っている声が聞こえた。
氷の足場ができたことで、互いに仲間の顔がよく見えた。皆困惑した表情で顔を見合わせた後、視線は自然とジェシーに集まっていった。そんな視線を気にもとめず、ジェシーはキリッと眉を吊り上げ不敵に笑うと、下にいる魔物たちに向かって魔法を放った。
「アイスストーム!!」
一瞬だった。
全ての魔物が凍り、討伐は終わった。
ジェシーは一仕事を終えた充実した表情で誇らし気に僕に向かってこう言った。
「私、周りのみんなに『氷の妖精女王』って言われているのよ!すごいでしょう!」
胸を張るジェシーに、周囲から感嘆が上がった。
「ジェシー、すごいよ!」
氷を司る妖精で、しかも女王だったの!?
知らなかった、すごい!!
僕も素直にジェシーを褒め称えた。
ジェシーは口角を上げ、嬉しそうに破顔した。
「………そういう意味じゃ、ないと思うんだがなぁ」
父がそう呟いていたが、僕たちには聞こえていなかった。
こうした生活を送り、僕は気づけば十八歳になっていた。
そんな最近、僕にはある悩みに頭を抱えていた。
それは、婚約者ができないことだった。
僕の顔はどうやら強面であるらしい。領地から出たことがなかったから全くなんとも思わなかったし、みんな父そっくりな僕の顔に慣れていたために指摘されたこともなかった。
婚約者を探そうとしたのは十六歳の夜会に出始めたころである。とはいっても王都に頻繁に行けるわけではないので、新年の挨拶の時に王都に行って、そこから三日間だけ夜会に出たくらいだ。
その三日間で、社交界では僕が"魔王のように恐ろしい強面"だと囁かれるようになった。僕のこの燃えるような赤い髪と瞳からも威圧感を感じるようで、十七歳で再び夜会に出ると僕の周囲に人は、とくに可憐な令嬢は怯えて寄ってこなくなっていた。
つらい…
そろそろ辺境伯を継がなくてはいけない頃だ。婚約者がいてほしい。
社交界では優秀かつ美人で有名な令嬢たちが何人もいるらしいが、その人物たちほどの人を望むわけではない。誰でも…誰でもは良くないか。とりあえず、害のなさそうな令嬢の誰かと婚約したい…
でもうちの領地、危険もあるし難しいかな…
そう思い、何気なく空を見上げた。
「!?」
目を見開いた。
視界に入ってきたのは、ふんわりとした白いドレス。慌てて受けとめる。お姫様抱っこの状態で、こちらを見つめるのはきらめく金色の瞳。
「ナイスキャッチですわね!驚いたかしら?」
「心臓に悪いよ、ジェシー」
昔と違って、倒れることなく受けとめることができたのでホッとする。そして、ジェシーの格好を眺めて首を傾げた。
ジェシーはこの数年で益々美貌に磨きがかかっていた。髪も伸び、体つきも女性らしく柔らかになり大人っぽくなった。
「今日、可愛い格好してるね。どうしたの?」
そんな彼女が着ているドレス。
艶やかな黒檀が映える白色。細かな装飾が施された、一目で一級品だとわかるそれを見てそう尋ねると、ジェシーは真剣な表情を見せ、顔を近づけてきた。
「こういうドレスはお好きかしら?」
「え、うん。まあ、そうだね?」
「…なるほど」
「何?何なの??って近い近い」
近さに気づき、ジェシーをおろそうとすると抵抗するかのように首に抱きついてきた。
「おりないわよ」
「えぇ…なんで?」
困惑する僕をジェシーは楽しそうに見てくる。全く、仕方ないなぁ…
ジェシーにこれまで勝てたことがない僕は抱き上げたまま敷地内の庭を散歩することにした。
「…ブラント、何か悩んでるわね?」
普通の顔をしていたはずなのに、一体どこで察したのかジェシーは唐突にそう言った。
うーん、さすがに八年もいたらわかるもんなのかなぁ
そう感じつつ僕は婚約者ができないことを話した。話し終わるとジェシーは無言で再びぎゅっと首に腕を回した。
「あのー、ジェシー?」
表情を伺うとジェシーは頬を膨らませ、不機嫌そうな顔をしていた。
怪訝に思っていると、ジェシーは覚悟を決めたような顔をし言い放った。
「……私が」
「ん?」
「私が婚約者になるわ!」
励ましのつもりだろう。僕は温かい気持ちになった。嬉しくて少し涙目になる。
長年ずっと僕のとこにきてくれた妖精。
もし、彼女が人間だったなら…いや、そんな想像は彼女に失礼かもしれない。
たとえ婚約者ができなくてもジェシーがいればそれでいい。
「ありがとう」
僕は目元を少し拭うと、ジェシーに歯を見せて笑った。
「パトリッジ公爵家から…?」
「ああ。お前宛に夜会の招待状が届いたのだ。当主命令だ、行ってきなさい」
夜、父の部屋に呼び出された僕は父からそう伝えられた。
父はどこかそわそわした様子で、その招待状を僕に手渡した。
パトリッジ公爵家かー…
たしか、頭脳明晰で美しいと噂の一人娘がいるんだったっけ…?名前はたしか、ジェシカ・パトリッジ公爵令嬢。
会ったことはないが、誰に対しても冷然たる態度を貫いているらしいと聞いたことがある。
全く関わりのないところからの招待状に少し疑問に思った。
なんで、僕に?
まあ、とりあえず当主命令でもあるし行こう。
そして、夜会当日。相変わらず恐れられているのか僕の周りに人はいない。
悲しい気持ちになりながら、夜会でしか食べられない豪華な料理を皿によそって壁にもたれつつむしゃむしゃ食べる。美味しい…
「おい、聞いたか?あの噂」
「聞いた。だが、本当なのか?あの『氷の妖精女王』がついに婚約するって話」
「さあ?わからないが、もし本当なら今日発表されるかもしれないぞ」
「だとしたら相手は一体誰なんだ…?」
周囲から聞こえたその話にまゆをひそめた。
『氷の妖精女王』…?
なんか聞いたことあるような?
しばらく考えながら料理を食べていると、ふと会場が静まり返った。
周りの視線が、父親であろう中年の男性にエスコートされている一人の令嬢に集まっていた。
僕は彼女の姿を目にし、息を飲んだ。
え、なんでここにいるの…?
「お集まりの皆様、本日はようこそお越しくださいました。さて、ご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、一つ私の方から発表したいことがございます」
複雑に編み込まれ、一つにまとめてあげられた夜空のような黒髪。小ぶりの宝石を連ねた髪飾りはまるで星のように煌めいている。
すっと通った鼻筋に、長い睫毛。整ったその顔は妖精女王と呼ばれるのにふさわしい美貌。
そして、どこかで見たような白いドレスには前とは少し違う、金と赤の細かい装飾が施されていた。
ジェシー……いや、ジェシカ・パトリッジ公爵令嬢はその金色の瞳で、壁にもたれかかり呆然としている僕を見つめ、言った。
「この度私は、ブラント・ヴェルダン次期辺境伯爵様と婚約することとなりました。この場を借りて公表させていただきます。どうぞ、温かく見守ってください」
大きくはないが美しい澄んだ声は、会場の端まで響いた。周囲がざわめていた。
…え?
視線が集まるのを感じながら、僕は放心していた。
婚約?誰が誰と…?
ちょっと待って、ジェシー、もしかして、妖精じゃ、ない…?人間で、公爵令嬢…?
頭の中がはてなで埋めつくされていた時、前からジェシカ嬢がやってきて勢いよく僕の胸に飛び込んできた。
「ブラント!」
いつものように慌てて受け止めると、ジェシカ嬢はジェシーのようにニヤリといたずらっ子みたいな笑みを浮かべた。
「…驚いたかしら?」
ああ、ジェシーだ。
僕は確信し、深く息を吐いた。気が抜けたのか、一番気になった質問が口から飛び出した。
「驚いたよ、ジェシー。君、人間だったの?」
僕がそういうとジェシーは、きょとんとした後、くすくすと笑った。
「あら、私のことを妖精って言ってたの、あれは冗談ではなかったのね」
「僕、ずっと信じてたのに…」
「でも私、妖精だって一度も肯定してないわよ?」
「そうだっけ…?ーーそうかも…」
改めて思い返すとそうだったかもしれない。
頭の中で思っていると、ジェシーが暗い表情を浮かべて尋ねてきた。「もしかして、本当に妖精の方がよかったの?」と。
僕はその答えを、彼女をぎゅっと抱きしめると彼女にしか聞こえない声で囁いた。
ーー「妖精だろうが人間だろうか、僕はジェシーのことが大好きだよ」
そして真っ赤に染まってしまった彼女を、誰にも見せないように抱き込む。
周囲からは祝福するかのような歓声が上がっていた。
読んでいただきありがとうございました。
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