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地球・翼の勇者3

 SSSとねじねじを構えた八神百乃が翼を打つ。

 一足先に突撃した彼女に、慌てて逃げようとした翼の勇者だが、ジャスティスセイバーの飛行とは違い、翼同士の為速度が違った。

 逃げる速度よりも百乃の吶喊の方が速い。


 ジャスティスセイバーもそれに気付いてセイバーを構え飛行する。

 口から怪光線。旋回して避けながらホーリーアローを一射。

 百乃の一撃を避けた翼の勇者に、ついに百乃が追い付いた。


 二つの剣が交差する。

 真上からSSSが、間横にネジネジが煌めき、十字斬りが行われる。

 これを翼の勇者は自由落下でぎりぎり避ける。

 そこへ、


「ギルティーライナーッ!」


 ジャスティスセイバーの一撃が襲いかかる。


「なっ!?」


 ジャスティスセイバーを完全に意識の外に追いやっていたのだろう。予想外の一撃に回避は間に合わなかった。

 翼の勇者の翼が片方、細い光線に射抜かれる。

 膂力を無くした翼の勇者が錐揉み回転しながら墜落していった。


「おお、やるじゃんジャスティスセイバー」


「お前が手伝ってくれたからな。このまま押し切るぞ!」


「オッケー。さっさと倒して世界平和に貢献するわよ」


 突撃を敢行しようとしたジャスティスセイバーと百乃、しかし、ゾクリとした危機感に咄嗟に散開する。

 遅れ、ガトリングランチャーでも放ったような銃弾の嵐が吹き荒れた。


「な、なんだ!?」


「羽よ! あいつ自分の羽を高速で飛ばして来てる!」


「マジかよ!?」


「しかもこの連射力から言って無限に射出できるんじゃないかしら」


 左右の羽が二人を片翼づつ追いかけ羽を射出している。

 そのせいで片ほうを犠牲に逃げることも避けることも攻撃することだって出来なくなった。

 二人とも自分に向かって来る羽の連撃を避けるので精いっぱいになる。


「クソッ! これじゃ近づけないっ」


「あーもぅ、やっぱり天界で昼寝しとくんだった!」


 嘆く二人。しかし攻撃も何も出来ずただ避けるしか出来ない二人は必死に射線から逃げるしかできない。

 しかし羽の連撃は徐々に二人に迫っており、このままでは打ち抜かれるのは時間の問題だった。


「クソ、そろそろマズいぞ!」


「一か八か特攻仕掛ける?」


「だな、やるしかねぇ!」


 二人が覚悟を決めようとした瞬間だった。

 影が走る。

 気付いた翼の勇者が避けようとした次の瞬間、彼の脇腹に突撃した人物の蹴りが叩き込まれる。


「がぁっ!?」


「ふむ。これが女神の勇者か。話に聞いていたより弱いのではないか?」


 ダンサースーツに身を包んだ仮面の女がそこに居た。


「アレは……仮面ダンサーアン?」


「おお、助っ人出げ……なんかいっぱいでた!?」


 一人だけの筈だった仮面ダンサーアン。彼女の側へ、わらわらと六人の仮面ダンサーアンが出現した。


「な、なぁ、あれ、全員仮面ダンサーアンだよな? 他の仮面ダンサーがアンさんの恰好してるわけじゃ、ねぇよな?」


「そうね、それに……なんかこっちに来たっ!?」


 仮面ダンサーアンの二体が跳躍する。

 咄嗟に回避した百乃が逃れたが、飛行速度の遅いジャスティスセイバーは仮面ダンサーアンのダンサーキックをまともに受ける。


「ごはっ!?」


 全身が粉砕されたような一撃が襲いかかった。

 

「ちょ!? ジャスティスセイバー!?」


「がぁっ! クソッ、正義の味方が何してくれンだよ……っ」


 地面に転がり息を吐く。

 内臓が軒並み破壊されたようだが美音奈の血を飲んでいるため自己再生が始まる。

 人魚の血には常人でも肉体を回復出来る効果があり、ジャスティスセイバーとフィエステリアはいくつか血清を所持していた。

 体内にも既に常用済みの血が巡っているため後数回は致命傷でも回復できる。


「仮面ダンサーアンが大量発生、女神の勇者も俺達も問わず攻撃ってことは、そう言うことでいいんだなっ!」


 ジャスティスセイバーの問いに、地面に降り立った仮面ダンサーアンは無言で構える。

 その言葉の無い返答が答えだった。

 敵対宣言。仮面ダンサーたちが正義の味方たちの敵に回った。それを理解しジャスティスセイバーも覚悟を決める。


「ホント、絶望ってのはゾンビよりこっちのことだよな。逆立ちしたって勝てない最強の正義の味方が量産されて敵に回るってか……」


 上を見れば百乃も仮面ダンサーアンの一人と空中戦を行っている。仮面ダンサーアンは飛べない筈だが普通に空中で攻防を繰り広げていた。

 そしてジャスティスセイバーに対峙する一人と、翼の勇者に敵対する一人。

 他の仮面ダンサーアンたちはゾンビを駆逐しながらユクリ達の元へと向かって行く。

 止めようとなど思えなかった。

 目の前にも同等の敵が居るのだこいつに勝てなければあの軍団を止めるなど夢のまた夢である。


「今こそ、俺の正義力が試される……か。ならばこそ! 輝けセイバー。俺の正義を見るがいい。我が名はジャスティスセイバー! この輝きこそ、我が正義の証であるっ」


 セイバーを高く掲げる。

 立ち昇る赤き光は正義の証。

 最強の正義に、赤き魔王が立ち向かう。

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