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神々の経過報告1

「っしゃーっ! ようやったアンゴルモアーっ!!」


 ザレクが大声で叫ぶ。

 どうやらヘリザレクシアは安泰らしい。柏手打って喜ぶザレクは、周囲の真剣な空気を思い出し、慌てて押し黙る。

 周囲を調べ、他に息を吐いている、勇者戦が終わったメンバーを探す。

 

「おお、クオル、終わったのか?」


「ん? ああ。ペンデクオルネは大丈夫だ。ただどこか別の世界に送ってしまったみたいでな。今どうなったか確認し終えたところだ。どうやら第十六世界に送られそこで全滅してくれたらしい」


「ほっほぅ。お前の世界の住人もやりおるのぅ」


「褒められたことではないぞ、手に負えん勇者どもを異世界送りにしてしまったからな。裁判長の方はどうだ?」


「儂の子らは優秀だからのぅ。四人の有志が軽々倒してしまったわい」


「それは重畳。他の世界に回せればいいのだが、あいにく我が世界に勇者と闘えそうな存在が居らん」


「儂も異世界に転移させられそうなのはアンゴルモアくらいじゃが……強制転移なんぞしても不幸に跳ね退けられそうじゃのぅ」


 ぬがーっと叫びを上げるマロンを二人で覗き見る。

 三つの世界相手に奮闘する彼女は、マロムニアの安全を確保し、残り二つの世界の勇者達を見学中だ。

 ザレクとクオルも自分の世界そっちのけで地球とアンゴルモニカへと向かった。


「どうじゃな?」


「うぉぅ!? 裁判長と裁判員じゃないすか。どうもこうも、至宝っちがポカって死にやがりましてございますわ。勇者でよかったよなぁコンチクショウ。あの野郎まぢやべー。触れたら爆死とかリア充だけにしろっつーの」


「人間爆弾か……魔法少女には少々きつくはないか?」


「というか、こやつ既に少女という年じゃないだろぅ。魔女? 奥様魔法少女とでもいうべきかのぅ」


「どうでもいいですけどね。ほら、地球は混沌っすわ」


「天使魔王にゾンビに秘密結社。相変わらず混沌としておるのぅ」


 ザレクとクオルは他人事のように言い放ち、他のメンバーの元へ向かう。

 邪魔者が居なくなったのでマロンは再び奇声をあげながら自分の出来そうなサポートを加えていく。

 といっても天の声として知り合いに指示を送ったり危機を送ったりするだけなのだが。


「ちょぉぉっ!? 霊体の勇者逃げてる! あんなところに居るわよ! 誰か向かえっつの!」


「駄女神は忙しないのぅ」


「全く、うるさくて仕方ないわ」


「ミルカエルゼはどうだ?」


「善戦できてるというべきか、私、F・T君の真の恐ろしさが理解できた気がするわ」


「何があったんだ……」


「あ、こら裁判長、こっち覗くなーっ」


 クオルがミルカの世界を覗いていると、隣からアルテの声が響く。

 どうやらザレクがマイノアルテを覗き見したようだ。


「よいではないか、減るもんじゃなし」


「うるさーい。今ようやく敵対出来たところなんだから。こっちは魅了、強奪、時間停止、神速、狙撃とヤバいのばっかりなんだからね。特に時間停止の勇者。あの人がいなきゃ詰んでたんだからーっ」


「確かに、ヌェルティス何度死んでたかわからんなぁ……ある意味豪運だなこいつ」


 クオルも混じってマイノアルテを覗き見る。

 正直ヌェルティスよりも他のントロたちが活躍しているように見える。

 クオルが覗いている隙にザレクはモルグドラハを見学しに向かった。


「どうじゃな?」


「ああ。地球から来ていたメンバーが相対してくれているので助かっている。数も三人と少ないからな。この面子ならば負けはないだろう。最悪ラナかクルナが動けばそれで終わりだ」


「なんか女神の勇者呆気ない気がするのぅ。いや、儂らの世界が強過ぎるのか」


 ふぉっふぉと高笑いを浮かべそうになった時だった。


「クソッ!」


 ダンッと拳を机に叩きつける音がした。

 全員が顔を上げる。その視線の先に居たのは、メガネをかけたグレイ型生物。

 自分の管理する世界を前に、歯噛みする。


「グーレイさん、どうしたの?」


「アルセ姫護衛騎士団のメンバーが……死んだ」


「へ?」


「核なんて、反則だろうっ。なぜここまでされなければならんっ。100億の軍勢? 全国一斉襲撃? あげくに核爆弾? ふざけるなっ!!」


 手を出せない不甲斐なさに怒りが募る。

 手を止めてグレイシアを見に来た面々が見たのは、世界の一角で嘆くように声を発する緑の少女。

 哀しげに鳴くその声に、胸が締めつけられた。


「クソッ、まだ打てる手はあるはず、何か……待て。君は何をする気だ!? やめろッ! 約束したじゃないかっ。君は力を使っては……あ……あぁ……」


 齧りつきそうなほどに世界ににじり寄り、グーレイは嘆きに暮れる。


「グーレイ、その……」


「いえ。私の世界はもう、終わりました。女神の勇者は世界を壊せなかった。それだけです」


 と、結果も観ずに世界を部屋から消し去る。どうやら懐に仕舞ってしまったようだ。


「ちょっとグーレイ? どこ行くの?」


「……警告を無視されましたからね。バグを駆除して来ます」


「ちょ、それって……」


「すみませんが皆さん。間もなく新たな神がここに来ます。彼女の事、頼みますね。しばらく……一人にさせてください」


 悲壮な顔で告げたグーレイは、一人暗闇に消えていった。

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