地球 ・ラナリア最終決戦3
「うおお、ロボはいらねぇ金を、金をだせぇ!!」
ルミナススプリングがなんか咆えていた。
ラナリア本社一階。
エントランスホールは量産型インペリアとルミナスナイトの戦場と化していた。
いつの間にか仮面ダンサーアンの群れが助っ人参戦しており、ルミナスナイトと協力を始めている。
「さっきまで敵だった奴が大量出現で仲間になってるとか、複雑ね」
「ウインター御免、そっち行った」
「サマー後で指詰めなさい。介錯するわ」
「罰が重いよっ!?」
そんな戦場を歩き抜け、龍華はエレベーターへと向かった。
「ちょっと待て龍華、エレベーターなど使って大丈夫か?」
「レウコのクローンだろう? ならば問題ない。心配ならば完全だけそっちの階段を使えばいい」
無防備に開かれたエレベーターに乗り込む龍華。そこに全員が乗り込もうとするが、半分も行かないくらいで重量オーバーになってしまう。
「仕方ない。私とフローシュ。後は適当にメンバーを決めてくれ。気を付けるべきはレウコクロリディウムはかなり小さな芋虫状の本体を有している。体内に入られたら終わりだと思え」
「なら俺の出番かな」
「あら、ジャスティスセイバーだけじゃないわ。私だってジャスティスレンジャーとして変身はできるのよ?」
ジャスティスセイバーと萌葱が乗り込んで来て、リュミエルが見学を決め込もうとしたシシルシを無理矢理連れて乗り込む。
「では私は他のメンバーと後で行こう。後詰に動ける人材が一人くらいいるでしょう?」
「渡、お前は日本でも守っていろ。あと新禿……ではなかったな三神、お前は娘と後詰だ。なんか不幸になりそうだしな」
「酷いな赤城。でも否定出来ないのがなんとも」
「リテルラと御影ももしもの場合に備えて後詰を頼む」
龍華、ジャスティスセイバー、萌葱、フロシュエル、リュミエル、シシルシ、哲也、葛之葉が先発隊として乗り込む。
「もう一人行けそうだな。我も行こう」
「ぬぅ、ならば私もだ!」
直前でラオルゥとユクリが参戦。
扉が閉じられ龍華が最上階を選択する。
「ラナリアはこのエレベーターで途中階に辿りついた後、部屋の奥にあるエレベーターで最上階へ行く構造だ。つまり、この先にある階層は必ず通る中間地点」
「罠があるならその階層、ですね?」
「いや、違うんだフローシュ。あいつが待ってるのがその階層だ。ほぼ確実にな」
「あー、前みたいな感じか」
「おそらくクロリと同じで謁見の間で待つ魔王の如く玉座に座って待っているだろう。奴ならそうする
「つまり、奴はそこに居るのね」
「ああ、そういうことだアン」
「「「「アンッ!?」」」」
当然のように告げた龍華に驚くメンバー。振り返れば一番奥に仮面ダンサーアンが一匹紛れ込んでいた。
「いつの間に」
「普通に葛之葉の後ろから乗って来たぞ? 違和感は無かったからそのせいだろう」
「そうなのか。……そう言えば我がクラスメイトの仮面ダンサーはどうした?」
「奴はエレナーク側に向かったらしい。アンを止めると他のダンサーと結託して向かったようだ」
「それは……よいのかのアン」
「問題ないわ。あの子たちの正義が私を止めたいと思ったのでしょう。私は私でレウコクロリディウムとの決着を付けるだけだ」
「アレとの決着はいいが、まだまだ奴は出てきそうなのだが」
「その度に企みを止めるさ。それが私の罪滅ぼ……いや、何でも無い」
アンは首を振って言葉を飲み込み先頭へと歩み出る。
丁度エレベーターのドアが開いた。
赤い絨毯が敷かれた大広間。エレベーターから出た場所から、真っ直ぐに、そいつは段上の玉座に座って待っていた。
「その姿は……ッ!」
「よく来た仮面ダンサーアン。そして放浪の不死者よ」
「レウコクローン。その姿は朧月絵麗奈か」
「クックック。その通りだよ放浪の不死者」
不敵に、大胆に、禍々しく拵えた玉座に座った女がニタリと笑みを浮かべる。
「エレナーク首領城内真一の弱点。否、唯一愛した女の亡骸だ。後生大事に保存していたからな。私が有効活用させて貰った」
「本気なのねレウコクロリディウム。それに手を出す覚悟はできていると?」
「どうせ使わんだろう。本体の脳は既に培養液に入れられて封印されているし、レウコ本体からの提供でホムンクルス体の生成法も手に入れた筈だ。あのマッドサイエンティストならこの肉体が無くとも問題にせんよ。だが、お前は違うよな、アン」
「絵麗奈さんは私の恩人だ。それを扱うというのならば、今まで見逃していたレウコクロリディウム全てを私は消し去る。完全な敵対で、本当にいいのだな?」
「ふふ。敵対? するまでも無い。既に私が勝利しているのだから敵などないのだよ。ふふ、ははははははっ」
何がおかしいのか笑いだすレウコクローン。
龍華はその態度に不安を覚えるも、既に詰んでいるなどということは理解出来る訳が無かった。
だが、実際レウコクローンは勝ち誇った顔で彼らを見つめて来る。
ただただ漠然とした不安感は、急激に龍華の思考を満たし始めていた。




