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マイノアルテ・最終決戦6

「な、なんで……?」


 メルフィーナの暴挙にエルフリーデは愕然とした顔で彼女を見る。

 仲間と思っていた人物からのまさかの裏切りに、彼女は涙目でメルフィーナを見る。


「ほら、さっさとあの女を倒しなさい伯爵!」


 メルフィーナの叫び、ジルベッタの決意の瞳、エルフリーデの絶望したような表情。伯爵が何をすべきか判断するのはたった一つでよかった。


「ふ、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ」


 ばさり。

 無数の衣類が宙を舞う。

 タキシードにYシャツ、スラックスそしてふぁさりとジルベッタの視界を塞ぐトランクス。


「ふぇ?」


 何が起こったのか理解できず、頭に乗ったそれを手に取るジルベッタ。男物の、しかも先程まで穿いていたことを主張する仄かな温もり。


「ひえぇぇぇぇぇぇぇっ!?」


 叫びながらトランクスを投げ捨てるジルベッタ。

 そんな彼女を放置して、驚くメルフィーナを突き飛ばし、全裸卿がエルフリーデを抱き上げた。


「ちょ!? 伯爵様!?」


「全裸で失礼。あまりの怒りに思わず脱いでしまいました」


 そのままメルフィーナにステッキを突きつける全裸紳士。


「何するのよッ!?」


「それはこちらの台詞でありましょう。我がお嬢様を危険に晒すなど言語道断。貴様との同盟関係は今、この時より断ち消えたと知れい!」


「はぁ!? 理解できてるの!? エルフリーデ、あんたも同意!?」


「そ、それは……」


 メルフィーナの怒声にエルフリーデが首を竦め、しかし、そんな彼女に微笑む伯爵の顔を見て決意する。


「わ、私は……ジルベッタさんに協力しますッ」


「御意に!!」


 敵対宣言と共にメルフィーナ向けてステッキを突く。

 当然、魔女の危機に駆け付けないントロがいる訳がない。

 ヌェルティスを茉莉に任せ、フラグニアが低空飛行で突っ込んできた。


「やらせんっ」


「むぅっ!?」


 咄嗟にエルフリーデを庇う伯爵。フラグニアの吶喊を受け諸共に吹き飛ばされる。


「お嬢様を頼む!」


 ふっ飛ばされながらマグニアへとエルフリーデを投げ飛ばす伯爵。

 思わず受け止め、たたらを踏みながら細い腕でぎりぎり受け止めきるマグニア。

 ジルベッタも彼女の側へと戻って来て、三人揃って吹き飛ばされた伯爵を不安げに見つめる。


 地面を割り砕き、フラグニアが身を起こす。

 次の瞬間、ステッキが彼を吹き飛ばした。

 地面が爆散し、土煙を全裸の紳士が駆け抜ける。


「ふぉうっ!」


 がぱりと開かれたフラグニアの口、吹き飛ばされながらも口からの破壊光線が伯爵に襲いかかる。


「伯爵様、負けないでッ!!」


 エルフリーデの声。横合いからの幼女の声に、伯爵は薄く笑みを作る。


「やっつけて、おじ様っ!!」


 マグニアに言われ、ジルベッタも力を込めて叫ぶ。


「ああ、これだ。幼女の声援が私に掛けられる。なんと幸福なことか。なんと歓喜なことか。この昂揚こそが我が人生の誉れ! 応えよう。その声援に。応じよう、その願いに。我が名はロリコーン伯爵。全ての幼女の味方であるッ!!」


 光の一撃を紙一重で躱し、光の筋の真下を潜りひた走る。

 吹き飛ばされた状態のフラグニアに追い付き、彼が地に足を付けるより早く、渾身の一撃を叩き込む。

 地面を踏み締め、体重の全てを掛け、幼女たちの声援を、願いを、力の全てを込めたステッキがまさに絶死の一撃と化してフラグニアを穿つ。


 対人ミサイルが後部より放たれ伯爵へと向かう。

 しかし彼は避けることなく、貫いたフラグニアを真上に投げ、浮かせた状態でステッキを引き抜く。


「カスタムバルカンストライクッ!!」


 本来の彼であればフラグニアには勝てないだろう。

 しかし、少女たちの願いが、思いが、彼の勝利を願う時、伯爵は無限の力を発揮する。


「FUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO――――――――――――ッ!!」


 ミサイルが伯爵に襲いかかる。フラグニアが自由落下で伯爵へと落下する。

 その全てを受け入れ、フラグニア向け、ステッキによる連続突き。

 爆炎に彩られ、爆風に煽られ、全身を穿たれながらも咆哮をあげて突く突く突く。

 その一突き一突きが、フラグニアにとっても致命的な一撃だった。

 彼の装甲を楽々突き破り、連撃の嵐がフラグニアをスクラップへと変えて行く。


「嘘でしょ!?」


「わざわざ敵を作った馬鹿が! 何をしてくれたのだ貴様は! フラグニアが向こうに取られたせいでヌェルティスと一騎打ちさせられているんだぞ。シャルロッテの護衛にもいけんではないか」


「行かなくていいんだよ。貴様は儂の相手をしていろ!」


 咆えるレウの腕を引っ掴み投げ飛ばす。

 攻撃はプリズムリフレクションで弾かれるが、投げるだけならばその限りではないらしい。そんな防御の隙を付いたヌェルティスのせいで、レウは移動すらままならずひたすらに投げられていた。

 ダメージこそないが、とてもシャルロッテの援護になど行ける状態ではなかったのである。

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