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マイノアルテ・最終決戦1

「はぁ!」


 ヌェルティスの一撃がフラグニアを襲う。

 無防備に食らうフラグニアにはダメージはない。

 彼はヌェルティスを気にも留めず、ビルグリムと闘う真奈香へと攻撃を集中させていた。


 このためビルグリム相手ならば楽勝だったはずの真奈香も苦戦せざるを得なくなってしまっていた。

 ヌェルティスに恨み事を吐きそうになるが、必死にフラグニアと止めようとしているヌェルティスを見れば恨み事など言えるはずもない。

 フラグニアが硬過ぎてヌェルティスではダメージを与えられないのだ。

 覚醒状態になれれば問題はないのだが、一日は覚醒出来ないために完全にお荷物と化しているヌェルティス。


 柳宮は姿が見えない茉莉や伯爵の姿を探しているため護衛から動けない。

 ヌェルティスがフラグニアをなんとかしなければ手詰まりなのだ。

 だからこそ、ヌェルティスは自分の不甲斐なさに歯噛みする。


「こんなモノではダーリンに顔向けできんではないかっ」


「我に言われても困るな」


 必死にフラグニアの体勢を崩そうとするヌェルティス。しかしフラグニアは全く気にした様子無く口からレーザー光線を発射して真奈香を妨害する。

 空を走り逃げる真奈香。

 真下のビルグリムに飛び蹴りを放つが、これは彼の加速で避けられる。


「ええい、何かないのか。今出来る何かは」


「貴様には何もできん。諦めろ小娘」


 いい加減ウザったくなったようで、フラグニアの蹴りがヌェルティスに炸裂。小柄な体が吹き飛んだ。


「がふっ、クソ……」


 龍華が居れば。

 悔しげに呻めきながら立ち上がる。

 食らった腹のダメージがキツイ。身体がふら付き足が震える。

 それでも、自分がフラグニアを相手取ると言ったのだ。せめて真奈香がビルグリムを倒せるように粘らねばならない。


「なんだフラグニア、ビルグリム。いつまで遊んでいる」


「なっ!? 茉莉……!?」


 空から茉莉が舞い降りてくる。光輝く白き翼と、暗黒を纏うような蝙蝠羽の片翼づつを羽ばたかせ、荘厳な態度で彼女は降臨した。


「やぁヌェルティス。ずいぶんと苦戦しているようだな」


「貴様、レウの方か」


 完全に敵側の存在だと思しき援軍の登場だ。

 見上げた先には先程まであった隕石が無くなっている。エンドは上手くやってくれたのだろうか? しかし、それにしては戻ってくる気配がない。


「ん? もしかしてエンドの帰還でも待っているのか? 愚かだなヌェルティス。奴なら宇宙空間で隕石諸共粉砕してやったぞ」


「レウ、貴様ッ」


「ククク、ハーッハッハ!! 魔女戦争とやらに興味はないが、折角なので一番に成らせて貰うぞ!」


「そんなどうでもいい思いの奴に負けてたまるか!」


「ふふ、ならば貴様はどれ程高尚な思いでこの戦争に参加しているのかね」


 フラグニアは完全放置されたために真奈香は二対一の闘いを強いられ、ヌェルティスはレウと会話。これを見た柳宮は沈痛な面持ちになったものの、魔女を守るという目的があるために残念ながら動けない。

 既に詰んでいることも理解したが、打つ手がないため現状は起死回生の一手を探るしか出来ていなかった。


「儂は……」


 ヌェルティスが言葉に詰まっている。レウに良いように丸め込まれそうな彼女に危機感を覚えつつ、柳宮は周囲を探る。相手の魔女はどこにいる? 近くに居るのか、それとも……


「ええい、もう、隊長、すいませんけどちょっとだけ退きます! 覚醒お願いです!!」


 このままではマズいと真奈香が下がってくる。

 選手交代とばかりに真奈香と入れ替わるようにビルグリムに向かう柳宮。


「させると思うか? ホーリー……」


供物蛇の輪舞会リヴァイアス・ロンド!」


 真奈香の撤退を阻止しようとしたレウ。それに反応したヌェルティスの一撃がホーリーアローを撃墜する。

 ステラと真奈香が口付けを行う。


「有伽ちゃん以外の人としちゃった。でもファーストキスは有伽ちゃんに捧げたから大丈夫だよね? 浮気じゃないからね有伽ちゃんっ」


 謎の言い訳をしながら覚醒したらしい真奈香が再びビルグリムへと向かう。

 防戦一方だった柳宮に代わり、真奈香が再戦。


「行っけぇぇぇ、ジャッキー!」


 それは真奈香が初めて見せる技だった。

 半透明の狐のような生物がビルグリムへと襲いかかる。


「なんだこりゃぁ!?」


 慌ててナイフで迎撃しようとしたビルグリム。しかし、ジャッキーはこれをすり抜けビルグリムの腕に噛みついた。


「ぎゃあぁ!? こ、こりゃレイスの類か!? 神聖魔法、おい、魔法使い、こいつはあんたの管轄だろ!?」


「スマンがヌェルティスが邪魔で助けられん。自分で何とかしろ」


「ンな殺生な!?」


 どうやらレウはビルグリムを助ける気は無いらしい。ニヤけた笑みで満身創痍のヌェルティスを見つめている。


「我が邪魔をするだけの力はあるか。しかし随分と非力なようだが?」


「ふん。エンドを破ったくらいで調子に乗るなよレウコクロリディウム。ダーリンの上司だからって容赦はせんからな!!」


 とは言ってみたモノの、今のヌェルティスの実力では逆立ちしても勝てそうにない。

 打つ手がないことにヌェルティスはどうしたものかと思案に暮れるのだった。

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