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ミルカエルゼ・隕石落下2

「カトラ、瑪瑙、任せるぞ?」


 ミルカエルゼで隕石に対応できるのはこの二人だけだった。

 否、超能力者である可憐としては自分でも充分対処できるのだが、菜七の居ないここで頑張っても意味がないので、致命的な危機を向かえない限り手伝う気は無かった。

 なので実質対処可能なのがカトラと瑪瑙しか居なかったのである。


「「処刑執行、大転身!」」


 猛毒の影響で変身が解けていた二人は、即座に変身して互いの片手を握り合う。


「行くよダークネスキューター!」


「任せてよサンシャインキューター」


 しっかと握り合う二人の手が天空へと掲げられる。

 その頭上に出現し渦を巻く陰陽のマーク。

 力は充分、全力可動可能。互いに視線を向ける。


 行ける瑪瑙? いつでもカトラちゃん。

 言葉にせずとも相手の言葉が伝わる感覚。

 皆を守るために、この一撃を紡ぐ。


「「顕現せよ光と闇の融合剣! アブラクサス・ブレイバー!!」」


 その力の奔流は、真っ直ぐに迫る巨大隕石向けて振りあげられた。

 たった二人の正義の味方。

 なれど世界を救う正義の味方の一撃だ。


 真っ直ぐに伸ばされた光が迫る隕石へと飛んで行く。

 薬藻達が見上げる中、一筋の光が巨大隕石へと直撃した。

 爆散する巨大隕石。そして空間の揺らぎに消える欠片達。

 一部飛び散った隕石の欠片が世界へと降り注ぐ。


「あー。あの辺りって大丈夫かな?」


「あっちはどっかの大国あったわね。世界が死滅するほどの欠片は無いみたいだし、ウチには来ないみたいだから気にしなくていいわ」


「ネリウさんそれはどうかと……」


「なら美音奈はアレを止めに何処ともしれない国に今から向かえると? 対処も出来ないんだから対岸の火事として見つめるしか手がないのよ。頑張れどっかの国」


「ひといアル……」


「だが、現状打つ手はあるまい。可憐くらいではないかアレに対処できるのは」


 クリムゾン・コアトルの言葉に可憐はそうですねぇと告げながらも乗り気ではない様子。


「菜七さんも居ないし、結構疲れたので休みたいです。そもそもアレは自然現象ですし捻じ曲げるのもどうかと」


「いや、人災……?」


 冬子が呟くが誰も返答は控えたようだ。


「魔王だ」


「魔王ね」


「魔王ですわ」


 女神の勇者三人が彼らの会話を聞きながら思わず呟く。

 勇者であれば命がけでここから走り別の国の危機を救うものだが、彼らフィエステリア軍はそんな事をするつもりがないらしい。国一つ滅びようが自分たちに問題無ければ気にしないようだ。


「とりあえず被害はこっちにないみたいだし、帰るか」


「そうね。アブラクサス・ブレイバーの影響で空に変な亀裂が出来てる以外被害も無いし、帰りましょうか」


「ちょっと待ってください、アレの影響本当に大丈夫ですか!?」


「シャーセ、大丈夫。私達は無力ダカラ、何もしなくてイイ」


「チキサニは瞑目して祈ってやる。ミルユとシャーセも祈ると良い」


「あっちの国死んだことになってるわよチキサニ。まぁ、絶望的みたいだけど……が、頑張れ」


 稀良螺が気の無い言葉を告げる。

 そしてフィエステリア軍は帰路に付く。

 他の国が受けた打撃など気にも止めることなく、自分たちの仕事は済んだとクラリシア城へと戻って行くのだった。


「あ、ノエル、レミーラ、雅も一緒に来てくれるか」


「あ、はい。あの、一緒に付いて行って、いいんですか?」


「いいも何も女神の勇者は壊滅したし、行くと来ないなら俺のとこ来なよ。城だし部屋は余ってるから好きに使ってくれ」


「ほほぅ、そう言ってまた女を連れ込むのね薬藻」


「ね、ネリウ、いや、でもね。ほら、キスしちゃった手前責任って物が……」


「あら、あいつら女神の勇者なんだから殲滅してしまえば責任取る必要、ないわよね? それともあんたが責任取って三人分ぐらい死んどく?」


「ひぃ!?」


「アミー、フォローしなさい。ライトニングランス」


「三人の事はもう認めたんじゃなかったのかよ!?」


 慌てて逃げ出すフィエステリア。それを追ってネリウと肩に乗ったアミーという名の地球産小人魔王が走りだす。


「元気ねぇ」


「そういう問題ですか美音奈さん」


「いつものことだから気にせずに。それより三人とも、折角だし城の中案内するわ。そこまで大きくないから数日もあれば直ぐに覚えるし。皆気さくな人多いから遠慮なく主張しちゃっていいわ。あ、でも一般の人々は労わってあげてね。上があんなだから苦労人が多いの」


 巨大な水竜に乗ったネリウがフィエステリアに特攻する。そんな姿を見ながら成る程、と思わず納得してしまうノエルたちだった。

 前の世界では世界を呪う程に辛い日々を過ごした。でも、今回は、むしろ呪う程の感情を抱く暇があるかどうかすら不明な気がする。そんなノエルであった。

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