マロムニア・隕石落下3
「撃て撃て撃てぇい!!」
ミシャンドラ指示の元、魔法使いたちが全力を持って隕石を撃破していく。
それでも被害はかなり出ている。
一般人こそ巻き込まれた様子はないが、障壁を突き破る一撃に何人かの負傷者が出始めていた。
「まだ終わりませんか!?」
「隕石の数が多い! ドラゴンブレスは止めさせろ! ブレスが弾幕になって対象を見逃しやすくなる!」
「ええい面倒な。こういう時自分のスキル構成が恨めしいっ」
「ハンドレッドマジック、プラズミックフォレスト!!」
クラシカの言葉は完全に無視された。
現状まだまだ隕石が降ってくるので見れば分かるということだろう。
代わりにミシャンドラの怒声が飛び、魔法のレパートリーに隕石を上手く倒せるモノがない菜七が唇を噛む。
空一面にプラズマの森を出現させたイチゴにより殆どの隕石がプラズマ分解されるが、それでも一部の隕石はこれを突き抜け地表を襲う。
「一定以上デカイのがやっかいですね」
「衝撃波が周囲に伝うからな。一撃でも仕留め損ねれば次の連撃を迎撃出来なくなる」
「伝令、塊来ますッ!!」
「見えている! イチゴ、インフレサンダーだ!」
「はい!」
マジックポーション片手に魔法を詠唱するイチゴ。一気に飲み干しケプッと音を鳴らしながら強烈な魔法を撃ち放つ。
「巨大破片撃破確認! 散弾来ます!」
「ドラゴン部隊、迎撃入れ!」
そう告げながらミシャンドラはがぱりと口を開く。
その口から光が溢れ、一撃必殺。口から迸る赤黒い光線が迫り来た隕石の群れを一瞬で破砕する。
ちゅどどどーんと音が聞こえそうな一撃に、竜軍団が憧れの瞳を輝かせる。
「ブレスでは視界を塞ぐからな。光線は範囲が狭いが纏めて破壊出来て便利だ。ブレスの放射を絞って撃ってみろ」
まさかのドラゴン達への指導を行いながら自分も隕石を迎撃していくミシャンドラ。
その一撃一撃が百個単位の隕石を破壊している。
それでも隕石の流星群は終わる様子は無く次々と地表へと突き刺さってくる。
「6番隊魔力切れ、回復に入ります! 13番隊フォローお願い!」
クラシカは魔法で迎撃しながら周囲に指示も飛ばしていた。
魔王である彼女は部隊も指揮していかなければならないのだ。
本来は総司令官の役割だが、今の総司令官は猿なので言葉を瞬間的に理解するのが難しい。指示は飛ばせるがその訳を翻訳をする人物が皆に伝えるというロスが発生するのでクラシカが直接指示した方が速いのだ。
「数が少なくなっているな。全員もう一頑張りだ! 死力を尽くせ、お前達の背後には守るべき国がある! 守り切れ! 民を! 仲間を! 家族を! 後少し踏ん張るだけでいいんだ。守り切るぞッ」
菜七の声に鬨の声が上がる。
その掛け声も惜しいと詠唱の声が大きくなる。
掛け声の代わりに詠唱に力を入れた一部の魔族によるモノだ。
皆、思いは一緒だと告げるように、彼らは一層の力を込めて隕石を撃破していく。
「ハンドレッドマジック、プラズミックフォレスト!! すいませんポーション中毒手前なのでこれで百連発は打ち止めです!」
ついにイチゴの魔力が底を付いたらしい。否、単発魔法はまだ打てるが連続射出が打ち止めのようだ。
マジックポーションの残骸が彼女の周囲に散らばっている。余程急いで飲みほしたのだろう。
「充分過ぎる働きだ。後は……まだまだ続いているな」
「すいません、流石にこれ以上は……指揮に専念します」
「防御部隊前に出しとけクラシカ、魔力切れの魔族がやられるのを防ぎたい」
「あ、はい。無効之盾か拡盾持ちは前線に! 魔力切れを起こしそうな仲間を守ってください!」
「偵察部隊より連絡、宇宙? 空の飛来物終息。今見えているのが最後です!」
「朗報だ。では我も……おおお?」
必殺を使ってやろう。とミシャンドラが気合いを入れた瞬間だった。突然彼の真下に魔法陣が現れ光り輝く。
「誰かが再召喚を!?」
そしてミシャンドラが消え去った。
今までミシャンドラに乗って前線にいたイチゴは、突如消えたミシャンドラのせいで自由落下を開始する。
既に魔力切れを起こしかけていた上に空を飛ぶ術を持たない彼女は何の抵抗すらできずに地面向けて加速していく。
「う、嘘!? ミシャンドラさんっ助け……」
「世話が焼けるな人間」
だが、地面に激突するより早く赤きドラゴンがイチゴを背で受け止め上昇する。
「わわ、あ、アグニさん!?」
「折角だ、我も参戦してやる。いいか、決して妻とイチャラブして遅れた訳ではないぞ!」
「よくわかりませんけど助かりました」
赤きドラゴンが別のドラゴン一群を引き連れ参戦。ミシャンドラの撤退で絶望感に支配されかけた軍団を一気に蘇らせる。
「このアグニ・アルカン・アトランテが来たからには大船に乗ったつもりでいるがいい!!」
メギドフレアを開戦の合図だとばかりに吐き出して、赤竜王が参戦するのだった。




