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マロムニア・隕石落下1

 ―― という訳で、隕石なんとかしてーっ ――


 駄女神が天から声を出す。

 それを聞いたクラシカとイチゴ、そして菜七は慌てて炬燵から脱出した。

 外に出てみれば、月よりなお巨大な隕石が徐々に近づいているのが見える。


「お、おいおい。なんだあれは? 出来の悪いジョークだな」


「冗談ですまないですよ。どうにかしないと!」


「どうにかと言っても星の外だと手の打ちようが……」


「無いわけではあるまい? アレを破壊する手立ては本当にないか?」


「そうですね。ミシャンドラさん召喚すれば何か方法があるかも?」


 イチゴは菜七に頷き召喚を開始する。

 契約によりイチゴの危機に駆け付けることになっている魔王は、求めに応じて即座に顕現した。

 フォルムはメタリックな鎧に覆われた竜といったところだろうか? 凶悪さと恰好良さが混在するその生物にクラシカと菜七がおおぅと驚きの声を浮かべる。


「天魔戦争で見かけはしたが、こうしてマジマジ見ると凄いな」


「何が凄いのか知らんがイチゴよ。何の用だ?」


「すいませんミシャンドラさん。アレ、なんとかできませんかね?」


「あれ? おお、これはまた大きな岩が迫っているな」


 空を見上げて呑気に告げるミシャンドラ。

 少し考えイチゴを見る。


「宇宙空間に行ったことは?」


「ありません」


「放射能浴びて大丈夫か?」


「無理です」


「どうにもならんな」


 結論は即座に出た。


「どうにかなりませんか?」


 クラシカの言葉にミシャンドラは唸る。

 その頭上を、ドラゴン編隊が飛んで行く。


「……んぉ? 居るではないか丁度良いのが。小娘よ、あの生物集められるだけ集めて見せろ」


「あの生物? ドラゴン達のことですか? ですが彼らは空は飛べてもその先へは……」


「行く必要はない。スキルを纏めて一点突破であの岩を破壊する。流星雨になるだろうからその迎撃はお前達で行え。そのくらいなら問題あるまい。理想は大気圏で燃え尽きてくれれば問題ないがな」


 ミシャンドラの言葉で緊急招集が始まった。もともと勇者迎撃で魔国周辺に集まっていた竜軍団に加え、周囲の山を縄張りにしていたドラゴンたちが集まったので合計50体にもなるドラゴン集団となった。


「方法は簡単だ。我が作りだした一撃に全員の最高の一撃を合わせろ。力の掛け合わせはこちらでやる。お前達は自分の出来る最大限の遠距離技を繰り出すだけだ」


 シンプルだろう? 告げるミシャンドラにドラゴン達が神妙に頷く。

 クラシカ達も遠距離攻撃で援護することにしたが、果たして上手く行くのか、クラシカは不安でしょうがない。


「イチゴよ」


「あ、はい。なんですか?」


「お前の魔法で最高威力の大魔法は何だ?」


膨れ上がインフレーション・る雷撃サンダーボルトですね。それをハンドレッドマジックで百連発します」


「魔王よりも鬼畜な攻撃だな。だが今は助かる、それで行け」


「わかりました。勇者相手に闘えませんでしたしね、本気、出しちゃいます!」


「私も手伝おう。飛び交う焔鳥スカイ・フェニックスでいいか?」


「では私は青き轟炎でお手伝いいたします」


 ドラゴン部隊に魔法師団が頭の上に乗り、ドラゴン、魔族が協力して事に当ることになった。

 中央にミシャンドラ。彼を中心に円陣を組むように60体のドラゴン。いつの間にかさらに10体増えていた。遠くから遅れて来てくれたのがいたらしい。その頭の上にエルフや魔族、遠距離で魔力の高い存在が配置され、魔法詠唱を始めていた。


「ミシャンドラさん、全員用意完了です!」


「ならばよし。行くぞ、一斉掃射!」


 ミシャンドラの一撃が空へ向って放たれる。

 それに追いすがるようにドラゴン達のフレアが放たれ、魔法部隊から様々な魔法が放たれる。

 中には相反する魔法が放たれていたが、ミシャンドラの一撃に合流すると、螺旋を描いて虹色に輝く一撃に融合してしまう。


 クラシカの青い炎も、菜七の火の鳥も、百連続の雷撃も、全てがミシャンドラの魔法を強化する一助となって、たった一つの閃光が隕石向けて飛んで行った。

 遥か空へと飛んで行き、大気圏を突破して、宇宙の先へと放たれる。


「大分離れているからな、着弾まで時間がかかるが、さて、どうなるか」


 空を見上げる面々は、ただただ不安に空を見上げるしか出来なかった。


「と、とりあえず、これでもう大丈夫ですよね?」


「さぁて、そればかりは私でも何も言えんな。マロンの奴待ちか」


「け、結構長いですね。粉砕させるには早すぎましたかね?」


 結果が出るまでの時間が長かったせいで緊張が切れたようだ。クラシカの言葉にミシャンドラは溜息を吐く。


「当然だ。最悪を考慮して後一撃放てる余裕を持って攻撃した。そら、気を抜くのは早いぞ。この結果いかんでは二撃目の用意だ」


 気を抜いてる暇はないぞ? と窘めたミシャンドラに、クラシカは慌てて意識を引き締めるのだった。

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