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第6話

「特警は政府公認の組織だ。こうみえて組織としてはかなりしっかりしているから安心して欲しい。活動内容によっても異なるが報奨金はひとつの任務につき20万からだ。活動についてだがコープスの討伐、封印の調査、管理等全ての守護を行う。……話付いて来れてるか?」

「あっ……はい」

「報奨金が多くて……びっくりしてるだけです」


春は淡々と説明する。分かりやすく紙にもまとめてくれているので分からないことは無い。ただ律花もルティナも報奨金の金額の大きさに圧倒されていた。


「……ルティナ。コープスの説明はした方がいいか?」


春はルティナを見ながら問う。


「……いえ存在は知っているので大丈夫です」

「政界関係者か?」

「あ……ちょっと、父が」

「成程な。普通は知らねぇ筈だから聞いただけだ。気にしなくて大丈夫だ」


ルティナがコープスの存在を知っていることに春は目を鋭くさせた。ルティナは少し怯える。表情とは裏腹にただ聞いただけらしい。ほっとした。


「……話を戻す。特警には交付物がある。隊員章と隊員手帳だ。隊員章はいわゆるバッチだ。この2つがある事で隊員だと判別できる。出来上がり次第渡す形になる。封印でも使うので任務の時は忘れずに持って欲しい。それと武器をひとつ選んでくれ。コープスなどの魔力にしか反応しない武器だ。銀って奴が管理している。彼と決めてくれ。こちらからの説明は以上だ。それと特警の内容全ては口外禁止だ。質問はあるか?」


春は説明を終えると質問タイムを設けてくれた。律花は遠慮なく質問をする。


「……活動頻度はどれくらいですか?俺バイトしてるので……」

「……そうだったな。政府からの依頼でこちらは動く一概に言えんが週一くらいか……。多いときは多いし無い週もある。動ける時に動いてほしいので出来れば辞めて欲しいのが本音だな」

「……ちょっと、難しいかもしれないです」

「……分かった」


春は間を置いて了承した。本当に了承したのかは定かでは無い。


「昼間とかも活動あるんですか?私たち学生なので……。あといきなり戦うのは無理です」

「昼間は基本的にない。メンバーも働いてるのでな。いきなり戦ってもらうことはしない。しっかり訓練した上で参加してもらう」

「……なるほど!よく分かりました!」

「他に質問あるか?分からんことが分からんだろうから疑問に思ったら都度聞いてもらえば応える」


2人とも質問はなかった。春が言う通り分からないことが分からない状態だからだ。

次に書面にサインと拇印を押す。


「これで君たちは特警のメンバーだね!これからどうぞよろしくね」

「はい」


日向は歓迎の挨拶だけしっかりしていた。良いとこだけ取りのような気がするが春は気にしていない様子だった。


「じゃあえっとメンバー紹介といきたい所だけど今日は揃ってないから……定例会議っていうのがあるからその時にしよう。まず個人部屋見てもらおうかな」


日向は付いてきてと店の奥に誘導する。これには2人とも気が引けたが日向がにこやかに手を振るものだからおずおずと後を追う。


「上はねー、成宮家なんだけどー……あ、つまり俺ん家ね。地下に特警の施設があってこれも後々案内するけど、施設のひとつに個人が好きに使っていい部屋があります!」

「えー……すご……」


大規模には見えなかったのに思ったよりも色々あって思わず言葉が出る。


「来たばかりでここ使ってねってちょっと言えないんだけど早く用意するね。個人って言っても2人になっちゃうかもだけど。共同だけどトイレもお風呂もあります。ご飯は俺が作るしベッドもあるから泊まれるよ。一つだけ完全に住んでる子が居るの。気づいたら住み着いちゃってて……不思議な子なんだけど挨拶してく?」

「……あ、今度で大丈夫です……」


なんだか嫌な予感がして会うのには気が引けた。どうせ紹介する機会があるならその日でいいと思う。春と日向の部屋だけ教えて貰うとBARに戻った。


「封印も見せたいけど日が落ちてきてるし危ないからまた今度にしようか。今日はこれで帰ってもらって大丈夫だよ。LINEだけ聞いてもいいかな?」


日向と春、ルティナと連絡先の交換をする。その後るティナは日向に、律花は春に送って貰うことになった。


「……バイトの件、どうにかならんか。任務がありました、バイトで出れませんじゃ入隊してもらった意味が無い。他のメンバーも出て貰ってる以上特別扱いは難しいな。それとも他に事情があるのか?」


送って貰う車内でバイトの話になった。お小遣いが欲しくてバイトしてるんじゃない。世間体はどうしてもそういう風に見えてしまうから本当のことを話すしか無かった。


「……俺……親がいないんです。弟と2人で暮らしてて生活費稼ぐためにバイトしてるので……」

「……なるほど。話してもらって悪かったな。活動の保証は化け物相手だから出来ないな……。これは提案なんだが差し支えなければ俺と日向で不足分を保証するのはどうだろうか?俺も日向もメインの仕事もあるからそれなりに余裕がある。正直欠席されるより保証した方が負担が軽い」

「……あ……まぁ、それなら……。でもバイト先父親の友人なので完全に辞めると不審がられるので減らすくらいになりますけど……」

「……十分だ。口外禁止の件だがな、律花の場合は弟くんのみ許可する。未成年同士2人だけともなると色々やりづらいだろうからな。次、連れてきてくれ。今日は挨拶だけして帰る」

「なにから何まですみません……」

「せっかく入ってくれたからな」


毎月一日に保証金として渡してくれるらしい。任務を1回出るだけでもバイトしているよりも全然稼げる。それが安定して入るなら生活が安定する。とてもありがたかった。


自宅に帰る。その後ろには春もいる。出迎えてくれた雅騎は目を丸くさせて驚いていた。


「急に来てすまないな。驚かせただろう」

「いえ……でも、びっくりはしました。兄貴特定の人以外はつるむの見たことないから……」

「そうなのか。人見知りなんだな」


せっかくだからと雅騎は春を家へ招いた。食卓には夕飯が並べられていたが他に客人と共に座れるような所はないためそこに座ってもらう。春は早速話を始めた。雅騎は春の話を冷静かつ真面目に聞いていた。あまり現実的な話では無いのに受け止めていた。


「別に今までとそんなに変わらないってことっすよね帰宅時間は」

「あぁ……まぁそうだな」

「危険じゃないんすか?俺身内兄貴しかいないんすよね」

「危険じゃないようにこれから訓練もつける」

「兄貴が決めたことだから止めないけど何かあったら恨みますから」

「責任を持って保証する。次に集まる時は君も来て欲しい」

「……分かりました」


雅騎の凛とした態度に律花は驚いた。威厳とした様子を見たことがなかったから意外だった。春は説明を終えるとすぐに帰っていった。


「……兄貴、父さんの約束破るんだね」

「そ、それは色々あって」

「別にいいんだけどさ。兄貴自身を守るために言ってたみたいだし。影のガーディアンなんてカッコイイじゃん!!心配はするけど兄貴が決めたんだったら応援するよ」

「……ありがとう」


その後夕飯と入浴を済ませる。雅騎は先に寝床に行ったが律花はゲームを始めた。

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