序章 夢
初めてまして、こんにちは。十六夜煌羅と申します。以後お見知りおきを。
こちらの作品は前作レイズクラウンの改良版になります。キャラなど一部重複する所がありますがご了承ください。
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「すまない……」
「すまなかった……」
突如、低い声がした。人の気配はあるものの周りは漆黒の闇。姿や表情は伺い知れない。
「すまない……私は、どう詫びたらいい?」
切なそうに重苦しい雰囲気を声色に乗せて執拗に謝罪を口にする。
謝られている彼はその理由が思い当たらない。
「どうして、そんなに謝る?」
「……全てが私のせいなのです。私は、どうすれば……」
この世の全ての負の感情を背負ったような、酷い嗚咽交じりの声に彼は理由も分からないにも関わらず胸が痛んだ。
「どうか、そんなに自分を責めないでくれ。思い詰めすぎて貴方が潰れてしまう。……その前にどうか」
「……私は……。私は、取り返しのつかないことを……。私が軽薄なばかりに、心情を止めることが出来なかった……。どれだけ悔恨に苦しんだとしても私の懺悔は届くことはないのだ……。本当に、すまない……」
男にどれだけ慰めの言葉をかけても気持ちは晴れることはないんだろうと彼は悟った。
いや……、言葉が見つからないと言った方が正しいだろう。
謝罪を繰り返す男にただ寄り添うことしかできないことがもどかしい。
同調しているのか男の思念が流れ込んでくる。
愉悦。悲愴。憤怒。後悔。憂鬱。妬心。海容。焦燥。……そして最愛なんて言葉だけでは収集がつかない程の強く人を想う気持ち……───────。
様々な感情が複雑に絡み合って混乱に陥る。
強い思念の中へ飲み込まれそうになりながらもこれだけは伝えなければならないと言葉を紡ぐ。
「どうか……。どうか、貴方の罪が許されますよう……」
「だめです……。それではだめなのです……!あなたには……───────ですから……」
男はより一層苦しそうに、辛そうな、消え入るような返事をする。最後は聞き取れなかった。なのに男はスっと遠ざかっていく。
「待て……っ!今、なんて……っ!!」
「待ってくれ!!」
腹の底から声を振り絞って叫ぶ。
「…っ!?……はぁ、はぁ……っ!!」
突然の叫び声に目を覚ました。それが自分の声だと気が付くのに僅かな時差があった。
H31.03.25 改変
R7.03.19 改変