第31話 お気になさらず
どうも半年振りに更新です。今回は夏実さんの番外編チックな話です
夏実が斉藤につき始めて数日が過ぎた
「ネクタイ曲がってますよ?」
登校時に迎えにきたり
「これ今日のお弁当です。大好物の
毎日家に来ては甲斐甲斐しくお世話をする
その光景を母親と従姉の恵子は目を輝かせながら凝視する
それが斉藤家の日常になりつつある
しかしその一方で
「違う! そんなんじゃない! 谷口ならもっときれいになるはずだ!」
掃除をする夏実を注意する
「脂っこいものばかりじゃないか!! 谷口ならちゃんとバランスを考えるはずだ!!」
食べれば最高級のレストランの味の料理に口出しをし
「遅い!! 谷口ならもっと機敏に行動するぞ!!」
何かにつけて谷口、谷口と持ち出しては夏実を罵倒する
普通はそこで心が折れて
「私は谷口ではありません!!」
となるはずだけど
熱狂的な斉藤信者である夏実には関係なかった
(いつも谷口さんって引き合いにだすけどどんな人なんだろう? そうだ!)
夏実が興味がわいたようだ
「あの~お願いがあるのですが……」
家に電話をする夏実
翌日
登校中、怪しい人影が見えた
「なにしてるの?」
茜が声をかける
隠れているつもりなのだろうか? ダンボールで作った草むらであろう間からじっと茜を見つめている。
時よりメモを取る
「これで……隠れてるつもりなの?」
苦笑いの茜
周りの視線もちくちく痛い
しかし彼女は全く気にすることもなく
「お気になさらず」
と一言
「お気になさらずって……だいたい学校違うでしょ?」
そもそもの問題で呆れる茜
「お気になさらず」
それでもまったく顔色を変えない夏実
「それは何が書いてあるのかな?」
メモに興味を持った僕が問いかけてみた
「……秘密です」
しかし冷静に答え見せることも教えることもしなかった
そして
「今回はこの辺で」
わけがわからないまま彼女は去っていった
(何がしたかったんだろう……?)
とても不思議な時間が流れた
(あのお方が、谷口様。かなり美人でだんな様が一目おくのもわかります。少しでも谷口様に近づけるように修行しなければ!!)
茜を見て自分を奮い立たせる夏実であった。
三時間目の休み時間、体育の授業後で着替えるため茜は教室へ
着替え始めると天井から女の子が現れた
「きゃー!!!」
とっさに悲鳴を上げるもすぐに気づいた。
幸い彼女の存在は誰からも気づかれてない
「……すばらしい……スタイルですね……」
写真を撮りながらメモを取る夏実。
「たくっあなたどこから入ってきたのよ?」
呆れ顔で問いかける茜。
「……お気になさらず……」
しかし夏実は表情ひとつ変えず答える
「それに何しにきたのよ?」
その質問に対して
「……観察です……」
夏実はそう答える
「私の?」
茜はさらに尋ねる
「……ええ……谷口様の」
その問い夏実は紳士的に答える
「谷口!!?」
茜は驚く
「……必要なデータは取れたので今回はこの辺で……」
驚く茜を無視して夏実は去っていった
「ちょ、ちょっと!!」
お昼休み
「はぁ~……」
茜がため息をつく。
「どうしたの?」
僕は心配で声をかける
「あのね? 斉藤さんが好きな女の子からどうやら龍二と間違われてるみたい」
茜が切り出した
「え? 霧島さんが? どういうこと?」
要領が得ない僕は聞き返す
「つまりそういうことよ。だいたいなんであんたなんかと間違われるのよ!!」
話しているうちに腹が立ってきたのかだんだん声が大きくなってくる
「茜! ちょっと落ち着いてよ!」
とっさになだめる僕。
「はぁ~どうしようどうしよう……」
悩む茜。
「それは単純に谷口の方が優れているからではないか?」
自然と斉藤が会話に参加する
「なによ!!? それ? どういう意味ですか!!!? それにいつの間にるんですか?」
茜は斉藤に抗議する。
「そのままの意味に決まっているではないか。谷口は勉強も運動もできんが料理はうまいし、男気があるしな!!」
抗議に対する返答をする斉藤。
「だいたいあなたの管轄でしょ? 彼女は。どうにかしてくださいよ……」
斉藤に懇願する。本気で堪えているようだ。
「俺は知らん! あいつが勝手に暴走してるだけだ! だいたいあいつは谷口は女だと思っている。当たり前だ。俺は男だからな。普通恋愛対象としてみるのは女だ。だからあいつが勘違いしてもおかしくはない。まぁそのおかげで俺は谷口を奪う隙ができたがな?」
無責任な発言。まぁ彼女が勝手に暴走しているだけなのだから斉藤に当たるのは筋違いかもしれない。
「隙?」
「ああ! 谷口を借りるぞ! 愛をはぐくむために!!」
斉藤は僕を教室から連れ出そうとする
しかし
「龍二が変な趣味に目覚めたら困るの!! 渡さないわ!」
斉藤には左腕を茜には右腕を引っ張られる
方や野獣と恐れられた斉藤と方や学校のアイドルと謳われる茜が僕を巡って争いをしている
その光景はとても異様なものである。斉藤にいたってはかつて憧れを抱いていた相手今ではそんなこと微塵も感じさせない。
僕は複雑な心境で二人の争いに巻き込まれ昼休みが終了した
その夜
「はぁ疲れた……」
夕食を食べながらそう漏らす
一日中霧島さんに付きまとわれたのだ。無理もない。
それに僕と間違われてるっていうのもお冠のようだ。
「夕食はから揚げとえのきだけとわかめのお吸い物、ポテトサラダとゆで野菜。とてもバランスがいいですね……さすが谷口様……」
メモを取りながら褒める夏実。
「うわ~!!! どこから入ってきたんですか!!!」
僕は驚く。それは僕の隣に座っているからだ
「……お気になさらず……」
いつもの口調
「お気になさらずって……あなたね……家まで入ってきて気にならないのがおかしいわよ!!! だいたい何の観察なのよ!!? こっちは一日中あなたに付きまとわれてヘトヘトなの!! 家まで来ないでよ!!! それにね~なんでこいつなんかと間違われるわけ!!!?」
立ち上がり思いっきり指を指された僕。
「だからあなたが谷口様じゃないんですか?」
首をかしげる夏実。
「違うわよ!!! 私は本郷茜!!! 谷口はあれよ!!」
また指を指される
「どうも谷口龍二で~す」
申し訳なさそうに自己紹介
「……谷口様が男……」
夏実もどうやらショックのようで表情は変えないがだんだん顔面蒼白になっていく。相当なものだったのだろう。
しかししばらくすると
「……男を好きなるなんてさすが真の漢さすが明様……」
惚れ直したようだ。
「……谷口様……あなたには……負けませんから……」
こうして誤解は解けたものの僕は霧島さんにライバル宣言されるのであった
お母さんの一日に密着
次回、未定
またもや番外編チックになりそうです