第30話 私は大好きな明さんの隣にいられてとても幸せでしたよ?
※今月3月11日に起きました東日本大震災にあわれた方、心からお見舞い申し上げます
連日報道での原発の事故を含め悲惨な状況に胸が痛みます。時には涙が止まらなくなります。
被災された中には家族や友人の安否がわからなかったり家自体がこわれている方々もおおくいらっしゃいます
何をすればいいかわかず途方にくれるという状況に直面している方々も多くいらっしゃいます
しかし前を向いて生活しなければないりません
そういうお手伝いをこの作品を通してできたらいいなと思います。元気をあげられたらと思います
1日でも早く復興して、被災された方々が普通の生活が送れるようになることを心から願っています
ということで斉藤さんのデートの後編です
「私とデートしていただけないでしょうか?」
夏実が願い出る
「いや、ダメだ」
斉藤は即答する
「なんでよ? ここまでしてくれてるんじゃない。何がいけないの?」
伊織は理解不可能と言わんばかりである
「当たり前だろ!! ストーカーするような女と一緒に居られるかよ!!」
反論する斉藤
しかし
「この際、いいじゃないですか。あんなかわいい娘が言い寄ってくるなんて滅多に無いですよ?」
茜が続く
「そうだな」
冷静に由良が同意する。
「女の子があそこまで勇気を振り絞ってお願いしているのに断るなんて鬼畜です」
遥も同調する
(何気に遥ちゃんキチクって……)
そんなことはスルーして情勢的には今の斉藤はまさに四面楚歌の状態である
遥の鬼畜発言が効いたのかはわからないが、全員が斉藤の拒否に対して猛抗議をしたおかげでなんとか夏実とデートをすることとなった。
そして迎えたデート当日
なぜか俺は銀法駅の前にいる。待ち合わせをしているのだ。デートの。相手は美人なお嬢様で向こうから誘ってきた。普通の男であれば泣いて喜ぶシチュエーションだろうが女なんぞには全く興味がない俺には苦痛で仕方ない。しかもそれが苦痛な日々を送らせた張本人なのだからなおさらだ。
しかしこれが終われば全てが終わり、あいつから解放されるんだ。そして谷口とばら色の未来をと考えていると俺を苦しめている元凶が現れた。
「明さ~ん」
と手を振りながら近づいてくる
姿が大きくなった瞬間あろうことか固まってしまった
(かわいい……)
本能がそう告げた
夏実は
「……明さん?……大丈夫ですか?」
覗き込む
気づいた俺は目の前の夏実に驚いた
「うわ~!」
「大丈夫ですか?」
心配そうに見つめる
「大丈夫だ。何でもない」
(かわいくない、全然かわいくない……谷口の女装姿の方が千倍可愛いわ!)
ふいに思ったことを否定し、自分に言い聞かせた
「何をブツブツ言ってるんですか? 行きましょうか」
心の声が口に出ていたか?
「お、おう」
俺たちは駅を後にした
やってきたのは動物園。坂道を登りまずいたのはゾウであった
檻の奥の方でまるで俺たちを見ているかのようにじっと見つめている
「ゾウっていつでも群れを作って生活をするんですって」
ストーカー女が俺に話しかける
「それがどうした」
そっけない態度を取る
「なんかいいですよね!」
「そうか?」
興奮気味で話す夏実に俺は首をかしげた
「ええ。いつでも家族一緒みたいでいいじゃないですか! 私もそんな家庭作りたいな~」
彼女は物思いにふけた。
(こいつもこんな所あるんだな)
俺はなぜだか安心した
象の檻を過ぎた後はヤギやライオン、シマウマ、キリンなどいろんな動物を見て回った
俺も女も腹の虫が鳴ってきたので動物の観察はひとまず休憩して昼食をとることにした
場所は広い原っぱ。たくさんの家族がビニールシートを広げていた
俺達も同じようにする
今日はストーカー女が料理を作ってきたと言う。ストーカー女だ変なものを入れて強引に自分のものにするんじゃないかと不安になってしまう
取り出したのは高級そうな重箱。さすがお嬢様と感心してしまう
「あのうちの専属の料理人たちから教えてもらって作りました」
恥ずかしそうに俯くストーカー女
(う~なんだよ! これはアピールなのか? かわいいですよっていうアピールなのか?)
彼女への胸キュンを必死に耐える
そしてフタを開けてみるとどれもこれも御節だろうかと疑いたくなる豪華な料理が所狭しと並んでいた
とりあえず一口
難癖つけようと必死に考えたが出てこず
「……う、うまいぞ」
素直に料理の感想を言った
すると今まで親にこっぴどく起こられたような不安そうな顔から晴れやかな満面の笑みに変わった
「良かった……」
(やべぇ~完全に汚染されそうだ……助けてくれ!! 谷口!!)
そんな心の声が届くことなくにの後もマウンテンゴリラやトラなどを見て回り動物園デートを楽しんだ
俺たちは動物園を離れて町を一望できる高台へやって来た
太陽は西側にある自宅に帰宅しかけていた。
「こんなとこあったんだな」
俺は長年この街に住んでいて初めて知った
夕日を見ながら女は口を開いた
「今日のデートとても楽しかったです」
「そうか。でも俺は何もしていないぞ。何一つお前が喜ぶことなどしていない」
今日一日を振り返る俺
「そんなことありません。私は大好きな明さんの隣にいられてとても幸せでしたよ?」
ストーカー女は振り向き微笑んだ
(うわっ! 今の反則だろ!! こんな笑顔見せられたら……)
「だけど夢の時間は終わり、現実の世界に戻らないといけないですね。無理を言って付き合ってくれて本当にありがとうございました。今日のことは忘れません。もう二度と顔見せませんので」
こみ上げてきたのかストーカー女は次第に涙声になっていく
「バーカ。何泣いてんだよ」
「え?」
「まぁ……なんだ……そこまで想ってくれるようだし、いいぜ! また会いたいっつったらまたいつでも会ってやる。ただし迷惑になるようなことはやめろよ。夏実」
自然と言葉が出てきた
こうして斉藤は夏実との面会を許可した
数日後
斉藤が登校中
「すいません! インターハイを3連覇した斉藤明さんですよね!」
とある女の子が斉藤の前にやってきた
「ええ。そうですけど」
斉藤は肯定する
「実はファンなんです!! サインをもらってもいいですか?」
と興奮し、色紙を差し出す女の子
「あ~き~らさま~! これはどういうことですか~? 私というものがありながらほかの女子と仲良くするなんて」
後ろから天使の皮をかぶった悪魔が一歩ずつ近づき手来る
右手にはどこから持ってきたのかチェーンソーが。
ゆっくりエンジンをかけ
「ちょっと待て!! この人はただ単に柔道のファンだ」
反論する斉藤
「でも女の子と仲良く話していたのは事実」
夏実は聞く耳を持たない
うぃ~~ん
チェーンソーの音が大きくなる
「言い訳なんか聞きたくない! もういいです! あなたを殺して私も……」
斉藤を追い回す夏実であった
龍二に興味を持った夏実の行動とは?
次回、お気になさらず




