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第3話 そんなの、自分の胸に聞いてみなさいよ!!

雨の日の翌日

遅刻ギリギリで学校に着くと

「ねぇねぇ聞いた一昨日の事?」

「え〜うそ? あの谷口君がね〜」

なにやら僕の噂が流れているようだった。

「なんだろう?」

「さぁ〜」

2人で

「おい!! 見ろよ!! 今日は本郷茜と一緒だ」

と誰かが気づいて言った。すると周りに人が集まってきた。

「本郷さんを助けるためにケンカしたってホント?」

「何で今日は2人で登校してきたの?」

「そういやおとといも一緒に帰ってたよね」

「ねぇねぇ2人って付き合ってんの?」

「そんなことあるもんか!! 俺たちの茜ちゃんがこんなヤサ男と」

まるで記者会見のように質問攻めにあった。そして一方茜の熱烈なファンが否定した。

「な、なんなのこれ?」

焦る茜

「さぁ?」

お手上げ状態の僕。

「のん気に『さぁ?』って言ってる場合じゃないでしょ? なんとかしないと」

茜はこの状況の打開策を考える。

「どうすんの?」

考える茜に聞いてみる。思いついたようだ

「もちろん……すいません、道を開けていただけないでしょうか?」

と茜は今にも泣き出しそうなで声で言った。すると男達は一斉に道を開けた。

僕はゾッとした

(あ〜あ……またやっちゃったよ……)

「行こう? 谷口君」

(谷口君って……寒気がする……やっぱ女は恐るべし!!)

と俺たちはなんとか人ごみから脱出した

「やっと抜け出したね?」

「う……うん」

「朝っぱらからさっそく猫かぶってるよ……しかも龍二君だよ? 龍二君。君付けなんてありえない!! ゾッとしたよ……」

僕はぶつぶつと隣でつぶやいていた

「なんかいった?」

と耳を引っ張られるのであった。

「ほーあの本郷茜をな……おもしろい、谷口龍二。ちょっと調べてみる必要あるわね。よしいいネタがはいったぞ」

と誰かが言った。




教室に行くと真っ先に倉本がやってきて

「おまえすげ〜な? あの本郷茜を助けたんだろ?」

「またその話かよ」

「当たり前だろ? 衝撃的だったんだから。学校一のアイドルを学校一の

ダメ男があの山本の魔の手からから救ったんだから」

「僕はただ、ち……」

(やばい!! 幼なじみと知られたらやっかいなことになる)

思わず口が滑りそうになった

「ただ?」

「ただ困ってる人を見過ごせなかっただけだよ」

苦し紛れの理由を

「それで急接近して一緒に帰ったり、一緒に登校したりっか。うらやましいな〜俺がそこにいたらな〜……」

あっさり納得しうらやましがる倉本であった。






「ねぇ茜? 龍二君に助けられたの?」

と茜の友人美和子が聞く。

「まぁね……まぁ最後は私がやったんだけどね」

「ハハハ!!! 相変わらずだね。虐げられてる龍二君もかわいそうよ。

好きだからいじめたくなるってやつ?」

「そっそそそそそ、そんなんじゃないわよ」

と茜はまるでユデダコのように顔を真っ赤にして必死に否定した。

(分かりやすいな〜茜は)

「がんばりなさい。私みたいならないうちにね?」

(そう、私見たいにね……)

意味深なことを言って出て行った。

「うん……」






そして昼休み

「ハハハ、でさ……」

と倉本と昼食を食べていると

「あなたが谷口龍二ね?」

「うわ〜〜」

と驚く俺たち。

「なんでそこにいるですか?」

校舎の屋根に立っていた。

「あなたは?」

明神伊織みょじんいおりよ」

「しらねえ〜の? 龍二この人」

「しらないよ」

「3年の明神伊織みょうじんいおり。生徒会長兼報道部部長。本郷茜に劣らない人気。いわばナンバー2。学校の裏の支配者って言われてて。報道部では人一倍いや十倍の行動力でスクープとってくるんだ」

「へ〜。それでそんな人がなんの用なの?」

純粋な疑問

「本郷茜についてちょっとねっていうことで俊哉、この人借りてくね」

「ちょっと!! 伊織ねぇ〜?」

「あ〜……」

僕はなんのリアクションもとれないまま体育館裏に連れて行かれた。

(何をされるんだろう……)








「調べさせてもらったわ、あなたのこと」

「はい?」

突然の報告に思わず聞き返した。

「成績はいつも学年トップ……下から、運動神経はほとんどないし、ケンカも弱い、顔もそんなぱっとしないし……調べていくとますますわかんないんだよね。あんたが本郷茜を落とした理由」

伊織は調査結果がふに落ちない様子。

「本郷さんを僕が……?」

僕は驚いた。

「ないない!! ありえないですよ。第一僕なんかに本郷さんがなびくと思います? ただの幼なじみとしてしか見てないですよ」

全力で否定した。

「それもそうね……なら私の思い違いか? でもあなたといる時と普段と違うのよね」

僕の発言に同意はするも納得いかないようだ。僕に絶対的な茜を惚れさせる何かを持っているのではないかと疑っている。そんなものあるはずないのに……

「気のせいですよ、気のせい」

伊織の疑いを100%買いかぶりだと考え自信を持ってそう答えた。

「私にはそう見えないのよねまぁいいわ、調べれば分かることだから」

言われて僕は教室に戻った。それが悪夢の始まりであった。

「伊織ねぇ〜なんて?」

「なんでもない……」

「伊織ねぇ〜のあの目つきは気をつけたがいいぞ?」

僕は倉本に警告された。







それからは何事もなく、家に帰った。

部活でパンパンに疲れた体でベッドに飛び込んだ。

「疲れた……」

「そんなに練習きつかったの?」

と枕元から明らかに茜や母親と違う女の人の声が

恐る恐る見上げてみるとそこには伊織がいた。

(え? なんでいるの? てかどこから入ってきたの?)

「生徒会長!!! なんでこんなとこにいるんですか?てかどこから入ってきたんですか?」

「なんでって取材するために決まってるじゃない」

不法侵入をしておきながらそれが当たり前のように言ってくる。

「取材って……?」

僕は苦笑い。

「昼間話したでしょ。あの本郷茜も惚れた!! 谷口龍二の秘密!! こんなものかしら?」

と伊織が力説する。

「何言ってるんですか?」

突然の力説に質問する。

「見出しよ」

即答する伊織。

「だから茜が僕なんか惚れるわけないって言ってるでしょ? 何度言わせるんですか?」

僕は全力で否定する。

「はっきり言い切るわね? ならあなたはどうなの?」

尋ねられると

「僕は……」

顔が熱くなる。

「と、とにかく迷惑です!! 早く帰ってください!!!」

僕は大声をだした。

「いいのかな? そんなこと言ってネタは上がってのよ?」

そんな僕に伊織はなにかもったいぶった発言

「何のことですか?」

何の事だかわからないので聞いてみた

「しらばっくれてもムダよ? あなたと本郷茜は一つ屋根の下なんでしょ?」

どきりとする一言

「何でそんなことを……」

僕は動揺する。

「この報道部の力を持ってすればどうってことないわ」

と誇らしげに言う伊織。

(報道部……恐るべし……)

純粋すごいと思った

「このこと一面トップにするわよ?」

脅迫をする伊織

「それは止めてください」

その脅迫に拒否する僕

「なら協力してくれる?」

「協力?」

「ええ。今日からお世話になります。よろしく」

この言葉の意味からすると僕の家にしばらく住むということ。そう判断した僕は

「ちょっと待ってくださいよ!!」

またもや拒否する。

「バラされてもいいの?」

再び脅す

「それは……」

僕は言葉を濁す

「なら決定ね」

弱みを握られた僕は強引に押し切られ取材許可状態になりかけた。

「伊織ねぇ〜!!!」

横から大きな声が。声の方向に顔を向けると

「倉本君!!」

「俊哉じゃない? どうしたの?」

倉本がいた。

「『どうしたの?』じゃないだろ!! 勝手に人の家に上がりこんで。不法侵入だよ?」

(倉本君もね……)

説教をする倉本に心の中で密かに突っ込んだ。

「だって密着取材なんだから」

「密着って言っても限度って言うものがあるだろ?」

密着についてケンカをする2人。

「そんなこと言ってたら立派なパティシエにはなれないわ!!」

「意味わかんねーよ!!」

「すいませんでした!! 先輩」

「龍二!! そこのらなくていいから!!」

「わかればいいのよ? さぁ〜あの夕日に向かって競争よ!!」

「はい! 先輩」

わけのわからないコント(?)が終わったところで

「やらんでいい!! とにかく連れて帰るよ」

倉本は本題に触れた。

「え〜?」

イヤそうな伊織

「え〜?じゃない!! なにダダこねてんだよ!! 龍二も困ってるじゃないか!!」

「お姉チャンここにいたいの……ダメ?」

と伊織はどこかのチワワのような涙目で言ってきた。

「そんなことしてもダメ!! 行くよ?」

それでも動じず倉本は連れて帰ろうとする。

「そんな〜まだ取材おわってないんだよ」

そんな彼に引き下がる伊織

「おばさんにいいつけるよ!! いいの?」

その倉本の一言を放つと伊織は怯えるよな顔になった。

「それは……」

口ごもる伊織

「なら一緒に帰る?」

子供を諭すように尋ねかける

「……うん」

素直な子供のようにうなずく

「いい子。いい子」

と伊織の頭をなでる。

「悪かったな? 龍二。後できつ〜く言っとくからきつ〜く。じゃあな」

ダダをこねる伊織は、倉本に連行されていった。

(どっちが年上なんだか……)

「ふ〜やっと出て行った……」

騒動が終わり一息ついた。

それと同時にコンコンとノックの音がした。

「騒がしいからもうちょっと静かにしなさい」

茜の注意だった。

「ごめん。もういいから」





翌朝

「龍二? 朝よ。起きなさい。遅刻するわよ?」

と茜は僕の部屋のドアを開けた。

「ぎゃーーー!!! 龍二〜!!!!

起きなさい!!!! 龍二〜!!!」

(なんか騒がしいな……)

ぼやけた視界がはっきりしてくる。すると急激な痛みが襲ってきた

目の前には青筋を立てながら手のひらと甲を僕の顔に叩きつける茜がいた

「いきなりなにするんだよ!!!」

「ふん。そんなの、自分の胸に聞いてみなさいよ!!」

という一言と顔面パンチが返ってきた。そして茜は部屋のドアを壊れるんじゃないかと

思うほどの力でドアを叩きつけて出て行った。

ふと下に目を向けてみると

「ふにゃふにゃふにゃ……」

そこには……














「生徒会長!!!」


なんと龍二のベッドの中にもぐりこんでいた伊織。

それが茜ばれて大嵐。

次回だから今日からよろしく

龍二君はちゃんと茜ちゃんと仲直りできるかな?

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