第24話 シショウ!!!
どうも2週間ぶりの更新です
グラスがやってきて数か月が過ぎた。
茜を師匠と呼んでいる。茜が、何をしたのかわからないけど
少なくとも僕が想像もできない衝撃的なことが2人には起きたのだろう。
そして今日も
「シショウ!! オハヨウゴザイマス!! キョウモゴシドウノホドヨロシクオネガイシマス!!」
やたらとうまい日本語で校門の前に立っていた。
「はぁ〜」
彼女は朝から重い重いため息をついて
「おはよう」
とあしらうように茜があいさつし僕たちは彼を素通りする。
「ニモツオモチシマス」
そそくさと近づき茜のカバンを持とうとする。
まるで付き人のようだ。
しかし
「いいって、いいって。そんなことしなくて」
断る茜。
「ソウデスカ……」
しょんぼりするグラス。
それでも朝から松○修造す並のテンションだ。一日だけでも疲れるというのにそれが毎日続いてる。これでも以前よりは大分落ち着いた方だ。
以前はもっと……
数か月前
グラスが弟子入りを志願して間もない頃
「シショウ!!!」
茜が彼の視界に入るたびに全力疾走で駆け寄ってくる。
「オハヨウゴザイマス!! キョウハ、ドウイウシュギョウヲヤルノデスカ?」
朝から目を輝かせやる気満々のグラス
「修行って……別に何もしないわよ」
苦笑しながらそう答える。
「ナニモシナインデスカ?」
再度語りかけるグラス。
「ええ。そうよ。だからいちいち私のところに来なくてもいいの」
遠まわしに避けていた茜だったが
グラスはというと
(ナニモシナイトイウコトハムノキョウチナルトイウコト。マエニキイタコトガアル。ジャパンデハシュギョウにハイルマエニココロヲムニシテムノキョウチ二シテハゲムト。スナワチ、ムノキョウチニタドリツカナイトシュギョウハサセナイトイウコトカ!!)
こう解釈したようだ。
「サスガシショウ!!! セイシンノシュギョウデスネ!! イツドンナバショデモシュギョウヲナサレル。ヤハリチガイマスネ!!」
無駄に感動するグラスに
「違うから……」
冷静に突っ込む茜。
そして翌日
グラスは教室で座禅を組んでいた
「なにしてるの?」
「何で座禅なんてくんでんの」
「どうしたの? 急に」
クラスメイトの疑問の嵐も
「ミナサン!! シズカニシテクダサイ!!ムノキョウチニナラナイトシュギョウニハイレナイノデス!!」
と一喝するグラスに?マークが頭の中にいくつもつくクラスメイト達であった。
その数日後
「シショウ!! オハヨウゴザイマス!!!」
誰に教えてもらったのだろう? 玄関をでるとグラスは家の前に来ていた。
「なんで君がここにいるの?」
とても自然な質問をする。すると後ろから
「あらグラス君だったかしら。おはよう」
なぜか母親があいさつをした。
「オハヨウゴザイマス!! シハン!!」
グラスは返す。
「師範?」
僕はグラスに聞いてみる。
答えは
「シショウノオヤイコールシハンデ〜ス!!」
どこで覚えたか知れない間違った日本語であった。
(間違ってるよ……)
と心の中で突っ込んだ。
「あ〜グラス君ね、昨日家を探してるようだったから私が教えたの。それに茜を師匠と呼ぶのに見どころを感じてね」
あ〜……また余計なことをしてと無駄な母の心づかいに逆に感謝さえ芽生えてしまう。
「グラス君! 茜を師匠に選ぶとはお目が高い!!」
「それどういう意味よ!」
そう言う母親に不服そうな茜。
「自分の胸によ〜く聞いてみなさい」
さらりと毒を吐く母。
「ソレデハシショウ!! カバンオモチシマス!!」
「いいって。これは私のカバン私が持つのが当たり前なの!」
遠慮というより嫌がっていた。
しかし
「サスガシショウ!!! コレデマイニチマッスートレーニングシテラッシャルノデスネ!!」
グラスはまたもや感銘を受けたようだ。憧れの眼差しで茜を見ていた。
「いや違うから……」
一つ一つえらく感動するグラスにため息交じりで突っ込んだ。
放課後
「シショウコレモッテクダサイ!」
グラスは茜にカバンを差し出す
茜はそれを持つが重さに負け地面につけてしまった。
「重っ! どうしたの?」
びっくりして思わず聞いた。
「シショウヲ、ミナラッテバッグニ10KGノオモリヲイレマシタ!」
嬉しそうに茜に語るグラスであった
その数日後
「次、漢字のテストだからちょっとテキストを見ておこう」
茜は漢字のテキストを机に出しておもむろに開き出題されそうなところを
机に指で何度も書いていた。とても茜らしい行動だ。
それを見たグラスは
(キットユビノチカラヲキタエテイルノデスネ!! コマカイトコロマデトレーニングヲサレテイルトハ、サスガシショウ!!)
また間違った感動をし、突き動かされたグラスはものすごい形相と勢いで机に指をこすりつけた。
(シショウ!! スコシデモチカヅケルヨウニガンバリマス!!)
こうしてグラスはどこか違う修行に励むのであった。
遥はある日とんでもないものを拾った
次回
先輩も見に行きません?
何を見に行くのかな?




