第23話 そっか……ありがとう
すいません・・・2か月ぶりです(汗)
おそらく不定期になるとおもいますがよろしくお願いします
今インフルエンザはやってますんで気をつけてください
は〜? 伊織ねぇ〜が倒れた!!!?」
と血相を変えたのは倉本だった。
「こっち、こっち早く来なよ〜」
少女の声が手招きしながら遠くの男の子を呼ぶ。
「待ってよ〜伊織ねぇ〜」
息を切らしながら遠くから女の子を追う男の子。
「早くしないと日が暮れちゃうよよ〜うわ〜」
ぽちゃん
足を踏み外し橋の上から川に落ちたようだ。
浅瀬でただ尻もちをついただけだった。
「いった〜い」
そして追いついた男の子が心配そうに手を差し伸べる。
「大丈夫? たく伊織ねぇ〜はしゃぎすぎなんだよ」
橋にあがらせ男の子は呆れ顔の男の子。
「だって……」
「だってじゃないの! そんなことじゃいつか大けがしちゃうよ」
うろたえる女の子に忠告する男の子。
いつもそうだ。彼は年下なのに私に注意する。
「う〜〜」
なにも反論できない女の子は唸り声をあげた。
「時間がないの! 早くいくよ!」
そういって女の子は歩みを進めた。
「ちょっと伊織ねぇ〜。大丈夫なの? 伊織ねぇ〜」
女の子は濡れた服やケガも、男の子の声も気にせず先へ進んだのだった。
「ねぇ〜伊織ねぇ〜」
「伊織お姉ちゃん? 伊織お姉ちゃん?」
と伊織は呼びかける声が聞こえてきた。
一番最初に目にしたのは覗き込む倉本と西岡。
「ここは?」
(夢か……あんな懐かしい夢を見るなんてね)
と伊織は尋ねる。
「龍二の家だよ?」
と倉本が答える。
そう伊織は家の布団の中。
「いったい私……あ! 意見交換会!」
と伊織が振り返ろうと考えてとっさにできた言葉。
「それは久本くんが代わりに行ってくれてますから大丈夫ですよ」
と僕が安心させる。
「びっくりしたぜ。職員室にいったら伊織ねぇ〜が倒れてっからよ」
それで伊織の中の空白だった記憶がうまる。
「それで?」
「保健室に連れてって、先生に測ってもらったら熱が38度まであって」
「それで強制帰還されたってわけ」
倉本と西岡が説明する。
「そっか……ありがとう」
お礼をいう伊織。
「たくっ重かったぜ。太った?」
と倉本はデリカシーのかけらもないことを聞いてくる。
そんな倉本に対し
「レディーにそんなこと聞かない!」
と西岡ひじ打ちを食らわせる。
「当然だ」
「ですです」
「当たり前よ!」
由良と遥と茜が西岡に同意する。
「何すんだよ!! みんなして……」
西岡に不満をぶつける倉本。
「当たり前でしょ?」
と西岡が反応する。
「というのはウソで本当はものすごく軽かった。ちゃんと食事とか取ってんのかなって、生徒会で大変だったんだな〜って。どうせ伊織ねぇ〜ことだから前しか見えてなくて無理してもまっしぐらだからさ。いい休憩時間になるんじゃない?」
「だいたい。体が資本なんだから、からだ壊したら元も子もないしね?」
と二人は気遣う。
「ということで今日一日絶対安静だからね! いい? 絶対安静!」
とと西岡が念を押す。
「わかったから」
伊織は少し苦笑い。
「それじゃ、これからお粥つくってあげるね? 谷口君? 台所借りるね」
と二人は台所に向かった。
勢いで2人は来たもののお互い何か気まずい雰囲気。
「この間のことなんだけど……」
口を開いたのは西岡だった。
「なんだよ。もうちょっと米入れて」
答える倉本
「ごめんなさい! 伊織お姉ちゃんがあんな風になるなんて……ちゃんと聞いておけばよかった」
思い切って謝罪する西岡。
しばらく考えた後倉本が口を開いた
「いや俺があんな言い方をしなければよかったんだ。それにちゃんと理由を言わなかった俺も悪い」
「え?」
倉本の答えに西岡再度聞き返した。
「いずれいつかこうなることが分かってた。だから生徒会長にはなって欲しくなかったんだ」
明神伊織。俺、倉本俊哉の一つ上の幼なじみ。彼女はとてもかわいくて、明るくて、何でも知ってて、何でもできて近所からも評判の女の子。そんな彼女は俺にとってまさにヒーローだった。
でも彼女にも限界があった。あれは忘れもしない彼女が小学一年生の時。
「俊哉!! 私ね劇でお姫様になったのよ!!」
目を輝かせて嬉しそうな笑顔。
きっと立候補にしたにしても推薦されたにしても満場一致で決まったのだろう。
その情景が目に浮かぶ。
「すごいよ! 伊織姉ちゃん!!」
俺も自分のことのように喜んだ。
こうして劇の練習を始めた。家でも練習をしていた。一人じゃ感じをつかめないと家での相手役はもっぱら俺であった
内容は身分の違いでの禁断の恋愛物語であった
「ダメなんです!! 貴方じゃないと。本気で愛せるのはあなただけ」
「姫様、ありがたきお言葉。このような者にそういっていただけるとは!! しかしなりませぬ! 私めなんかを好きになっては一族の恥になります。そうなれば王族の顔に泥を塗ることになります!」
こんなセリフである。当時、その台詞の意味もわけもわからなかったがが未だに覚えているセリフだ。もちろんたくさん練習したからでもあるが、その台詞を言う伊織ねぇ〜の表情がドキドキして胸が苦しくなるようななんともいえないものでそれがとても印象深かったからだろう。今でもその気持ちはよくわからない
そしてたくさん練習して本番をむかえた。みんなが止めても人一倍練習して本番に臨んだ。
それがあだとなった。当日、熱を出したのだ。しかし親にも何も言わずそのまま学校に行き、彼女は姫を見事に演じきった。俺も見たが、あの拍手今思い出しても鳥肌がたつ。
暗幕が下りて気が抜けたのかとたんに倒れ
「明神さん!!」
という声が体育館中に鳴り響き病院に運ばれた。
3日目が覚めなかった。
診断の結果は練習のしすぎによる過労であった。
彼女が伝説になったのは言うまでもない。
「ていうことがあって、それからあんまり頑張らないといけないようなことをしてほしくなかったんだ」
「そうだったんだ」
昔のことを西岡に話す倉本。
そして伊織は一人で考える。
(いままで、突っ走ってきたのかな? 私。周りも見ることさえせずに……今度はゆっくりと歩いていこう。2人が気づかせてくれたのよね? ありがとう)
と心の中で2人に感謝する伊織。
絶対安静と言われ、たまには2人甘えようと思ったのだが
「できたよ」
そういって部屋に入ってくる2人。
「おいしそうです」
「食べていいか?」
「よくできたね」
「ダメに決まってるでしょ!」
「そうだ、これは生徒会長のため作ったものだ」
それぞれの反応をみせる遥、斉藤、僕、茜、由良。
どうやらそうはいかないようだと感じる伊織であった。
グラス君、師匠について武者修行!?
次回、シショウ!!!
茜ちゃん頑張ってね(爆)




