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第18話 自分で言っておるではないか

ちょっと長いかもしれませんが気にしないでください(笑)

そして今日は21回目の誕生日! イェ〜イ^^

すいません・・・浮かれました(汗)

「え〜ん……痛いよ〜……え〜ん」

そこには泣きじゃくる短パンにTシャツの4,5歳ぐらいの小さい男の子の姿が現れたのだ。

「ほら、いわんこっちゃない」

「すまん」

とため息をついた厳燐丸に謝る由良。

怖いはずなのに自然とその男の子にかけより

「大丈夫?」

と言葉をかけられた。

「うん……グスグスっ……」

男の子は涙を手で拭きながら答えた。

「たくっ! 小さい子なんだから乱暴にしない!」

と由良に平然と注意をする僕。そんな自分が僕はものすごい不思議に感じた。

第一僕には霊感なんてないはずなのにはっきりと男の子が見えるのも疑問に思えた。

「ってあれ? なんでこの子が見えるんだろう? 霊感はないはずなのに」

と疑問を口にすると

「やはりな」

「思った通りだ」

由良と厳燐丸は納得しているような表情を見せる。

「なにが?」

「お前には霊感があるんだ」

と由良がそう言う。

「そ、そうなの?」

「今こうして話しているのが証拠だ。それに自分でも気付かなかったのか? すでに厳燐丸と話してる時点で自分に霊感を持っておるのだと」

「そう言われてみればそうだね」

と説明され僕は右手で頭をさする。

「でこれが悪霊?」

と僕がきく。どう見ても悪霊には見えない純粋そうな男の子だ。全然そうは見えない

「だと思ったのだがどうやら思い過ごしだったようだ。だが」

視線を下に向けると

「このクソババァ!! よくも殴ったな!!」

と男の子は由良の足を力いっぱい殴っていた。だが由良は気にも留めず涼しい顔で男の子の首根っこをつかみ

「手がかかるのに違いない」

男の子の顔を覗き込む。

「なんだよ!? 離せよ」

と暴れる男の子。

「お前、名前は?」

「だから離せって!」

「名前はと聞いている!!」

と由良が叱りつける。

それで男の子は今にも泣き出しそうな顔をする

「由良ちゃん? 押さえて。それに離してあげなよかわいそうだよ」

となだめる僕。

そして

浩太こうただよ、桂木浩太かつらぎこうた

と男の子が名乗る。

「それで何でこんなことしたんだ?」

と聞く由良。

「なんのことだよ?」

と首を傾げる浩太。

「私と谷口を接吻させよとしたではないか!?」

「せっぷんって?」

「もういい……」

と由良は諦めたように言った。

「クソ! 結局してなかったんだ? あともう少しだったのに……」

と浩太は小声でつぶやいた。すると

「なんか言ったか?」

と睨む由良。

「いや……なんでも」

慌てて浩太は否定する。

「それでは本題に入ろう」

と厳燐丸は口を開く。

「今朝、今日だす出店が荒らされていたのだ。それだけではない。最近夜になるとこの校舎かでは奇怪現象が起こっておる。お前知らないか?」

「なんのこと? 俺は知らないぜ。看板を真っ二つにしたとか、机やいすを散乱したとか、たくさん祭りに使うものを取ったとか夜になって遊びまわってるなんて知らないぜ」

と自慢するかのごとく腰に手を当てる。その直後しまったという顔をする。

「やはりお前だな」

由良は腕組みをして見下ろす。

「違う!!」

と浩太は否定するが、

「自分で言っておるではないか」

と由良が指摘すると

「それは……」

口ごもる浩太。

「理由はなんだ」

と由良が詰め寄る。後ずさりする浩太。

「場合によっては……」

と厳燐丸に手をかける。

「まぁまぁ」

「落ち着け! まずは理由を聞いてみるのが先決だと思うが」

と僕と厳燐丸がなだめる。

「そうか」

としぶしぶいった表情でおさまる。

こうして理由を聞くことになった。

「なぜこういうことをしたのだ?」

と厳燐丸は優しく問う。

そして彼は話し始めた。




俺の名前は桂木浩太、6歳。

小学1年生だ。しかし普通と違うところが一つある。

それは、1年を大半を病院のベッドの上で過ごしている。もちろんみんなと勉強したり、遊んだりしたい。でもそれは叶わない……

「数値もいいし、心拍数も血圧も安定してる。このまま行けば今年の夏祭りはいけるかもしれないよ」

いつものように検査をして先生にそう告げられたのは夏祭りの2週間前。

「軽くリハビリもしないとね?」

「うん」

と俺は自然と声が弾んだ。

毎年行われる銀法町の夏祭り。この町の一大イベントでお寺や神社はもちろん、会社や学校までいたるところが会場となっている。俺たち家の近くの高校でが行われる。とても楽しみ。妹も楽しみにしているよう。しかし俺は一度も行ったことがなくずっと窓の外でにぎやかな様子を眺めるだけだった。なのでとても嬉しかった。

それでリハビリも頑張ったし、ちゃんと言うことを聴くようにもした。

「明日だね?」

「そうだね」

「どこに行きたい?」

「え〜と、焼きそば食べて金魚すくいしてチョコバナナ食べて、たこ焼きも。それからそれから……」

「もう! 食いしん坊なんだから」

「アハハハハ」

というお母さんとの会話。

そして迎えた当日

「大変です!! 先生!! 浩太くんが!」

昨日まで調子の良かった俺は容体が悪化し、いつもより数十倍の頭痛、激痛といって良いほどの痛みと闘っていた。

「痛いよ〜痛いよ」

とだんだんまぶたが重たくなってきた。

「お祭りいきたいよ……」

その後は俺の意識はなくなった。




「それで……」

「なぁ俺ってどうなったんだ?」

「心配するなお前はもう死んでおる」

と由良はさらっと言った。

「ちょっと。由良ちゃん? 余りもストレートすぎるよ」

「しかし、本当のことを言わないと自分が死んだという認識がなくウロウロする浮幽霊も少なくないからな」

と説明する。

「それに、このままこの世にいても何も得られずやせ細っていくだけだ」

厳燐丸が補足をする。

「それにしたって!」

「いいよ……もう。そうなのか。やっぱり……自分でもわかってたから。俺と会う人は見る目がみんな怖がってったり、嫌がってたりしてるのを。それにそういうの慣れてるかられなんで涙が出てくるんだろう」

「そうか」

と由良は浩太を抱きよせた。

「寂しかったのだな、辛かったのだな? もう我慢せんでもよいぞ。幽霊になってずっと一人で耐えてきたのだな? よく頑張ってきたな。えらいぞ」

と優しく語りかける。すると浩太はいままでの我慢の糸が切れたのか、ワンワン泣き出した。

「よしよし」

とまるで自分の子どものように頭をなでた。

「それにしたって、浩太? あれはいけないよな? ちゃんと反省しろよ。それから盗んだものは返しておくこと? いいか?」

どうやら今朝のことを言ってるらしい。結局被害にあった屋台は看板だけ作り直してなんとかお店は開けたようだ。

「そうだ!! もうお祭り始まってんだ! 行こう?」

「ああ」

と由良は浩太と離れて僕と一緒に教室を後にしようとする。

浩太は物欲しそうに見て

「楽しんでこいよ」

と強がる。

「なにいっての? 君も行くんだよ? 浩太くん」

と誘う僕。

「え? いいのか?」

「当たり前だろ?」

浩太の問いに由良はそう答えた。

そして浩太は僕と由良の間に入り

「仕方ないな〜2人じゃ危なっかしいから俺がついててやるよ」

と3人は手をつないで教室を後にした。




「いか焼き3つ」

と由良が注文する。

「お客さん、2人しかいませんが」

「それでも3つだ」

店主は首をかしげるのであった。

「そういえばさ? なんで僕を選んだの?」

今回のことに関して理由を聞いてみた

「あぁそれはな、証人が必要だったのだ」

と由良が答える。

「証人?」

「そうだ。活動報告をするときに必要でな。それにお前の力を確かめたっかったしな。後……」

それから射的や金魚すくいもも回り、定番のリンゴ飴やくじ引きも回った。

その間

「由良お姉ちゃ〜ん」

と顔を体にこすりつけたり、

「これ、由良お姉ちゃんにあげる」

と買ったものをあげたり

終始由良お姉ちゃん、由良お姉ちゃんと完全に浩太になつかれたようだ。

そんな浩太を最初は苦笑いしながらも嫌ではなくむしろ楽しそうに相手をしている。

一通り回り終え

「どうだった?」

と僕が感想を聞く。

「楽しかった」

と満面の笑みでこたえる浩太。

「そうか。それはよかった」

微笑みを浮かべる由良。そこへ

「龍二〜!! 2人ともここにいたのね。みんな〜ここよ〜」

と茜が駆け寄り、みんなに知らせる。

「こんなところで何やってたの?」

と伊織が探りをいれて

「まさか涼風! ぬけがけは許さんぞ!」

と危険な発言の斎藤。

「みなさん神社にいたですね!!」

「遥ちゃん? ここ……学校だよ?」

方向オンチを見事なまでに炸裂させるの遥に

「何よ」

「なんだよ」

と痴話げんか繰り広げる倉本と西岡。

「ふふふふ……お姉ちゃんやお兄ちゃんの周りには賑やかな人がたくさんいるんだね?」

とうらやましそうに口を開く。

「そうだね」

「そうだな」

僕たちは小さくうなずいた。

「そうそうみんなで写真取ろうよ?」

「浩太もせっかくだから入るといい」

と由良が浩太を誘う。

伊織はカメラをセットしてみんなそれぞれ位置とポーズを決め

「はいチーズ」

パシャと撮った写真。



数日後

写真ができたので生徒会室でみんなと見てみると

「これは!!」

と写真を見て石のように動かなくなった茜をみてみんなが駆け寄る。

「わっ!!」

「何これ!!?」

「うわ〜……」

なにも知らない遥、伊織、斉藤も固まる。

由良の横にくっきりと白い影が映っていたのだ。

「これって……」

「ああ……」

僕と由良は無言でお互いうなづくだけであった。その時の由良はとても穏やかな笑みを浮かべているような気がした。

そしてその写真のことは瞬く間に広がり、この夏一番の話題になったことは言うまでもない。


次回は番外編

久しぶりに信虎君登場!!

次回、どうでしょうね!?

覚えてるかな? この子・・・

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