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第17話 なんで僕なの?

3か月ぶりの更新です。

大変お待たせいたしました

カンカンカンカン

学校中に響く金槌の音。

今年も夏祭りの時期がやってきた。この祭りは銀法町一帯で行われる。神社だけではなく学校や会社も会場となるのだ。もちろんこの銀法高校も会場となる。そのためせっせと準備が行われていた。そんな中毎年こういう噂で持ち切りになる。

それは部活をしていた僕の耳にも入ってきた。

「え? 幽霊?」

「お前知らないのか?」

倉本が驚いたようにそう言った。

「うん……」

仕方ないので肯定する。




倉本曰く

この時期になると夜中にこのなると誰もいないはずの校舎のどこからか、ちいさい子の笑い声や話し声やときたま泣き声が聞こえてくるらしい。なんでも20年前開かれていた銀法町の夏祭りで会場になっていた銀法高校で1人死者がでていたという。その霊が未だにここをさまよっているとか。




「他にもあるぞ? 心霊現象じゃないのかってのが」

あまりの怖さに顔が引きつる

「夜な夜な誰もいない音楽室からでたらめなピアノの音が聞こえたり、黒板に落書きがあったり、ひどい時には教室そこら中に落書きあるとか、あとは定番の動く人体模型とか……」

彼の説明の怖さに体が凍りついたように動かなくなった。

「何雰囲気だしてんだよ! 谷口あまりの怖さにかたまったじゃないか!」

と斎藤が倉本に注意する。

「龍二君? こいつは全部噂よ。気にしないで」

と伊織がフォローする。

「うわさを信じるなど、けしからん!」

いつも由良ちゃんらしいお言葉。




その夜

由良はいつものように警備の仕事をしていた。

「うん?」

と厳燐丸が何かに気づく。

「どうした? 厳燐丸」

「何か気配を感じてな」

「そうか。実は私もだ」

「行ってみるか」

と厳燐丸が促す。

「そうだな」

と会話を交わしながら由良たちは気配を感じる方へ向かう。

「あそこだ」

と気配をたどりながら追って行った。

しかし

「気配が遠くなった。どうやら下の方に向かったみたいだ」

と厳燐丸が言うと

「そうか。何もなければいいのだが……それにしても噂もあながち嘘ではなさそうだな」

「そうみたいだ」

と二人はその場を後にしたのだった。




翌日

この日はお祭り当日

「たくっ! みんなそろってお店は夕方からなんだよ?」

なんというかお祭りというのはやっぱり浮かれるものなのか、僕たちは一足早く会場となる学校へ出向いていた。しかも女性陣は浴衣姿。これもお祭り気分で浮足立っているのだろう。

「せんぱ〜い。浴衣似合ってますか?」

と尋ねる遥。

「ちょっとそんなに見ないでよ! 恥ずかしいじゃない!」

と恥じらいを見せる茜

「これ新しく新調したんだ? それより取材よ! 浴衣特集を組まないと……」

と両手にはカメラを持っている。そして

パシャパシャと写真を撮る。

「ちょっと生徒会長!!」

と困惑する茜。

(ここに来てまで取材とは……)

「ふん。みんな浮かれよってからに!!」

といつもの由良節がでるも

「由良ちゃんだって浴衣じゃない?」

と突っ込むと

「それは……」

説得力のない由良であった。

「なんでお前まで来るんだよ!!」

倉本が不満そうにいう。

「あんたのお目付け役よ。変なことしないように監視しとかないとね。間違い起こされても困るから」

とこちらも不満そうな西岡さん。

「どういう意味だよ!!?」

「そのままの意味よ」

「なんだと〜!」

「まぁまぁ」

となだめる僕。




「キャー!! 何これ!!」

「うわ〜」

と周りは悲鳴の嵐。行ってみると

「どうしたの!!? これ」

僕は驚く。

看板にはヒビ、机やいすもバラバラになって散乱していた。そして材料や備品、景品もちらほらとなくなっていた。しかも

「どうしよう〜」

と店主が腕組みをする。

「これひどいですね〜?」

と辺りが騒然としている中由良が入ってきた。

「失礼」

そしてバラバラになった机の破片を触って

「これは昨日の……」

「間違えないな」

となにやら厳燐丸と話し込む。

「どうされました? 由良様」

と話しかける西岡。

「いやなんでもない」

と言いつつ、僕の方に向かってきた

「谷口龍二、ちょっと」

僕は由良に呼ばれ連れて行かれたのは屋上。

「お願いだ! お前に協力してほしい!」

という突然の由良からの依頼。

「で協力って何をするの?」

由良はしばらくしてこう言った。

「悪霊退治だ」

「え〜? 嘘!!? 僕?」

まぁ当然の反応の僕。

(え? なんで? わけがわからない? なぜに僕?)

頭が真っ白になるくらい考えた。

「な、なんで僕なの?」

「お前が適任だと思ったからだ」

それを聞いた途端僕は顔が真っ青になりその場に倒れ

「無理無理無理無理!!!」

と必死に断るも由良は厳燐丸の刃をチラつかせ

「協力……してくれるよな?」

「は、はい……よろこんで」

なんとまぁ横暴なやり方で丸め込まれた僕であった。

はぁなんてぼくは弱いんだろう……




というわけでその夜僕は学校へ出向いた。

「遅い!! 遅刻だぞ!!」

と怒る由良に

(は〜なんで僕が……)

と思いつつ

「ごめん、ごめん……」

と謝る僕。

そして僕たちは校舎の中に入って行った。

「う〜怖いよ〜」

夜の校舎は怖いので由良の後ろにぴったりついて行動した。

「ちょ、ちょっと離れんか! 歩きにくかろうが!」

「だ、だって怖いんだもん……」

「そうは言ったって……」

と必死で由良から離れようとはしない僕。

「だいたいなんで怖がりな僕が適任と思ったの?」

「それはな、げ」

そんな僕の素朴な由良が質問に答えている最中に

「わ〜」

「おう」

足が絡み、お互いつまずいて倒れてしまった。

月明かりに照らされた由良はとても美しかった。

見つめあう二人。ピンクでぷっくりした唇。

自然と顔が近づける僕。それを許すように目を閉じる由良。

寸前ではっと我に帰る両者。しかし離れるにも離れられなかった。

見えない力に押しつけられているそんな感じだ。

「う〜ん」

と抵抗するが及ばず、むしろ顔が近づいてくる。僕の顔の下には由良の美しい顔がある。

(なんとしてでもこれだけは守らなきゃ)

両手をつき、そうなるのを抗った。しかしなおも押し付けられる。

苦しそうに由良は、厳燐丸を抜いた。

「ちょ、ちょっと!! 由良ちゃん!!? 何する気?」

由良の行動に驚く僕。

「谷口龍二少しの辛抱だ。我慢しておけよ? いますぐ楽にしてやるからな」

と言い僕に厳燐丸が襲ってきた。

「ちょ、わ〜!!」

思わず目をつぶる。

その瞬間青白いの光が昇ってきた。

僕たちは離れ、その光を見つめる。

そしてその光は素早く逃げるように僕たちから去って行った。

「追うぞ!」

「う、うん」

僕たちは光の後を追うことに。

「あの光は何なの?」

「悪霊だ」

「あ、悪霊!!?」

一気に中に悪寒が走った。

「そうだ。このままだとこの学校が危ないぞ」

光は茜の教室に入り込んだ。僕たちも後を追って入った。

「いたちごっこは終わりだ。そろそろ決着をつけてやる」

「手加減してやれよ。教室がメチャクチャにならぬように。それに」

と厳燐丸からの注意。

「わかっておる」

由良は上段の構えから、光に飛びかかり厳燐丸を振り上げ、一気に振り下ろした。すると

みるみる形が変わっていく。

(どうしよう!! 悪霊が出る!! 取り付かれる!! 来る!!)

と恐怖が頂点達し、うつむき目を閉じた。数十秒後僕が目にした光景は

「え〜ん……痛いよ〜……え〜ん」

そこには泣きじゃくる短パンにTシャツの4,5歳ぐらいの小さい男の子の姿だった。


悪霊の正体は幼い男の子であった。

次回

自分で言っておるではないか

成仏できるかな? 男の子

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