第1話 龍二のくせに
「僕と付き合ってください」
と告白する男の子。
「ごめんなさい」
という決まり文句で撃沈される。
これで高校通算五十人目。あいつにフラれたやつは。
あいつっていうのは本郷茜、この学校のアイドルのことだ。
とてもかわいく、スタイルもよく、勉強もできて、スポーツもなんでもできる。
まさに容姿端麗、才色兼備だ。
「また振られちゃったよ」
と写真を撮る倉本を見上げる。
パシャッパシャ!
「それにしても本郷茜ほんとかわいいよ。清楚で可憐でまさに清純派アイドルだな」
と目をキラキラさせてまるで宝石を見ているかのような目で僕に語ってくる。
「なんも知らないからそんなこといえるんだよ」
僕は一つため息をついた。
「なにか? おまえ本郷茜についてなにか知ってるわけ?」
と問い詰められる。
「いやそうじゃないけど……」
と口ごもる。
「これで取材は終わった『本郷茜通算五十人到達』ってな」
と物陰で話していると
「また龍二ね? 何度言えばわかるのかな?告白はみせものじゃないって。どうせまた記事にする気だったんでしょ?」
指をバキバキ鳴らしてこっちに向かってきた
「これは違うんだ倉本君にむりやり連れてこられただけで……なぁお前からもなんか言ってよ倉本くん?」
ととなりを見ると倉本のすがたはなかった。
僕は完全にはめられた。
「わかってるわよね? 龍二君どうなるか」
満面の笑みを浮かべる。
「ぎゃ〜!!!」
と体育館裏に虚しい悲鳴が響いたのであった。
それは三十分前だった部活にいこうとして
「おい!猛があの本郷茜にコクるらしいぜ。みにいかねーか?」
猛とは西田猛。僕の友人の1人だ。
「パスしとくよ」
と断った。
「ちょっと待て!! お前それでも友達か!! 男の一世一代を見届けなくてもいいのか?」
「別に興味ないよ。まずフラれるのがオチだよ。それにあか・・じゃなくて本郷さんが誰と付き合おうと僕には関係ないよ。じゃ僕部活いくから」
ときっぱり断った……のだが
「そんなこといわずに来いよ。ほら」
と倉本に手を引っ張られて連れて行かれたのだ。
「イタタタタタタ……」
と僕は目を覚まして起き上がった。
「気がついたみたいね」
「ここは?」
と質問すると、
「保健室よ」
と先生が答えた。
「また茜ちゃんにやられたのね?」
確認を取る先生。
「はい……たくっ茜のやつここまでやるか? 普通」
僕は呆れた。
「なによ。龍二が告白されたとこ何度も見るからいけないんでしょ? そんなに私を記事にしたいの?」
と睨みつける。そんな彼女に
「何調子乗ってんだよ。猫かぶりやがって。学校ではしとやかで落ち着いて見せて、本当はがさつですぐに手が出るわがままな暴力女のくせに。なのに……なんでみんなコロッといくかな?」
つい本音がでてしまった。
「だれが猫かぶってるって?、だれがしとかでおちついてみせてるって?だれが暴力女って」
と茜は拳を突き出した。
「すいません!! すいません!! もう言いませんから」
とひたすら必死に謝罪。
「龍二のくせに私の悪口なんて100年わ」
と頭をグリグリされる。
「ぎゃ〜」
と僕が悲鳴をあげる。
その光景を見て何を思ったのか
「ほんと二人とも仲いいのね」
と先生が微笑む。
「だれがこいつなんかと」
僕たちはお互い指をさして反論する。
「まぁ〜息もぴったりマナカナみたい」
とからかう先生であった。
僕の名前は谷口龍二 高校2年生。学校のアイドル本郷茜とは幼なじみである
茜にはなにかにつけていじめられる。
「今日一緒帰ろっか? 久しぶりに」
と茜が言い出した。
「ごめん、今日部活遅くなるから先に帰ってていいよ」
と言うと
「なら待っとく」
と言い出した。
「いいって別に。それに一緒に暮らしてんだから家で会えるだろ」
ときをつかったのだが
「へぇ〜学校のアイドルの誘いをことわるんだ? 龍二のくせに」
となぜかヘッドロックをかけられた。こうなれば断ることなどできないので
「はい一緒に帰りますっ帰らさせていただきます」
敬語になる。
「なら校門のところで待ってるから」
と茜は走って去っていった。
2時間後
「これから新しいラーメン屋いかねぇ〜?」
と部活の友人の天野に誘われた。
「ごめん今日はパス」
と断ると
「珍しいなお前が断るなんて」
「人待たせてんだよね」
と言うと怪しいという目で見てきた。
「これか? これ」
と天野が小指を立てた。
「そんなわけないだろ? それにそんな表現今どきしないよ」
と否定する。その言葉に便乗し
「そうだ天野。こいつみたいなもやしっ子でダメ男が彼女なんか。どうせ家族か誰かだろ?」
と藤江が言うと
そうだなと天野はあっさり納得した。
そして僕は急いで校門に向かった。
ちょうどその頃
「本郷じゃねぇ〜か。これからあそばねぇ〜?」
と誘う1人の男子生徒
「いや待ってる人がいるんで」
「なぁいいだろ? 遊ぼうよ。待ってる人なんてほっといてよ」
と不良の山本が強引に誘って連れて行こうとしていた。
僕には何を言ってるのかわからなかったがあかねがヤバイっていうのはわかった。
しかし僕の足は言うことを聞かなかった。
(動け! これじゃいつもとかわらないじゃないか)
そう僕はちいさい頃からいつもいじめられていた。
いつも公園で一人で遊んでいると
「じゃまだ! どけ!」
とけとばされ、おもちゃやマンガを取あげられ持っていかれる。
そのたびに
「お前ら何やってんだ!」
と茜がやってきていじめっ子たちをボコボコにして助けてくれた。
(いつも茜に世話になってるんだここで恩返しするんだ)
と僕は
「うお〜!! 本郷さんに手を出すな〜!!! オラオラオラ〜!!」
と僕は殴りまくった。しかし全く効いてなかったらしく
「なんだおめぇ〜俺に刃向かおうなんていい根性してんじゃねぇ〜か龍二君よ?」
と不良が向かってきた。そして胸ぐらをつかまれ不良に
「この世は弱肉強食。強いものは弱いものからなんでも奪い取れるんだよ」
と不良が右腕をふりかざしたとき誰かの手が右腕を止めた。
「好き勝手言ってんじゃねぇ〜ぞ。力を弱いものにしか使えない卑怯者どもが」
と茜がキレた。
そしていつものごとくあっという間にボコボコにした。
茜は手をはたいていこっかと言って僕たちは学校を後にした。
「ごめんね、また助けられちゃったね」
とまるでちょっとどじふんだように僕は言った。
いいのよというふうな優しい顔だった。
「たくっホント弱いんだから、あいつらの言う通りでしゃばんなってーの」
と呆れ顔で言われた。
「しかたないだろ? 無我夢中だったんだよ」
いいわけをする、
「でもありがと助けに来てくれて」
と茜が照れながら言うその姿はいままで見てきた茜より一番かわいかった。
「あ! 茜がありがとうっていった明日……雨だな。それも台風みたいな嵐」
と冗談半分でいってみつ
「それってどういう意味よ?」
と僕は胸ぐらをつかまれた。
「ぎゃ〜!!!」
いつものようにやられた。
「今日はカレーよ」
と夕飯の話になった。
「かあさんのカレーおいしいもんな」
僕は茜と一緒に暮らしているもちろん二人きりってわけではない。
茜の親と一緒だ。茜の親は僕の親でもある。
僕は幼い頃両親を亡くし、身寄りもなく施設に入れられたのだが、すぐに茜の両親が引き取ってくれたのだ。
齢は同じだが誕生日が茜のほうが早い。そのためか茜が立場が上だ。僕の性格もあるのだろうが……
そして次の日……
「きょう全国的に大荒れでしょう。特に……」
という朝のテレビ
「電車が動いてない? やばいな今日大事な会議があるのに」
と父親がぼやいていた。
そしておれは茜の耳元で
「昨日、日ごろ言わないこというから」
と囁くと
「なんだって」
とみみをつままれ
「もう一回いってみぃ〜」
と睨まれる。
「いえなんでもないです」
この作品のいずれタイトルを変更しようと思います。(仮)なのもそのためです。なのでみなさんからタイトル募集しますね? この作品を読んでこの作品の世界観にあったタイトルを待ってます
まだ1話目だからよくわからないかな・・・?