第1話『はじまりの朝』
今日はこの国--リュミエール王国の建国500年記念日。
いつもと違う騒がしさで僕は目を覚ます。窓の外は朝早くから祭りを楽しんでいる人たちでいっぱいだ。
僕は眠たいのを我慢してベッドから起き上がる。頭のてっぺんから足の裏まで一気に血が下る感覚が僕を襲う。--これだから朝は嫌いだ。
でも今はそんなことなんて気にしてられない。だって、今日は朝からフーミル達と祭りに行く約束をしているからだ。
(そういえば、フーミルにおねーちゃんも誘うように言われてたっけ)
隣のベッドで寝ている茶色い髪の少女--フレアは僕のおねーちゃんだ
「おねーちゃん!朝だよ!起きてー!今日はお祭りだよ!」
「...ん?あぁ〜...だるい、パス」
おねーちゃんは気だるそうに翠の目を少しだけ開けてそう言った。
おねーちゃんはいつもこうだ。学校が休みの日はごはんの時以外動いたりしない。
(うーん...フーミルにはなんて言おう...)
おねーちゃんの事は諦めて、服を着替えて部屋を出る。廊下を歩きリビングのドアを開けるとキッチンの方に胸くらいまである長い赤茶の髪を後ろで一つ結びにしている翠の目をした女性--おかーさんがいた。
ちなみに僕の髪色はおかーさんと同じだ。
「あら...おはよう、アル。今日は早起きさんなのね。あ、ごはん、もうすぐ出来るからちょっと待っててね」
「おはよう。うん!今日はフーミル達とお祭りに行くの!...ところで、何焼いてるの?」
「あら、そうなの。さぁーなんだと思う?ヒントはあなたの大好きなもの」
僕の大好きなものって言ったら--
「おとーさん!」
「...。もー、お父さんを焼くわけないでしょう。ちなみにお父さん、朝一番に出ていったわ。正解はお母さん特製スペシャルベーコンエッグよ!」
「うーん...そっか!王族の護衛だよね!パレードの!あっ、おかーさんの料理の中でおいしいって思うのそれだけだから、好きなのとは違うかも」
僕は食卓の椅子に腰掛けながらそう言った。--おかーさんは料理がとても下手なのだ。
だから朝ごはん以外はおとーさんか、おねーちゃんが作ることになっている。
「うぅー、ひどい!...たしかに料理はちょっとだけ苦手だけど...。あ、出来たわよ」
おかーさんは少し落ち込んだ素振りを見せたけど、すぐに笑顔になった。
僕の前に朝ごはんが並らべられた。パンとミルクそしてベーコンエッグだ。
「いただきまーす!」
-- 僕は早々に朝食を済まして支度をした。
「いってらしゃい、夕飯までには帰ってくるのよ」
「うん。わかってる。お土産に何か買ってくるね!おねーちゃんにも!」
「あら、ありがとう。楽しみに待ってるわね。」
「じゃあ、いってきまーす!」
僕はそう言って家を出た。
初投稿です。よろしくお願いします。