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ギルド

グレイブ家を出たレイは、街の最南端にある冒険者ギルドに来ていた。その名の通り、ギルドには冒険者が集まり、採集や魔物の討伐など様々な仕事をくれる。その難易度はギルドランクによって、受けられるかが決まる。

ギルドランクは一般的にFからAまでの7段階で、その先に超人、人外、英雄とされるS、SS、SSSの全10段階に別れている。Cに上がってようやく一人前とされ、Aに至ってはギルドマスタークラスになる資格が与えられる。

つまり、Sなど一般人にはなることは叶わない。過去、SSSとされた人はただ一人、1000年前魔族から世界を救った英雄、オルファ.メルガリアのみだ。

現在、Sランクを持つ人間は8人、SSランクを持つ人間は5人しかいない。もしかしたら、レイに引導を渡してくれたエアリス.フィレイアも、超人以上になれるかもしれない。

けれど、一般人以下であるレイにとって、Sランクなんて、夢のまた夢。そんな非現実的なものを目指すよりも、まずはCランクになって一人前になってみせる。

その為にも、拠点となる場所が必要なのだが、それは当面の間、ギルドを使わせてもらうことになる。ギルドには金のない訳ありの人間が集まりやすいため、当然、宿を取れない人間も出てくる。そんな人の為に、Dランクに上がるまでは、ギルドの大広間を解放してくれている。雑魚寝になるが、雨風を凌げるだけでもありがたい。それにそこで知り合った同士でパーティーを組むことも可能なため、冒険者に成り立てのうちは、むしろ、推奨さえされている。

憧れの兄達に、そして、エアリス.フィレイアに追い付くためにも、レイはまず冒険者になる。

とはいっても、すでに冒険者登録はされている。学園に在学中、休みの日は友達と仕事を受けていた。ランクはFのままだが、仕事の手順などは覚えている。

ボードに張り出された依頼書を取り、受付へ持っていく。依頼書には、条件が明記されていて、その中にもランクがかかれている。Fランクの依頼は大抵採集か人、物探し。ただし、常時受け付けられているのが、街周辺の魔物の討伐である。討伐した魔物の指定された部位を持ってくることによって、討伐したことを認められる。

ただ、やはり魔物の討伐には命の危険が増すため、パーティーを組んでやることが推奨されている。

よって、レイは採集依頼書を手に取り、受付へと持っていく。


「こんにちは。お願いします」

「いらっしゃいませ。採集依頼ですね。冒険者証をお預り致します。……レイグレイブ様、Fランクですね。依頼書を受理致します。保険料として、銀貨1枚をお預り致します。銀貨は登録されている冒険者バンクよりお預り致しますので、手持ちのお金は必要ございません。こちらが薬草用の袋になりますので、こちらに採集された物を入れていただき、一杯になったらお持ち下さい。それで依頼完了となります。袋を破損、紛失されますと、別途銀貨1枚を頂きます。くれぐれもお気をつけ下さい。それでは、無事依頼完了されることをお待ちしております」

「ありがとうございます」


特に何かを聞かれることもなく、依頼は自動的に受理される。これが冒険者証の利点の一つだ。冒険者証から持ち主の情報を読み取り、依頼の条件を満たしているかを判定できる。さらには、ギルド側で金銭を預り、その金額が冒険者証に記載されているため、今回のように保険料は貯金から支払われる。もちろん、依頼を完了すれば帰ってくるため、さほど影響はない。


さっそく依頼に行こうとした時、受付の女性に呼び止められる。


「グレイブ様。ここ数日、東の森で異変が起こっております。現在、調査中ですので、東の森には近づかないようにお願い致します」

「わかりました。ありがとうございます」


受付の女性に礼を言って、ギルドを出ようとした時、今度は目の前に三人の男が現れた。三人の顔を見て、レイは思わず顔をしかめてしまう。


「アラス、ゴズ、ボルドー」

「様をつけろよ、カス。学園でナンバー2の俺様と、たった一年で退学にされるようなカスを同列に並べるんじゃねぇよ」


ニヤニヤとした笑みを浮かべながら、レイを馬鹿にするアラス。アラスは事あるごとに、レイや成績下位にいた生徒をいびっていた。特に、レイに対してはさっさと辞めろと、言い続けていた。

アラスは自身の見立てがあっていたことに、レイが退学させられたことにさぞ満足しているようだ。

レイは関わりたくないため、三人を避けて出入り口へと向かう。


「おい、カス。一つ忠告しといてやるよ」


アラスの言葉に、レイは思わず足を止めてしまった。すぐにその事を後悔する。


「冒険者なんて止めとけよ。お前みたいな才能の無いやつは、何やったって無駄なんだよ。どうせすぐに死ぬのがオチなんだから、命は大切にしろよ、カス」


レイは言い返す事すらできず、せせら笑うアラスから逃げるようにギルドを後にした。何も言い返せなかったのは、我慢をした分けではなく、アラスの言う事が否定できない事実であったためだ。

ギルドから出た後も、耳に残るアラスの嘲笑がレイを不快にさせる。それから逃げるように、レイは南の森へと走った。

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