血のカーペットは地獄へ続く
「どうぞ」
黒服がリムジンのドアを開ける。
そこから三メートル以上はあるタキシードを着た男がドアをこじ開け、穴を広げながら出てくる。
男は両脇に並んでいる黒服を片手に三人ずつ鷲掴みにする!そして吼える!
「辛気くせえなぁ!!!!」
次の瞬間!男の両腕はミキサーの如く回転する!
おびただしい量の血がローマ風の建物の入口に向かって一直線だ!
「お前のためのレッドカーペットだ!!」
大男がリムジンを振り返る。車内に居るのは真っ赤なドレスを着た美女。
紫の髪に緑のメッシュの入った前衛的な長髪を揺らし、真っ赤なハイヒールを血濡れのローマ風道路に降ろす。
「アンタはもう少し頑張るべきだね、デストロイヤー」
「何だとエキドナ!!!!!」
「カーペットは部下に任せて、アンタはエスコートすればよかったんじゃない?」
「ウォォーッ!」
デストロイヤーは血で染まった両腕を振り上げリムジンに叩きつける!
リムジンは粉砕!弾けたガラスがさながらダイヤモンドのシャワーのように輝きを散らす。
「同時に! すれば!」
「無理だろそいつは」
「学んだぞ!ひとつ!」
「そりゃよかった」
二人はローマ風の建物の入口に向かって歩き出す。
すでに血は乾き、二人の靴を汚す事も無い。
ここレッドサンタウンでは飲み物をこぼすという概念は無駄だ。
床に落ちるまでに蒸発するからである! 骨も灰になった!
「ドアを開けるのは男の仕事だろ?」
エキドナと呼ばれた美女が片手を上げると、斬!ローマ風の石柱が根元から切断される!
それをデストロイヤーは左手で握り、右手でリムジンを握る!
「殺せるだけ殺そうぜ!」
「ああ、そうしよう」
この街に葬儀屋はいない。
道に捨てれば葬儀する必要も無いし、神を信じている奴もいないからだ。
だがこういう噂もある。
「葬儀屋はいる。ただし、生者専門……それも悪人専門の葬儀屋が!」
ローマ風のドアが微塵に粉砕される。
デストロイヤーは雄たけびを上げるのと、吹き飛ぶのを同時にこなす事になった。
何者かがデストロイヤーにパンチを食らわせたのだ!
「何だ……キサマ」
エキドナが予想外の抵抗者に動揺もせず、尋ねる。
「俺はホーク……」
外まで吹き飛ばされたデストロイヤーが再びローマ風ドアから入室。
右手にリムジン、左手には日本刀を持っている!
「テメ……「ハアッ!」
再び外に蹴り出されるデストロイヤー。
日本刀が手から離れ、ホークがそれを掴む!
「ホーク……! 調子っ外れの葬儀屋!」
エキドナがたじろぐ! この男こそ、悪人が恐れる唯一の男!
「墓地は満員でな、二人で一つしか棺桶もねえ」
ホークが日本刀を横一文字に構える!
「棺桶の中で喧嘩しねえように、同じ大きさにカットしてやるよ」