サンタは…いない?
あなたはサンタを信じてましたか?
その正体を知ったとき…
懐かしく、ちょっぴり切ない記憶が甦ってくれたら嬉しいです。
えー?
たくとって
まだ
サンタしんじてるのか?
クリスマスイブの
まえの日。
1年2組の
きょうしつに
こうたのこえが
ひびいた。
ぼくは
たくと。
1年生にもなって
サンタがいるって
おもうぼくは…
へんなんだってさ。
みんなは
口をそろえて
「サンタは
おとうさんやおかあさんが
やってるんだよ。」
っていうんだ。
だからぼくは
あしたのよる
こっそり
おきてまっていて
たしかめようと
きめたんだ。
――――――――――――
「おやすみなさい」
ぼくは
いつもどおりに
布団にもぐりこんだ。
だけど
きょうのぼくは
いつもとちがう。
こっそり
こっそり。
ちょっぴり
ねむくなっても
ゆびで
むりやり
めをあけて。
あったかい
おふとんにくるまって
ぼくが
もう、ねちゃいそう
ってときに
"カチャッ"
ドアがあいて
だれかが
はいってきたんだ。
おふとんの
すきまから
そぅっと
みてみたら
そこには
あかいふくの
しろいおひげの
おじいさん
ではなくて
ものおとを
たてないように
そぅっと
プレゼントを
おきにきた
おかあさんがいた。
ぼくは
なみだがでてくるのを
がまんできなくて
おふとんから
とびだした。
「おかあさんのウソつき!!」
ぼくは
くつを
あしにひっかけると
いつもあそぶ
こうえんにむかって
力いっぱい
はしった。
「やっぱり
みんなのいうとおりだった!!
しんじてるぼくが
ばかなんじゃないか!!」
はずかしさと
くやしさと
いろんななみだが
つぎからつぎに
あふれてきて
こうえんが
いつもより
とおくかんじた。
よるのこうえんは
だれもいない。
ぼくは
あかりにてらされた
ブランコにすわると
キィキィと
ゆっくりこいだ。
そこに
いきをハァハァいわせた
おかあさんが
おいかけてきた。
おかあさんは
なにもいわずに
ぼくのとなりの
ブランコにすわった。
"キィ、キィ"
"キィ、、"キィ、キィ"
"キィ、、
しずかな
よるのこうえんに
ぼくと
おかあさんの
ブランコのおとだけが
なっていた。
しばらくして
おかあさんが
しずかに
はなしはじめた。
「たくと?
おかあさんはね
サンタさんに
たのまれているのよ。」
"?"
キョトンとしている
ぼくにかまわず
おかあさんは
つづけた。
「こどもたちは
しんじないかも
しれないけれど
おとなはみんな
いろんなくにをまわる
いそがしいサンタさんに
かわりに
プレゼントを
わたしてくれ、って
たのまれているのよ。」
「サンタさんは
いるわよ。
しんじるか
しんじないかは
たくとしだい。
こどもたちに
しあわせを
とどけたいっていう
きもちが
サンタなんじゃないかしら?」
「おかあさんは
そのサンタのきもちを
たくとに
とどけただけよ?」
そういうと
おかあさんは
たちあがり
ぼくのあたまを
やさしくなでた。
「まいとし
たくとがよういした
サンタさんへの
てがみやプレゼント、
ちゃんととどけてるから
だいじょうぶよ。」
にっこり
わらったおかあさんに
ぼくは
ごめんなさいをした。
おかあさんと
てをつないであるいた
よるの
かえりみち。
お月さまが
しずかにみていたみたい。
お月さま?
ぼくがないちゃったこと
みんなには
ないしょだよ?
あったかい
おふとんにもどった
ぼくは
すぐに
ねむくなった。
ゆめのなかで
ぼくは
クリスマスケーキを
たべていた。
クリームいっぱいの
かおで
いーっぱい
わらってた。
つぎのひ
がっこうで
みんなに
またバカにされた。
だけど
ぼくは
もう、かなしくない。
だって
サンタさんは
ぼくにいつも
しあわせのプレゼントを
とどけてくれて
いるんだから。
ありがとう
サンタさん。
ぼくも
おとなになったら
ぼくのこどもに
"しあわせ"
ちゃんと
とどけるよ。
――END――
サンタクロースは
決して
品物を届けるだけでなく
子を思う親の愛も
届けてくれているのでは
ないでしょうか。
拙い作品
最後までお付き合い頂き
ありがとうございました。