表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ホシ

作者: 空豆

「あなたのパパとママはお星様になったのよ」




両親が死んだとき、叔母は僕にこう言った。

自分はまだ6歳だった。

その夜も満天の星空で、叔母の言葉を信じた僕は一生懸命父と母を探した。

だが見つかるはずもなかった。


「みんなおんなじだもの」




死というものをまだ理解しない僕がただ単に残念がるのに、叔母は震えた声でこう答える。




「私達からはわからなくても、お空のパパとママからはたかちゃんのことしっかり見えているから…ね?

…それに、こんな夜じゃなくて真っ青なお空のときでも、お星様たちはその上に暮らしているから、ママたちはいつでもあなたのこと見守っているわ」



「…ふーん」







16歳となった今ではそんなこと信じてはいないけど、つい昔の癖で気付いたときには空を見上げている。

今夜は素晴らしい星空で、僕は家近くの小高い丘でいつものように星を見ていた。




そこにはおびただしい数のホシたち。

都会の夜ではけして見ることができない景色。



目の前の光景に、思わず僕は溜め息をもらす。

それが夜空の美しさからだったのか、はたまた数えきれない程果てしないホシへの悲哀からだったのか…

どうだったのかな。


僕にはわかりたくない。




わかってしまったら、何だか今まで堪えていたものが弾けてしまいそうで。






ちっぽけなホシたちはちっぽけな僕を見つめゆらゆらと笑った。

なんかムカついたから俺も笑ってやったら、



「何一人で笑ってんの」



のの子が来た。

幼なじみで近所に住んでいる。



「叔母さんご飯出来たって。」



寝転がっていた僕はのの子が差し出した手を取って起き上がった。




「手あったかい…」



「走ってきたもの。

せっかくのご飯、冷めちゃうでしょ?」



そう言って微笑む彼女につられて僕も口角が緩む。






こんなに星満天の冷たい夜風でも、どうやら(シン)まで冷やすことはできないようだ…








「さて、明日のご飯は何だろうな…」




「気が早いな。

まずは今晩でしょー?」





ホシたちはまたゆらゆらと笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ