エピソード03
「先輩はあたしより、こんなオバサンが好きなんですか!」
興奮冷めやらぬご様子
俺は、このままではマズイと判断しカフェを出た。
そして、街路樹茂る近くの散歩道のベンチに今3人で座っている。
「好きも何も、俺はこのお嬢さんと会うのは今日で2回目なんだよ」
「おっ、お嬢さんって、・・・先輩、気は確かですか?この人、どう見ても30代ですよ?」
「えっ、」
そなの?
「今年で32歳になりました」
あっ、あれ・・・そうなんだ・・・
「先輩、まだ22ですよ。普通に考えたら、こんなオバサンとは釣り合わないと思いますけどね」
10歳年上か・・・
「先輩!先輩は、あたしの何が気に入らないんですか!」
散歩中の犬が、不思議そうな顔をして俺のことを見てやがる
大声だけど揉めてないよー、普通に会話してるだけだからねー
シッ、シッ、
「父は一部上場会社の専務、兄は業界トップの商事会社の若き主任。そしてあたしは、大学のミスコンで2年連続グランプリ。成績優秀、容姿端麗。非の打ち所が無いって、あたしのことですよ!」
そだね、
「あたしと付き合いたい男子は、掃いて捨てる程いるのに・・・」
「では、掃いて捨てた人の中から選ばれてはいかがですか?」
「オバサンは黙ってて!あんたなんかね、先輩に選ばれる訳ないんだから。バツイチの中年オヤジがお似合いよ。わかったら、とっとと帰りなさい」
「帰りません」
「はあ?」
「私は、あなたとお話しをするためにここに来たわけではありません。京一郎様とお話しするためです」
「先輩!はっきりさせてください!このオバサンとマジでケッコンを前提にお付き合いするんですか!」
「君が来るちょっと前に言ったけど、少し考えさせてほしいんだよ」
「はぁ?なんですかそれは。それって、NOじゃないって事ですよね。YESの可能性だってあるって事ですよね」
「えっ、まあ・・・、そうだね」
「先輩、大丈夫ですか?あたしは、このオバサンより完全に上位ですよ。あたしの方が、なにもかも上です」
思いっきり不愉快になってきたのは、気のせいじゃないな
「あっ、わかった!あの時は、マジ仕事が忙しくて付き合えなかったけど、今ならOKって事ですよね!カフェで、お茶飲んでるくらいだし」
後輩女子の目が、ランランと輝いた!
彼女にとっての、いい返事をめちゃくちゃ期待している。
よし、いい返事をしよう。
「わかった、じゃ、はっきり言うよ」
「はい!このオバサンの前で、はっきり言っちゃってください!」
「君とは付き合えない」
「・・・えっ、」
「論文は、ゼミ仲間に見てもらうんだな」
「ちょ、ちょっと先輩・・・冗談、ですよね?」
俺は、後輩女子がオバサンと連呼するお嬢さんの方を向いた。
「横浜に旨いイタリアンの店があるんだけど、今からどうですか?」
彼女は満面の笑みだ。
「はい!もちろんご一緒させていただきますわ」
俺達はベンチから立ち上がった。
「近くの駐車場に車あるから。行きましょうか、」
「はい!」
ベンチにうなだれている後輩女子を残して、俺達は歩き出した。
「後輩の女の子、大丈夫でしょうか」
「ああ、気にしなくていいですよ」
「でも、かなりショックを受けてるご様子で、少し心配です」
うつむき加減の彼女に、俺は足を止めた。
「問題ないですよ。切り替え早いから」
「そう、なんですね」
憂いがある微笑みだ
本当に、後輩女子のことを心配してる
あれだけボロクソに言われたのに
俺達は歩き出した。
「ねえ、」
「はい?」
「まだ聞いてなかったね、君の名前」




