表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/13

エピソード12

すぐに医師と看護師が入ってきた。

そして、彼女の死亡が確認された。

医師から聞かれた俺は、彼女の名前と屋敷の住所を伝えた。


 「警察が来ますので、しばらく外でお待ちいただけますか」

 

俺は、ICU近くにあるベンチに座った。


20分程で警官が来た。

医師としばらく会話した後、俺に任意同行を求めた。

真夜中だったが、俺は素直に応じた。


病院の正面玄関にでると、赤色灯を回したパトカーが止まっていた。

俺が乗り込もうとしたとき、

一台の車が猛スピードで病院に入り、タイヤを鳴らして止まった。

後部座席から降りてきたのは、彼女の両親だ。


 「あっ、貴様!やっぱりお前か!」

 

父親は俺の顔を見るなり、凄い形相で俺に近づいてきた。


 「この人殺しめ!」


警官を跳ね除け、俺のジャケットを鷲掴みして低い声で言った。


 「娘の敵だ。俺がこの手でお前を殺してやる」

 

父親は、俺の首を凄いチカラで締めつけた。

俺は抵抗しなかった。

 

 「おい!やめるんだ!」

 

警官二人が父親に飛びついたが、父親は警官を押し倒した。


 「止めるな!こいつは、殺されて当然だ!」

 

父親は、俺の顔を殴った。

俺は吹き飛び、コンクリートに転がった。


転がった俺を追いかけてきた父親は、俺を蹴った。

足が俺の腹部にめりこむ。


 「お前のせいだ!お前のせいで、お前のせいで麗子は死んだ!この野良犬め!」

 

叫びながら蹴り続ける父親は、警官に羽交い絞めにされ、引きずられながら俺と引き離された。


 「放せ!あいつは、ここで死ぬべきなんだ!放せ!」



 「大丈夫ですか、」

 

もう一人の警官が、手を差し伸べ俺を引き起こした。

アスファルトの地面に、血がしたたり落ちた。


 「ここの病院で診てもらいますか?」

 

 「いえ、大したことありませんから」

 

 「でも、かなり強く蹴られてましたよね。念のため病院へいっ」

 

 「大丈夫です」

 

 「そっ、そうですか」

 

俺は、転倒した際に足を痛めた。

腹と足の痛みでフラフラしながら、俺はパトカーに乗った。

父親は警官に羽交い絞めされたまま、凄い形相で叫んだ。


 「貴様を必ず殺す!いいな、覚悟しておけ!」




午前6時。


俺は警察署での事情聴取の中で、

彼女と出会ってからのことをありのままに話した。

ニューヨークでの滞在の裏が取れると、俺は解放された。

彼女への暴行は、もっと過去に行われたということだろう。


冬の朝は暗い。


 今日はクリスマスか・・・

 

見上げると、雪が舞っていた。

差し出した俺の手のひらに、六角形の雪の結晶が落ちた。

それは、俺の体温ですぐに溶けた。

 

 もし、あの時本当のことを言わなかったら、

 今日のクリスマスを楽しく過ごせたのかな

 俺も君も、きっと笑顔で・・・

 

俺は、あのまま父親に殺されてもいいと思った。

彼女は俺のせいで死んだ。

父親の言う通り、俺も死ぬべきだ。


俺は、再びあの屋敷に行くつもりだ。

そして、あの父親に殺されよう。

あの世で、彼女にもう一度詫びるために。


だが、

その前に、やっておきたい事がある。

俺はスマホを取り出し、会社の顧問弁護士に電話した。


 「宮内さん、綾部です」

 

 「どうしたんですか綾部社長、こんな早くに。何か、トラブルでも起きましたか?」

 

 「ちょっと紹介してほしい人がいまして」

 

 「紹介?誰でしょうか、」

 

 「以前、腕のいい探偵を知っていると言われてましたよね」

 

 「ええ、都内はおろか、日本でも屈指の名探偵ですよ」

 

 「その人に仕事を頼みたいのですが」

 

 「もちろん構いませんよ。綾部社長に連絡するように、後で手配しておきます」

 

 「お願いします」

 

 「承りました。それでは」

 

手で顔を触ると、殴られたところが腫れている。


 この顔じゃ、電車に乗れないな・・・


スマホをポケットに入れた。 


俺は知らなければ、ならない。

どうしても。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ