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閑話 根が真面目なファウ
「俺んちで、歩き煙草しないでくれる?」
「大丈夫だって。床に引火しないよう、気をつけるから」
何しにきたかと思えば、酒目当てか……。
「この酒って、家にある?」
「地方に行かないと、ないかなあ……」
「どの辺?」
「写真撮ってスキャンすれば、すぐ出るよ」
「じゃあ、これ持ってて」
小唄がスマホで酒を撮っている間、俺は煙草を持たされる。
小唄が吸っている煙草は「日によって変わる」ので、毎回同じ匂いとは限らない。
本人曰く、香水代わりに使ってるとのこと。
「通販で頼もうかなー。調べたら、四国だった」
「好きにすれば」
小唄は箱から二本目の煙草を出し、俺が手で持っていた煙草で、火を灯した。




