表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Yの創作倉庫  作者: もず
68/157

閑話 リバーシ

「せ……、先輩?」


 一ヶ月ぶりに、シイナ先輩がきてくれた。

 それも、部室で作ったオムライスつきで。


「よかったら、食べてもらえるかしら」

「私の分もあるのか! それは、ありがたい!」


 食いっぷりが良かったのはミカゲ先輩だけで、私は昨日の体重のこともあるので、少しだけ食べた。


「ありがとう。ほんとは、失敗作なんだ」

「……失敗作? 変な味では、なかったですけど」

「さっき食べたの、"子供向きな味"だったでしょう。今日"は大人向きなオムライス"について研究して、わざわざ有名店にも足を運んだのに、あれと同じ味が作れなかったの。食べた時はこれとこれとこれを使えば、似せることができると思ったのに、馬鹿な思い違いよね。だからこそ、研究しがいがあるものだけど」


 シイナ先輩でも、哀愁に浸ることあるんだ。


 いやあるか。

 人間だし。


「……それでも、ちゃんと気持ちは込もってましたよ」

「私なんか、食べ足りないぐらいだ!」


 シイナ先輩はふふふと笑ってから、「そうね。そういう日もあるかもね」と、空になったケースに蓋をして、風呂敷で包んだ。


 用事はこれだけならしく、「たまには、遊びにきてよね」と手を振って、部室を後にした。


 シイナ先輩が所属する料理研究部の部室を通ると、気軽に入れるような状況じゃないから、これは建前なんだろうな……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ