71:登場人物・用語紹介
そろそろ話が長くなってきたので、整理を兼ねて登場人物紹介です。
年齢は物語開始時のもの。第5章終了時は1年半が経過しています。
★人物
◇クロエ・ケレス・セレスティア
15歳。
セレスティア王国の第一王女。
蜂蜜色の髪と若草色の瞳。
元々努力家の秀才で、兄と王位継承権を争う野心家でもあった。
高飛車で態度のでかい性格ではあるが、頭の回転が早く統治者としての資質がある。
15歳の誕生日で【草生える】という変なスキルが出てしまい、無能の烙印を押される。北の荒れ地に追放された。
スキルは大司教の偽装によるもの。本来は【大地の精霊の祝福】。大地の精霊に愛される、数百年に一度レベルのレアスキル。
草生えるとしてのスキルはかなり使いこなしているが、精霊への信仰心が薄いためにまだ本来の力は発揮できていない。
大地の精霊から世界樹の種を預かっている。
名前の由来は、クロエはギリシア語で若葉、若草、芽吹きを意味する人名。
ケレスはローマ神話の大地豊穣女神。ギリシアのデメテールに相当。
セレスティアはセレス、ギリシア神話の古い夜の女神より。
◆レオン・ダフニス(ヘリオス・エル・エレウシス)
20歳。
セレスティアの子爵家の三男坊、護衛騎士。
白い髪と鋼色の瞳。
セレスティアに戦争で敗北し滅亡したエレウシス王国の王子。身分を偽って潜伏、復讐の機会を窺っていた。
元は黒髪だったが故国滅亡の際に強いショックを受けて、白髪に。
表向きのスキルは【剣術(中)】。本来は【世界樹の守り人】。
精霊の力で栄華を極めた古代王国の末裔で、いつの日か世界樹と精霊の森を復活させるよう言い聞かされていた。
名前の由来は、レオンはレオ、太陽が守護星の星座。
ダフニスは古代ギリシア叙事詩『ダフニスとクロエ』より。
ヘリオスはギリシア神話の太陽神。アポロンよりも古い神。
とても余談ですがクレオパトラの息子と娘(双子)の名前がヘリオスとセレネです。古代のキラキラネーム。
◆村長
53歳。
荒れ地の村で長らく村長を務めていた人物。
ダークブラウンの髪、同色の瞳。だいぶ白髪交じり。
出番が多い割に名無しの人。名前をつけておけばよかったと後悔中。
◇ペリテ
8歳。
村長の孫娘。
茶色の髪に亜麻色の瞳。
最初は栄養不足で実年齢よりずいぶん幼い姿をしていた。
賢く好奇心旺盛で、物怖じしない。クロエも彼女の存在に助けられた。
◇イルマ
17歳。
村の女性。
灰色の髪にダークグレイの瞳。
祖父母(故人)がエレウシスで料理店を営んでおり、昔話で色々な料理の話を聞いていた。
夢物語で現実に存在するものではないと思っていたが、条件が整ったため実現。
以来、料理人としての腕をどんどん伸ばしている。お菓子と料理のどちらも得意。
◆族長
37歳。
遊牧民の一氏族を率いる長。アオルシの父。
長年荒れ地を旅しながら遊牧していたため、地形に詳しい。困窮する一族の現状を打破したいと思っていた。
スキルは【魔力感知】。比較的よく見られる種類のスキル。
名無しの人その2。
◆アオルシ
13歳。
族長の二番目の息子。
紺色の髪と灰色の目。
年若いが羊の扱いに長けており、父からの信頼も厚い。
魔牛の飼育を任されて以来、しっかりと飼い慣らした。
スキルは【鳥の目】。近くにいる鳥の視界を借りられる。
スキル特性があるので、いつか鷹を飼いたいと思っている。
◆アトゥン伯爵
41歳。
荒れ地と接する土地の領主。
良くも悪くも凡人で、中央とクロエのどちらに付くべきか決められないでいる。
◆フリオ
25歳。
旅の行商人。
オレンジ色の髪と水色の目。
商人としてはお人好しで、採算の合わない荒れ地の村によく行商に来ていた。
人柄のおかげで人脈が広い。
スキルは【鑑定(小)】。割とよくあるスキル。
◇ザフィーラ
71歳。
ミルーシュ王国の薬師。
かつてはそれなりに高名な薬師だったが、老後を生まれ育った村で過ごしていたところ、飢饉が発生。
口減らしに志願して棄民となり、クロエの村にたどり着いた。
草を生やすクロエと相性がよく、新しい薬草を生やしてもらっては楽しんでいる。温泉好き。
◆王太子
18歳。
クロエの兄。
金色の髪と青い目。
長子、長男のため王太子になっている。
性格は猜疑心が強く傲慢。実務能力は並。
秀才の妹に長年嫉妬しており、仲がこじれている。
スキルは【扇動】。大衆を言葉や行動で動かす際に補正がかかる。
名無しの人その3。
◆サルト
11歳。
クロエの弟。
蜂蜜色の髪と空色の目。
兄と違って心優しい少年。
姉と仲が良く、追放される際にもサルトだけは味方をしていた。
彼から贈られた植物図鑑はクロエを大いに助けた。
◆ゴルト
42歳。
セレスティア王国で指折りの大商家、ゴルト商会の会長。
権力と経済力を背景に強引な手法で販路拡大をしてきた。
汚い手で陥れたライバルは数知れず。暗殺者や盗賊などの闇組織とのパイプも太い。
◆ロイド
23歳。
ゴルトの秘書。
水色の髪と青い目。
貧しい農村の出身、幼い頃に売られてゴルト商会に入った。
持ち前の頭の良さと行動力で若くして会長の秘書にまでなったが、心の隙間を埋められないでいた。
村人たちの温かさに触れて改心。ゴルト商会の告発に尽力する。
◆ヴェルグラード
20代後半?
宗教組織『救世教』の大司教。
黒髪と鋼色の目。
フードで素顔を隠している上に、出自や正確な年齢なども不明。
精霊をはっきりと敵視していて、精霊信仰を潰すために軍を出動させるのをためらわないほど。
その割に普段の性格は軽い。ダジャレも好き。
深く考えずに大司教にしてしまったが、教皇とか枢機卿の方が良かったのでは……?と後悔中。
◇水の精霊
神秘的で一番精霊らしい精霊。
◇大地の精霊
神々しい外見をしているが中身はちょっと天然。
◆火の精霊
おしゃべりで気さくなトカゲくん。
◆風の精霊
未だ封印中。
★地図
★用語
・セレスティア王国
クロエの生国。大陸の西に位置するそれなりの大国。
農業・商業・魔法学がバランス良く発展している。
15年前にエレウシス戦争を起こし、相手国を攻め滅ぼした。
救世教の影響下にあり、特に現国王は大司教に借りがある立場。
・エレウシス王国
セレスティアに敗戦、滅亡した国。レオンの故国。
セレスティアの北、荒れ地の北西にあった。
古くから伝わる精霊信仰が生きていて、救世教に敵視されていた。
王家にのみ伝わる言い伝えで、古代王国の末裔とされている。(一般的には知られていない)
名称の由来は古代ギリシアの死後の楽園を約束する秘儀より。
・聖都市ヴェリタス
セレスティアの東に隣接する都市国家。救世教の本拠地。
武術や魔法の追求がなされており、知識と技術の蓄積が豊富。
慈善事業や信者による農業も行われている。
救世教は大陸で最大の宗教組織で、教義は『たゆまぬ努力と研鑽は、人の魂を磨き上げる』。
精霊を敵視して武力鎮圧をはばからない以外は、割と真っ当な宗教。
・魔道帝国アイゼン
荒れ地の東に位置する強国。
魔法と科学を融合させた魔道科学の第一線を張っている。
皇帝と元老院の合議制で政権が運営されており、意外にも皇帝の権力はそこまで強くない。
広大な領土を複数の属州に分割し皇帝と元老院とで統治している。属州ごとに特色はさまざま。
最初はドイツ系のイメージで作っていたが、帝国と言えばローマでしょ!! と個人の趣味から離れられずローマ風になってしまった。ローマ好きです。
・ミルカーシュ王国
聖都市と魔道帝国に挟まれた小国。農業メイン。
国土は狭いながらも火山があるなどバリエーション豊かで、独自の植生がある。
・ヴォルニア連合国
セレスティアの南東にある、いくつかの小国家の総称。
主に漁業と農業、交易を生業としている。
・ムーンローズ
クロエが生やした草。夜に紫色の花を咲かせるバラ。魔除け効果がある。
元々はエレウシス王家に伝わる花で、精霊と貴人の魂に捧げる花とされていた。エレウシスで紫の花が葬式に使われるのはこれに由来する。
少量が王家の庭に残るのみだったが、エレウシス戦争の際に全て焼失。役割の言い伝えもレオンが知るだけで事実上の消滅をしていた。
クロエが生やしたのを見つけた際、レオンはとても驚いた。
・魔牛スラビー
荒れ地に住んでいる牛の魔物。八百キログラムから一トンにもなる巨体の持ち主で、気性は獰猛。
クロエの村の魔牛たちは鎮静効果のある風タンポポをよく食べているため、落ち着いている。
肉も乳も美味。村でも肉を取ろうとしたが、巨大で頑丈な体のためになかなか殺せず保留になっている。




