ゴバル男爵との雑談タイム
治療も終わり、さて帰ろうかと思っていた矢先。セイジとエリーゼは男爵から茶の一杯も出さないのは貴族として失礼にあたるとのことで一杯だけごちそうになっていた。
「そうか、シャルロッテ王女殿下らしい。自らの身体で証明してみせるとはな。昔から豪気な方でな、私が指南したときも大人相手にひるまず挑むような方だった」
最初に自らの手を切り癒しの奇跡の証明をしたことを話すとゴバル男爵は驚くことはなく、むしろだろうなと納得していた。どうやら昔からの知り合いだったらしく、シャルロッテ王女殿下とむしろある程度親交があったのかもしれない
「今や近衛騎士の筆頭にまで上り詰めたお方だ、その実力をどうこう言うものはおらんが、昔は女だてらに騎士など、と影で言うものも少なくなかった。王女なのだから大人しくしていろ、さっさと嫁げとな。幸いにして第一王女が南の隣国へ嫁ぎ急ぎ他と婚姻を結ぶ必要もないから放っておかれているが、いずれ誰かのところに嫁がれるだろう」
「何やら東の隣国と戦争が近いのではと聞いたのですがそちらは大丈夫なのでしょうか?」
「東?あぁあの国か。情報はしっかり収集しているがまず辺境伯にその気がない。防備を固めて人を集めていたようだがその人員は守りばかりで攻めが得意な将を集めているわけでもなし。あくまでも領民に安心させるためのものだ。それに東の隣国は今後継者争いで内政がボロボロ、戦争なぞ始める余裕もないだろう。逆にこちらが仕掛ければ一致団結の要因を与えかねん」
ゴバル男爵は第一線を退いていてもやることはしっかりやっていたらしい。しかし辺境伯に戦争する気がないなら私は辺境伯のとこにいてもよかったのでは・・・と今更ながら後悔が
ただまぁこうしてゴバル男爵を治せもしたし、いいか。
「それより気になるのは王太子のほうだ、王は何を考えてあの者を王太子に指名したのか」
「私はどのようなお方か存じないのですが何か問題があるのでしょうか」
ちょっと出てきた王太子という存在、王不在の代理をするくらいしかわからないのだけれどもゴバル男爵としてはその存在が気がかりらしい。エリーゼを見るとそちらも表情は明るくない様子からあまりいい方ではないかもしれない。
「簡単に言えばバカなのだ。思慮が浅く自らの欲望に忠実でな。昔から周りが諫めていても聞きはしない。今回も南の隣国へ視察へ行くと言って遊びに行ったようなものだ。姉が嫁いでいるのに何が視察か。我が王も期待していないからこそ帰国を待たずに入れ違いのようなもので出立されたのだろう」
王が何を考えているのか、わからないと男爵は頭を悩ませる。
現在王家には三人の娘と一人の男がいる。
一番上の姉は南の隣国へと嫁ぎ、二番目シャルロッテ王女殿下は近衛騎士を。三番目レティカ姫は療養中。
そして一人いる男が王太子として指名されているグレイ
どうやら顔は王の若い頃ににてイケメンらしいが、それのせいか浮き名を流して遊んでいると。
まだ理性はあるのかそこらへんに種を撒いてはいないそうだが・・・
「王太子だというのに未だ婚約者もおらんときた。王が貴族相手に辞退しても良いと言ったからなのだが声を掛けた上位貴族の年頃の娘には全員断られてな」
「時期国王様となる男性との結婚となると色々大変でしょうし選ぶのも難しいんでしょうねーマナーやら教養やら」
さも結婚など他人事と言わんばかりのセイジ、お茶にクッキーにとぽりぽり食べているのを見て男爵はにやりと笑って質問した
「してセイジ様、ご結婚の予定は?」
その後は察してほしい、予想外の質問に私の鼻から鼻水以外の何かが噴出したことを
「はぁ、はぁ・・・そうですね。何かご縁がありましたら」
この世界に来てパタパタして結婚というか女性にあまりそういった縁がない。結局一番長く接してるのはエリーゼさんだが、付き合っているかと言われると違うわけで
「聖女様は基本的にそれなりの身分の者と結婚することとなる、それは護衛という意味が強くてな。平民相手では誘拐など防ぐのが難しいのだ。それはおそらくセイジ様も代わりないだろう。結婚相手を選ぶ際は気を付けることだ」
そう言われても、それはつまり貴族様なり豪商なりと結婚しろということでは?貴族女性は平民と結婚しても文句ないのだろうか
私と結婚してもメリットは死ぬまで健康でいられるとか、それくらいなのだけれども
初作品となりますがいかがでしょうか?
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