男爵様のお屋敷
男爵、というと貴族の位では一番下ということでお屋敷も小さ目かと思いきや。着いた先にあったお屋敷は伯爵様のお屋敷とあまり遜色のないようなものだった。
金の使い道は人それぞれなのか、それとも何か稼ぎの都合なのか。まぁそこらへんは気にしないけれども、これはこれでやはり緊張する。
気位が高いということは気難しいそうな気配も漂ってくるではないか。
「セイジと申します、お話は通っていると思いますが患者さんを診に参りました。中へお取り次ぎお願いします」
門番をしていた中年の男性に声を掛けるとしばしお待ちを、と丁寧に返してくれた。門番の人は普通らしい。さすがに家の人たちみんな気位が高いということもないか
「気を付けてくださいセイジ様、あの人結構できますよ」
どうやらエリーゼさんには何か感じることがあったらしい、俺からしてみれば背筋が伸びていい姿勢で歩いている。くらいにしか見えないのだけれども
「お待たせいたしました、ゴバル男爵がお会いになるそうですのでこちらへ」
数分と待たずお屋敷の中へは通してもらえた、いやぁースムーズに進行してもらえるっていうのは本当ありがたいわ。どっかの侯爵にも見習ってほしい。
中は執事さんに案内され付いて行くも
お屋敷の中も外と同じく無駄に豪華ではないが質のいいカーペットや家具などが配置され住んでいる人の気質が見てとれるようだった。ここまで来た感想としては正直嫌いじゃない。
先の門番の人やこの屋敷に漂う雰囲気からして、私の予想通りの人な気がする。おそらく部屋で待ってるのは・・・
「ゴバル様、セイジ様が参りました」
執事がドアをノックする音に入室を許可する返事は速やかに返ってきた。その声は少し太く、芯を感じる。落ち着き払っている声は治療が必要なのか疑問に思うほどだ。
「失礼します、聖人のセイジと申します。本日はゴバル男爵の治療に参らせていただきました、こちらは付き添いのエリーゼです」
自己紹介と同時にセイジは頭を深く下げる。
ゴバル男爵と呼ばれた男性は杖を付き立ち上がり、それを見ていた。まるで見定めるように
ただし全身を舐め回すかのようにではなく、ただまっすぐにセイジの姿勢を見ているのだ。
そして納得したのか厳しかった表情を一変させ少しだけ笑みを浮かべ顔を上げるよう言った。
「よくお越しになられた、今日はわざわざ当家まで足を運ばせて申し訳ない。シャルロッテ王女殿下より話は伺っている。こちらこそ何卒よろしくお願いしたい」
明らかに悪いであろう膝を折り、騎士のように膝まづく姿にセイジは初めてかもしれない、聖人としての自身を見る。
とはいえそんな自分はイヤなセイジはすぐに自分も正座して頭を下げたのだが。
そんなセイジを見てエリーゼがただ一人楽しそうにちょっとだけ笑っていた
初作品となりますがいかがでしょうか?
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