王様ご出立!
翌日、昼前ほどの時間から王都の街は賑やかになっていた。
王様が隣国へと行くということでそこそこの行列となり街の大通りを10台以上の馬車と護衛を引き連れての出立をしているのだ。
そこを国民がみんなで見送る、一種の祭りのようで道には屋台がいつも以上に並び大層な賑わいを見せている。
「いやぁーこの国の王様は国民に愛されてるんだねー」
「そらそうだ!なんてったってこの国の国王様だ。特に悪い話もないし、税率も低いから商人もたくさんきていい国だぞ。あんちゃん他所からの人か?気に入ったらこの国に移住するといい」
出店のおっちゃんから串焼きを買いながらセイジもまた国王を見送る。セイジとしてはあまり好んではいないが、かといってブーイングを送るほどの関係ではない国王。その国王を静かに食事しながら見送る。
まぁ悪い話が国民にまで下りたら、大抵その王様はもうダメだろうさ。遅かれ早かれ降ろされる前兆だ。
しかしまあ一か月ほどの移動ともなれば大変だろうに。あの豪華な馬車も少なからず腰にくるだろうし、護衛の人たちの疲労もなかなかだろう。しかしそれなのに聖女は同行しないらしい。
万一誘拐なりされては困るということか。王族よりもそういう意味では大事にされているのかもしれないけれど、ね?
王様を見送り、パレードの余韻そのままな大通りを後にセイジは仕事へと向かう。先日までと違いシャルロッテ王女殿下の案内はないものの、メモは残してもらったためその患者の元へと向かうのだ。もちろんエリーゼという護衛を伴い
「たぶんお一人だと門前払いを食らう可能性が・・・衣服を改めるのを考えてみては?」
相変わらず古着のセイジを見てエリーゼが首を傾げる。
「そうは言っても整復することも考えるとある程度動きやすい格好が求められてしまうのもあり、それと懐事情もあるのであまり衣類に金はかけられない。安定した収入や職場ではないですからねー。それにできればお貴族様相手は避けたいので積極的にそういう格好をしたいわけでもないです」
平民相手ならこの格好であろうと大丈夫だし。大儲けしたいわけでもないので平民相手に10人以上毎日治療ができれば貯金できてごはん食べれて丁度いいと思っている。
それに対して貴族相手はトラブルは多く儲かるケースがどれだけあるか。服を新調しだしたらアレコレ金が掛かりそうなんだよ。
「ほら見てくださいエリーゼさん、このメモによると今日の患者さんは気位の高い人で非常にやっかい、注意せよって書いてますよ!こりゃー今の私には無理かもしれませんので他の人を治療しに行ったほうが」
「はいはい、その後にでもセイジの礼儀作法なら問題ないと書いてますよ。それじゃあ行きましょうね。馬車が待ってますから」
こうして俺はエリーゼに引っ張られて男爵様のお屋敷へと足を運ぶことに。絶対厄介なことになるの間違いなしなのになぜにそこに飛び込まなければならないのか
改めてそう思うがそも元の世界で最初にマンホールになんか落ちた時点でスゴイとこに飛び込んでるのよな・・・
パッカパッカと馬の蹄の男を聞きながらセイジは空を見上げるのだった。
その目には遠い故郷の空と同じ色が浮かぶが、見ている情景は違うものだろう。
初作品となりますがいかがでしょうか?
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