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礼には礼を

さてどこに連れて行かれるのかと、不安な気持ちで思案に暮れていると・・・やはり着いたのはちょっと良さそうなお屋敷。

どうやら侯爵様ほどの地位の人ではないらしい。ただそれで安心できるかと言うと話はまた別なのだが


「あぁ・・・本当に来てくださった。シャルロッテ王女殿下様・・・」


まるで祈るように、すがるように屋敷から出てきた男性は騎士様の前に跪いて見せる

あのエルレイ侯爵とはえらい違いだ。


「護衛の騎士として参ったのだ、そのように跪かなくて良い。それに癒すのはこちらの男セイジがやるのだ、私に跪いてどうする」


シャルロッテ王女殿下の隣に立つセイジを見て改めてその男性は頭を下げた。

下げることに一切の迷いもなく、である


「セイジ様どうか私の母をお救いください・・・もう歩けず数年、日々弱る一方なのです。神殿に幾度も赴いたのですが症状は改善されず・・・もう神にも頼る思いで祈ることしかできぬ己の無力さが悔しいです」


高齢で寝たきりとなるとかなり大変な治療になるだろう、と。その時は簡単に予想できた。

俺はまずは診てみる、と告げ必要になりそうな人も呼んでもらうことに

もちろん呼ぶのは患者に触れられる体力のある人と、私が触ってもいい男性である


母親が眠る部屋に通されると、朝も早いというのに準備していたのだろう。母親はしっかりと目を覚まし、誰かの手を借りたのか状態を起こしてこちらを出迎えてくれた。


「話は息子より聞いております、本日は私のような者のためにわざわざお越しいただきまことにありがとうございます。前伯爵夫人のサーシャと申します、このような状態故ベッドの上での挨拶、何卒お許しくださいませ」


それは本当に丁寧な挨拶だった。優雅にしてそれなりの身分を思わせる

もちろん、そのような挨拶をされてはこちらも応えないわけにはいかない。拙いなりに、自分にできる精いっぱいの挨拶で応える


「こちらこそ、こちらの都合で朝も早い中丁寧なお出迎えありがとうございます。治療をさせていただきますセイジと申します」

言葉を尽くした挨拶ではなく、こちらは姿勢でその挨拶に応える。姿勢良く、深く頭を下げることで


「よろしくお願いしますセイジ様」


こうして前伯爵夫人との顔合わせが終わり、さっそく診察へと入ることに。

まずは手を触らせてもらい全身を見てみると・・・幸いにして病気等の深刻なものは無さそう。

ただ患部は確かにまずいことになっている、それと足の筋肉も。これはリハビリに時間と根性が必要だろう。

症状としては年齢もあり骨粗鬆症、その上たぶんコルセットで絞めつけ過ぎた結果骨が折れて、骨片が神経に刺さり傷がいってしまっている。


聖女様骨折だけ治して終わらせたらしい。これだけじゃ無理だろうに

ただこの骨片だけなら・・・切開など不要だろう。部分的に、それこそこの骨片めがけて癒しの奇跡で治療促進すれば体内に吸収できるはず


「サーシャ様、腰を少々触ってもよろしいでしょうか?」

「それはもちろん、老いた未亡人ですのでどうぞお気になさらず」

とは言うが後ろに控える息子さんと騎士様は何やらハラハラしているのだけれども、本当に触っていいのだろうかとは思うが。こればかりは他人に代行させられないので触ることに


目を閉じ、ただただ患者の患部に集中する

するとセイジの指先から光が溢れ、ゆっくりとそれはサーシャの腰の中へと深く入って行った。

時間にしてたった10秒ほどのことだったが、この光景に後ろの二人は息をのんで待つ。

治るように祈りながら


「ふぅ・・・これで治ったはずですよ。数日で麻痺は取れると思いますが次はリハビリのやり方をお教えますのでメモの準備をしてもらってもいいでしょうか」

セイジのその言葉にシャルロッテ王女殿下は安堵した。治ったと、彼女は確信したのだ。セイジが治したと


本当に治ったのか、半信半疑だったもののサーシャの足の麻痺は数日で取れ、指先がしっかり動くように。

もちろん立ち上がるなどは無理だったが、セイジはしっかりリハビリの方法と食事療法を教えていった。

高齢者にはかなりキツイものではあるのだが、後は息子や周りが支えること。

その助けになればと、セイジは一つだけ息子である伯爵に伝えた。


目的を持たせてリハビリをさせるように、と。その目的のためきっと頑張るから、と

その言葉もあってか地獄のようなリハビリを乗り越え、サーシャ前伯爵夫人は社交界へと舞い戻ることになるのは少し先の話






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