エルレイ侯爵王城へ呼び出される(断罪編)
セイジとシャルロッテ王女殿下が二人仲良く食事をした翌日・・・
エルレイ侯爵が王城へ呼び出され、今謁見の間で王を待つ
早朝受け取った手紙に呼び出された要件は書いてはおらず。もうすぐ社交シーズンも終わり領地へと帰るだろうから最後に顔を出してほしい。そういった内容が王族からの手紙にしては懇切丁寧に書かれているだけ。
誰が見てもそれは不審でしかない書き方ではあったが、偽物というわけではない。封蝋はしっかり王家のものであり、届けたのも王族であるシャルロッテだったのだ。
エルレイ侯爵としては思い当たる節は昨日の出来事しかなく、王を待つ間その背中と額には冷や汗が垂れ流されていた
いくらハンカチで拭いても額から流れる汗はまるで尋問を受けている囚人のようだ
「待たせてしまったようだな、とはいえ1時間も待ってはおるまい?なあエルレイ侯爵」
ようやく来たか、それともついに来てしまったと思ったのか。ただ一つ言えるのはこのまま1時間も待っていたら彼は倒れたかもしれない
「さていきなりの呼び出しに応えてもらってまずは礼を言うべきか?なんせエルレイ侯爵は王族を信用していないようだからな?てっきり来ないのではないかと心配していたところだ」
いきなりの不信発言にエルレイ侯爵は慌てて顔を横に振り否定する
「そ、そのようなことは決して。我が忠誠は全て王族に捧げております」
「そうか、全てか。どうやらその捧げた忠誠心とやらは少ししかないようだ、全体として本当に僅かとしかいいようのない。シャルロッテに聞いたぞ王族の言葉を信用せず行動を持って示させたと」
やはりこれだった、とエルレイ侯爵は答えに詰まる。事実であり否定しようがないのだ。
ただ、その解釈、事の前後は違うのだと釈明を始めるのを王は止めはしない
「何もシャルロッテ王女殿下に血を流させるつもりはなかったのです。ただ近くにあの平民の力を証明させるモノが居らず。さてどうしたものかと思案していたところ王女殿下が自ら手を」
それは間違っていない。確かにシャルロッテは誰にも何も確認せず自らの手のひらを切って見せたのだ。
だが・・・
「それはそもエルレイ侯爵がシャルロッテの言葉を信用しなかったことが発端であろう。それは王である私が認めた事実でもあった。それをさらに自分の前で証明しろとは・・・これで王族を信用しているとは随分と舐められたものだな」
謁見の間にいる複数の騎士の視線がエルレイ侯爵に突き刺さる。エルレイ侯爵のやった行為は貴族で騎士であれば誰でも不敬だと分かる代物だ。それを侯爵という地位の者が分からないわけがない。
「これではいざエルレイ侯爵令嬢が誘拐でもされたら喜んで王の首すら敵に渡しそうだな?」
「そのような事は決して!この身は王に捧げたもの!王の首を渡すなどありえませぬ!」
それはエルレイ侯爵の本心だったろう。ただしその本心は娘が関われば変わるだろうが。
もしも娘が誘拐されでもしたら悩みはしても王の首を敵に渡す、それがコイツだ。と王は思ってしまったのだ。そしてそれはきっと間違った判断ではない
「そうかそうか、ではエルレイ侯爵。王命だ、今月中に屋敷を引き払い王都を出るか当主の地位を他の分家なりの者に譲るか好きなほうを選べ」
その提案にエルレイ侯爵は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして止まった。
いきなりの王の命令、この内容が何を意味しているのか・・・
初作品となりますがいかがでしょうか?
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