溺愛と躾
エルレイ侯爵の娘リーシャの悲鳴が屋敷の中でうるさくも鳴り響くと、先に入出したシャルロッテ王女殿下とセイジの事を押しのけエルレイ侯爵が中へと入っていった
特にセイジの事など肩を押して強引にスペースを開けて侵入する始末。
「どうしたリーシャ!?」
どうしたと言いたいのはこの場にいたシャルロッテ王女殿下とセイジの二人の方だろう。治療に来たというのになぜ叫ばれなければいけないのか。
そしてベットにいるリーシャの姿をよく見て見ればその恰好はドレスでばっちり決められ、もちろんメイクも髪型も今から夜会にでも行くのかという気合の入れよう
これでけが人病人と言われても信用などないだろう
人を一時間も待たせた結果ではないだろうな、とセイジは帰りたくてたまらなくなっていた。
しかも入って早々悲鳴ときたもんだ。これが5歳くらいの小さな女の子というなら話もまだ聞こう
だが目の前にいる女の子は中学生程度の年齢ではあるはず。一応話は通してあるはずというのに。
「お、おとう様誰ですこのみすぼらしい格好の男は!?わたしくシャルロッテお姉さまが来てくださったというからこうして準備いたしましたのに」
どうやら王族に合うためこの格好をしたらしい。・・・メインは治療のはずでは?それなら騎士様には入出無しで待っていてもらえれば1時間も無駄に待つ必要がなかったか
「あぁリーシャ聞いてくれ。この者が治療をするのだ。大丈夫確かに男だが癒しの奇跡は使えた」
「そんな男の方が?わたしく信じられませんわ。それにそんなみすぼらしい格好で・・・偽物ではありませんの?神官様だってもっときれいな格好ですのよ」
セイジを見る二人の目はあからさまに侮蔑の色が浮かんでいる。この視線はもちろんシャルロッテも感じていた。
「それに聖女様ですらわたしくのことは治せなかったのにこのような方が治せるとは思えませんもの」
ということで無事私の役目は無くなったようなので速やかにこの屋敷を退散しよう
そう思って踵を返すとやはり騎士様に止められてしまった。今度は肩を掴まれる程度ではなく首に腕を絡ませられる程度に
あぁ甲冑って結構冷たいんだ・・・
「なるほど、わかりました。それでは無駄足だったようですので我々は退散します」
そのシャルロッテの声にはもともと大して感情など込めないものを一層冷たく、まるで見捨てた切り捨てたかのような鋭さがあった。
それはそうだ、一時間も待たされ、あげく治療もなにもなく返されるのだ。王族が血まで流したのに
「え、ええ娘が拒むのなら仕方ありません。なんせそのような男では娘も触られたくはないでしょうから」
「ああ、仕方ない。レティカには残念なことになったと伝えよう。そして我が王にも。王族の言葉も行動をもってしてもエルレイ侯爵は信用しない確かに伝える」
この言葉でようやくボケた頭が冷静になったらしい、エルレイ侯爵の緩んだ顔が青を通し白くなっている
王族を信用しない。それは・・・この貴族社会で最悪の選択なのだから。
王の威光が陰っているならともかく、今の王は他の者からは信頼されている。その王を信用しないと言うのだ、エルレイ侯爵の不敬罪は確定だろう
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