信用問題
「あのシャルロッテ王女殿下、失礼ですがこの平民は・・・」
エルレイ侯爵の目線が既に失礼だった。なんだ?俺は帰ってもいいんだぞ。というか帰してくださいお願いします。お貴族様と関わり合いになりたくないんです
「レティカが書いたかわからないがこの者がレティカを癒した者だ。私もその腕は確かめてある」
その言葉をもってしてなお、エルレイ侯爵の目線はこちらを値踏みするかのように失礼極まりないものであった。
よし帰ろう
俺は迷わず踵を返し去ろうとしたのだが、やはり騎士様に肩を強く掴まれ止められてしまった。
「エルレイ侯爵様も何やら不審がられておいでの様子ですのでここは日を改めてまた後日、10年後くらいにということでは」
「そんな悠長にしていてはろくなことにならないだろう。エルレイ侯爵どうする、娘の足を治したくはないのか」
対照的な二人の態度を見てエルレイ侯爵は思案する。シャルロッテ王女殿下は信用できる、がこの男は信用ならない、と
やはり見た目、衣服というのは大事な要素であり、仮に王様が物乞いのような服装であったなら侮られるのと同様にいかに聖人であろうとも古着では信用に欠けるのだろう。もし神官長のような豪華な衣服に包まれていたのだなら少しはエルレイ侯爵も信用したのかもしれない
「姫様、私は王家に忠誠を誓った身です。ですがその男を信用することはできません。どうかその男を私に信用させてはくださいませんでしょうか」
この男はすごい、と俺は思った。王女が太鼓判を押し、その実力は王すら認めたというのにこの男はそれでもまだなお認めていないのだ。王よりも用心深い、それは自分の娘の身を心配してだろう。たとえ子の一件で王族に目を付けられようとも
「だ、そうだ。何かあるかセイジ」
「といきなり言われましてもね、無いから帰るではダメでしょうか」
「よし、エルレイ侯爵。誰かけが人なり病人はいないか?」
本当もう、このシャルロッテ王女殿下様はどうしてこう人の話を聞いてくださらないのでしょうか。
最初から他人を癒させることでエルレイ侯爵に認めさせる気満々だったでしょ
「そうですね・・・その手の者がいればすぐさま神殿へ向かわせますのでちょっと身近には・・・」
そりゃそうだ、長蛇の列とはいえ並べば治してもらえるのだ。必要ならそっちに行ってるはず
「そうか、では私の腕を切って治させよう。セイジを連れてきたのは私だからな」
言うが早いかシャルロッテは剣を抜き左手のひらをスっと切りつけた。
切れ味がいいのか案外傷は深いようで一気に血が流れでる
その様子にその場にいた男二人はドン引き、エルレイ侯爵は顔が若干青ざめていた
「あぁーあこりゃー酷い。シャルロッテ王女殿下に血を流させるとは。王様に報告したらどうなることか・・・」
セイジのこの言葉にエルレイ侯爵の顔は青から土気色へと変貌していた・・・
自分がやったこととはいえシャルロッテ王女殿下に血を流させたのだ、自分を信用させろと言って
これが王に知られたらどうなることか・・・良い結果になるとは思わないのが普通だろう。最悪首が飛ぶ
初作品となりますがいかがでしょうか?
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