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王城にて信賞必罰(断罪回)

セイジが去ったと、王城には嵐が吹き荒れていた。理由はもちろんセイジへの対応について


「それで、セイジを軟禁したのは誰の指示だ?」

王の問いに誰も答えない、それはそうだ。名乗り上げれば処罰されるのはわかっているのだから。

そして地位の低いものにそんな勝手な判断などできはしない。少なからず上位の貴族、それにこの王城での権限があるものが指示したことなのだ


「そうか、名乗り出ないか。ならば下の者から処罰していくか。まずはセイジの部屋を警護していたのは誰だ。セイジの要求を無視したのは誰だ」


その問いかけに一人の騎士が震えながら手を上げ前に出た。もし自分から名乗り出なければ他の者から名指しされかねないからだ。いくらセイジの軟禁されていた部屋がある程度王城の隅っこの部屋とはいえ、それなりに人通りはあった。

そこを掃除やら何やらで通りかかるメイドたちはいたのだ。そしてセイジが声を上げたタイミングで通りかかったものもいた・・・

それなのに名乗り出なければ後々もっとひどい処罰をされる可能性があったからこそ、しぶしぶ名乗り出たのだ。

他人に擦り付けたりしなかっただけ、この騎士に良心というものはあったのかもしれない


「そうか、お前か。それで誰の指示でお前はセイジの声を無視した。王を癒した者の水と食料の要求をなぜ無視した」


王の問いかけに応えない、それはともすれば不敬罪での処罰もある行為なのだが・・・彼は答えられなかった。

なぜなら自分だってそう思っていたのだから、王族の恩人に対してなぜこんな仕打ちを、と。


彼にその指示をした者はこういって彼にその指示を納得させた

『もし王に後遺症など残ってみろ、そんなことをした者に水一滴やる必要はない。何もなかったらその時に金でも握らせてやればいいだけのこと』


確かにその者が言ったことは正しいのだろう。もし王に何かあったとき、厚遇していたとなっては自分も処罰されかねない。だが・・・逆だった場合は金を握らせるだけで丸く収まるのだろうか・・・

その疑問を問う権限も俺は持っていなかった。

だからこそ、俺がやったのは無視するだけ、何もしないこと


「そうか、お前は王の問いにすら、セイジの要求ですら何も応えないのか。そんなものを私の目の入るところに置いておくわけにはいかない。丁度東の辺境伯のところで戦の気配があると聞いた、そこい行け。口を開かず腕を動かしてこの国に貢献してくるといい」


こうして彼は王城務めという栄えある職業から辺境の兵へと身を落とすことに。もっともそれは自分が選んだ選択なのだから貴族相手に文句も言えないだろう。セイジ以外に


「さて次だ、副官長。セイジへの報酬の支払いがなかったのはなぜだ、答えよ。お前は口が利けるな?兵と違って戦えない神官が口が開けぬとは言ってくれるなよ」


現場の対応に追われていた神官長に代わりに王城へと登城していた副官長が額に汗を流し応対する

「あのーその。それがですね、セイジ様の治療は、あのシーツに寝かせて治療するケースが多いようでそのたび交換していたのでー。どうしてもシーツの洗濯代金が、かかりまして」


それが理由らしいが必死に額の汗をハンカチで拭く彼を王は鋭い視線を向ける。信用ならない、と


「宰相よ、シーツ1枚の洗濯に必要な金額はいくらだ?」

王は横に控える宰相へシーツの洗濯代金を問う。その問いに宰相は笑って答えた、その相場を


「大よそ銅貨2枚、といったところです」

「そうか、その程度か。神殿の治療代金は確か一人平均銀貨5枚だったな?つまり、神殿は洗濯代をふんだくられていたのか?それとも間で誰か盗んでいたのか。どちらだろうな?」

「今帳簿を取りに行かせていますので答えはすぐ出るかと」


二人のやり取りに副官長は額以外にも冷や汗を流す。バレたらどうなるか・・・そんなのいい結果になるわけがないのだから。


「まずは神殿への予算削減だな、シーツの洗濯はこちらから改めて業者を指定しよう。宰相しっかり選ぶのだぞ、汚職は許さぬ。それと関わった者たちの地位の降格。そうだなせっかくだ地方巡業をしてもらおう。神官がいない地域もある、30年ほどしたら一度王都への帰還を命じる」


地位のある神官の年齢など大分高齢だ、つまり死ぬまで帰ってくるな、ということだ。少なくとも王が存命の間は帰還は許されないだろう


この謁見の間にいる者で何人の顔が青ざめたことか。

だがまだ王の追求は終わっていない

初作品となりますがいかがでしょうか?

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