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相応のお礼を

王城前でエリーゼさんと別れ、騎士様に護衛されつつまずは宿屋へと戻ってきた。

特に宿屋に用があるわけではなく、用があるのは裏手にある鍛冶屋で

用があるというのならできるだけ早く会いたいというもの。いつ会えなくなるかわからないのだから。


「ということでさくっと来てみたけど、報酬ならこのナイフで十分でしたよ?」

と、店内に入ってすぐ声を掛けるも、そこには誰もいないという。また奥にいるのだろうかと思い声をかけようとすると、代わりにしたのは金属をハンマーが打つ音だった


しばらくリハビリしてって言ったのに、とはいえ鍛冶屋としては少しでも早くハンマーを握りたかったというのもわかる。無理してないか様子見という意味でも来てよかった

奥へと進み音の方へと足を向けると、やはりそこには店主が熱い窯に向きあって鉄を熱しているところだった。


「おーいご店主、手の調子はどうですか?」

「ん?おぉ!来たか!全くあんなナイフ一本だけ持って帰っていきやがって、あれっぽっちじゃ足りないだろうが。ちょうど今一本作ってるからちょっと待ってろ」


それだけ言い店主は再び鉄と向かいあう。特に急ぎの用事もないので店内を見ながらしばらく待つことに。

まだ掃除までできないのか少々埃っぽいが、さっき見た鍛冶場は綺麗に片付いていた。兎にも角にもハンマーを振るいたかったか。


それから1時間ほどして、ついに納得がいくモノが出来上がったのか店主は額の汗をタオルで拭いながら出てきてくれた。その顔はずいぶんと満足した顔で楽しそうだった



「できたぞ、秘蔵のミスリルで作ったナイフだ。これなら大抵のモノは切れるぞ。食事に治療に何なりと役立ててくれ」

すっと鞘から抜いて見せてくれたナイフは白銀色にまばゆく輝く。ミスリルという鉱物は知らないが、きっと高いものだったろうに・・・そんな高そうなもの受け取っては過不足が出てしまう


「店主さん、ありがとう。なら俺も相応の金を払わせてくれ、そうでないと気持ちよくそのナイフを受け取れない。治療に感謝してくれるなら俺の気持ちも受け取ってくれ」

店主がナイフを出すように、俺は財布から金を出す。とりあえずなけなしの金貨20枚ほどを


「まったく、黙ってナイフを受け取ればいいものを。そうだな、店の掃除やら材料の仕入れになんぼか金もいる。ありがたく金は受け取っておくよ、だがな改めて礼を言わせてくれ。おかげで俺はまだまだ鍛冶の道を進んでいける」


店主は金貨を10枚だけ受け取り、残りをセイジに返した。

こういうとき、モノの値段がわからないというのは本当に困る。


「それはそうと店主、せっかく足を運んだんだ、軽くストレットなりするよ。まだまだリハビリ段階なんだ、気にすることはない」

ほのかに笑顔を浮かべていた店主の顔が引きつる。先日の整復は激痛ではないものの大変ではあり、その記憶が蘇ったのだ。


「いやいや、先日やってもらったばかり、今朝もしっかり習ったストレッチをしたから身体ももう快調で」

「それはよかった、じゃあちょっと診てみよう」

笑顔のセイジと恐怖で青ざめる店主、対照的な二人がしっかりと密着し、バキボキ!という小気味よい音が店内に響いた・・・

あと店主の悲鳴も


「ほら治療箇所をかばうようにしてるからこっちが凝ってるじゃないか。それと落ちた筋力を補うように握ってるからこっちの筋にも負担がかかってる。あぁーほら体勢が悪いせいで背骨に負担かかってるよ」

「ぎゃぁぁー!」


一仕事終え、店を出てから俺はこっそり騎士様へと聞いてみた。このミスリルのナイフとはどれくらいの値段なのか


「そうだな、そのサイズならそう値段も張らない、ざっと金貨100枚ほどか」


・・・俺はもっと稼ごうと心に決めた。いつかあの店主に相応の恩を返すために

ちなみに店主は疲れていたのか寝てしまった。きっと朝早くから仕事してたに違いない。

まったくリハビリ中なんだから無理はしないほうがいいのに


初作品となりますがいかがでしょうか?

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