首を洗って待っていろ
セイジの言葉に王は少しの間考えこむ
その間一体何人の人間が生きた心地がしなかったろうか
そんな者たちの心情など知ったことかと、王が出した答えは酷く残酷なもの
「ではその一件に関わったものの首を全て刎ねよう。それで問題ないかセイジよ」
その言葉で一気に関係者の顔が青ざめた。これで大よそ関わった人が分かったようなもの
もっとも、それをセイジが望めば、の話なのだが
もちろんセイジはそんなもの求めなかった
「となりますと、結局私は再びこの城を訪れることはないかと。何かすれば簡単に首が飛ぶのであれば、そんな恐ろしいところに来るのは平民の私には命がいくつあっても足りぬというもの」
どっちにしろ来ないぞ、との態度を示す。本当にもう来たくないので
ただ自分たち王族の身体を治せるとなれば手放すわけにはいかない、というのも仕方ない
「では分かった、必要があれば我々王族がお前の診療所へと訪れよう。それでよいな」
それが王の最初から用意していた答えだった。どうせ来たくないんだろう?じゃあ行くわ、と
来るな、困る、などと言えるわけもなく。おそらく来るときは大勢の護衛なり連れてくるのだろうな
「王様直々のご来店のないよう、心身ともに健康でいらっしゃることを切に願います」
それだけ言って俺は王城を出ることに。結局のところ王様からもらえた報酬というのはある程度の自由なのだろう
まあ王様から何か下手にもらうと面倒なのでちょうどいいといえばちょうどよかったと思う。
「これでエリーゼさんの護衛も終わりかな。今までありがとうございました」
一緒に出てきたエリーゼさんに深々と頭を下げた。なんだかんだ色々とお世話になってはいたのだ。しっかりお礼は言わないと
「そうですね、神殿に来ないとなると一度神官長様の判断を仰ぐ必要があるかもしれません。ただ護衛がいなくなる、ということは無いと思いますよ、あなたは王族にとって大事な聖人様なのですから」
エリーゼがちらりと視線を向けるとこちらに向かってくる騎士が一人、第二王女のシャルロッテ王女殿下である
「王からの命令により改めてお前の警護をすることになった。それとこれは妹レティカからの手紙だ、ありがたく読むように」
何ともぶっきらぼうな物言いだが、彼女は俺に給料を払ってくれたこの世界でも珍しいとてもいい人だ、物言いなどどうでもいい。
「ありがとうございます、宿に帰ってからゆっくり読ませていただきます。ただ護衛なのですが特に王都の治安は悪くはなさそうですし不要かと。ここなら拉致してくる人たちもいないでしょうからね」
だって拉致先の王都にいるんだから
「そういうわけにもいかない、他国の人間が攫うかもしれないからな。神殿ならば護衛が常駐しているから不要だが、お前は王都をふらふらしているのだろう?ならば誰か腕利きの者が必要になる」
やはり彼女は腕利きらしい。争わなくてよかった
初作品となりますがいかがでしょうか?
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