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成すべきこと

そして一週間でセイジは村の人々の身体を徹底的に治療し、一緒にストレッチや仕事の際の腰に負担がかからない物の運搬方法を教え終えた。


「いいか、腰を中心に持ち上げると筋が切れて大変なことになる、両足の太ももの筋肉をうまく使って持ち上げるんだ」


実際に実演して見せ、自分たちもやらせることで効果を実感できることがある。お手本って大事


ある程度・・・とは言い難いが、とりあえず懐もなんとなく温まった。これ以上今はこの村でやることはなくなってしまった。ということで次の村なり町へ行こうとしたときだ。


「セイジ、もしかして村から出て行っちゃうの?」

夜に村長の家をレイラが尋ねる、特に誰にも言ってなかった、なんなら村長にも今夜言うつもりだったというのに、よく感づいたものだ。


「ああ、とりあえずこの村で俺ができることはもうないからな」

「でもこれから畑の収穫も始まるし、まだ人手は・・・」

「そうだな。確かに人手はいるだろう、だけどな。癒しの奇跡を求めてる人はこの村の外にたくさんいると思うんだよ。せっかくもらった力だ、困ってる人を大勢助けてやりたい。それが俺がこの世界に来た意味だろうから」


聖女が王都にしかいない以上、怪我や病気で困ってる人が大勢いるはず。自分一人が回ったところで大したものじゃないかもしれないが、自分にできることだってあるはずだ。


「なに、なんかあったら手紙なりなんなりで呼んでくれ。この村のみんなには世話になった、特にレイラには。君がいなければ俺はこの村にたどり着くこともできなかったかもしれない。何かあったらすぐ駆けつけるから」


セイジの言葉にレイラは寂しそうに両手で服のすそを強く握りしめる。もしかしたら着いて行きかったのかもしれない。でも彼女が言ったようにこれから収穫の時期で人手がいる。セイジのおかげで助かった人は大勢いたものの、残念ながら助からなかった人もいるのだ。レイラが欠けてもこの村は困ることだろう


「わかった・・・何かあったら絶対呼ぶから。絶対来てね!約束だよ」

「ああ約束だ。一応俺の行先は村や町の人に教えてから出発していくから行動は辿れるようにはするから」


村長にも明日の朝出発することを伝え、セイジは明日の準備を進める。とはいえこの村でやり残したことは一つ・・・


村人からもらった酒を片手に彼の墓へ向かう、俺が助けられなかった彼の墓へ

「俺は下戸だから酒は飲めないが、一緒の食卓を囲んで飯は食いたかったな・・・」


一緒に酒を飲もうと言った彼、ジョナサンの墓に酒を掛ける。葡萄酒らしくこの村の特産の一つらしい

俺に酒の味はわからないが、故郷の味ならきっと満足してくれるだろう


「俺は一人でも多くの人を救う旅にでるよ。ジョナサン、あの世でアンタに顔向けできるように・・・な」


酒瓶と、隣におつまみになりそうな燻製肉を置く。それじゃあ、またなジョナサン。

みんなを助けられたことに感謝を、ジョナサンらを助けられなかったことに恨み言を。神様、ちょっとは恨まれても文句言わないでくれよな。












初作品となりますがいかがでしょうか?

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