第二王女シャルロッテ王女殿下
エリーゼの説得の効果があったのか、騎士は丸まるセイジへ布団を掛けなおして部屋を出る
が、そのまま宿を立ち去る気はないらしく宿の食堂で待つことに
エリーゼとしてもこの後の事を話したかったのかその後を追いかけ彼女の座るの椅子の前へと腰を落とし、軽くスカートを横に広げカーテシーをした。
「私は騎士になった者だ、そのような挨拶は不要。それで何か話があるのだろうシスター」
「ありがとうございますシャルロッテ王女殿下。話というのはセイジ様についてです」
話ということでシャルロッテと呼ばれた騎士は兜を抜いで、対面に座ったエリーゼに向く
その髪は長いブロンドで、少し第三王女のレティカ姫にも似ていた。顔を見ればあの甲冑の下にはこんな美人がいたのか、と見たものは皆驚くだろう。
「この後王様との謁見とのことですがマナー不問というのはどの程度の範囲なのでしょうか。本人もそれを気にして謁見を望んでいない様子でして」
「そうだな・・・相手は平民として扱ってはいるがその平民らしいマナーというのもある。それすらできないことを範疇に入れての不問と聞いている。幸いある程度の言葉遣いなどできるようだし問題ないだろう」
つまりそれなりにマナー違反があっても大丈夫ということ・・・ただそれだって喜ぶことではない。彼が一番望むのは会わずに金だけもらえたらいい、だろうし
「会わずに済ます・・・というのはやはり無理だったのでしょうか?」
「無理だな、我が王がどうしても会ってみたいと興味津々なのだ。これは止められない、それに面白い人物だと私も思ったしな。何かあればある程度私がかばってやる、レティカを助けてくれた礼だ。だがあまり無礼なことをしてくれるなよ?」
何があっても絶対かばう、などそういった心強い言葉はもらえない。もちろんそんなの信用も彼はしないだろうけど
しかし困った、これで本当に彼はもう王と会うしかない。第三王女を救い第二王女が認め、王が求めているのだ・・・
はぁーと深いため息をつくエリーゼをシャルロッテは不思議そうに見つめる。何をそんなに心配しているのかと
ただそれは結局マナーを習得している者としていない者の埋められない溝なのだろう
もしここにシャルロッテが即席であろうともマナー講師を連れてきていればセイジの対応も少し違ったろう。応対の仕方など付け焼刃でも教えてもらえていれば、心労も多少減っていたのだろう
だが、その配慮はしてもらえないらしい。そのままで出ろ、と。向こうの答えはマナー違反を不問にする、それだけを信用しなければならない
「はぁ~こっそり出て行ったらダメかな」
「ダメですよ、拘束されて登城したいですか?」
憂鬱過ぎて覚めた目で天井を見つめそう呟くと、ドアの外から答えとともにエリーゼが入ってきた・・・
せめてノックして?そういうのマナーでしょ
「朝食後、少ししてから登城の手筈となりましたので。それまでゆっくりしててください」
何だろう、気分は死刑台に上るような気がしてきた。
店主が出してくれた朝食もいつもより美味しく食べられないのはなぜだろう。女性二人と一緒に食べているというのに
周りを騎士数人が囲んでるのが原因だろうか・・・それとも夜食にこっそり買っておいたパンを何個か食べたことが原因か・・・
初作品となりますがいかがでしょうか?
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