起床時間の平均は・・・
美味しい夕ご飯をたらふく頂き、今日もゆっくりと布団の中へと入った。
幸い今日はタダ働きではなく報酬としてナイフも手に入った。服も手に入ったし後は携帯食料と寝袋等の持ち歩く寝具を少々買えばある程度、だけれども快適な旅ができるだろう
こうして着々と王都を離れる準備を進めていたセイジだが、それを許さないのが王都という場所
というか彼は拉致され強引に連れてこられたのだが・・・そんなの知ったことかと前向きに王都を出る準備を進めていく
「おい、起きろ」
朝、そんな彼を起こしたのはエリーゼ、ではなく女性騎士であった。
一瞬甲冑姿の彼女を見たセイジだったが、まだまだ寝ていたいのかちらっと見たら再び目を閉じてしまった。
朝も早くに起こしに来た者がそんなのを騎士が許すわけもなく、さっさと布団をはぎ取ってしまう
エリーゼ同様起こし方は共通らしい
とはいえセイジも頑固なもの、丸まって体温が下がるのを防ぐ防御体勢へと移行しまだ寝る気満々
「おい・・・全くいつまで寝てるつもりだ。宿の者はもちろん騎士ならもう起きている時間だ。」
丸まっているセイジの肩を掴みゆっさゆっさと振りさらに起床を促すが・・・時間は朝の5時、いくらなんでも早すぎると誰もが思うだろう。
職業柄早い者はいてもみんながみんな起きている時間ではない
「あの、まだまだ寝ていたいので放っておいてください」
一度しっかり起き上がり、騎士様の目をまだ眠くて半分しか開かない目でしっかりと見て俺は頼んだ。
頼む、まだ眠いのだ。人間8時間はしっかり寝るべきなのだ
「それは無理な相談だ、お前へ王より直々に回答を頂いてきた。マナーは気にしない故、登城するようにと」
これだ、やはり俺は王様とは合わないらしい。もうイヤになり俺は再び丸まり眠ることにする
この回答がきっと王の寝言なのだと信じて
「あの、申し訳ないのですが今から登城されても王様と会えるのは何時間も後なのでは?双方の時間を有意義に使うためにももう少ししてからでもよろしいのではないでしょうか」
そんなセイジへの助け船を出したのは意外にもエリーゼだった。
もう起きていた彼女はしっかり正装して騎士に申す
いくら王様でもさすがに今の時間は起きていない、さらに朝食や身支度、さらには業務もあるだろうからそれらの中から時間を見つけて謁見のはず。となれば朝も早いこの時間から登城したところで良くて客室、最悪城の外で待つことになる。
となればセイジ様の王への心象は最悪になってしまいかねない。彼に万一がないように、それがエリーゼが常々思っていることだった。
癒しの奇跡を使え、他の聖女とは違い真摯に向き合うその姿勢に彼女はセイジを支えたいと思っている。
患者からもらう報酬もその後の生活に支障がないよう最低限。姿勢も低く横柄な態度はとらない
そんな彼に末永くこの国の聖女様が行かない町や村などを周って欲しい。そのためにはそれなりの地位がいる
神殿に縛りつけられないような地位が
その実績を積み上げて欲しいからこそ、今は患者が押し寄せる神殿でセイジに治療をしてほしいとエリーゼは願っていたのだ。




