この世界の生き方
「色々とわからないことばかりなので、申し訳ないんだがこの世界について教えてもらえないだろうか?」
「そ、それはもちろん・・・ではどこから話しましょうか・・・」
村長からの話はもちろん、自分からもわからないことをいくつも聞いてこの世界の常識を得ることができた。
この国の名前や隣国の名前、それにお金の単位など本当に日常に不可欠な話を
特に興味を惹かれたのは先ほどでた聖女の話だった。
ちなみにこの村の名前はアインツの村というらしい。とりあえず何か聞かれたら出身地はこの村ということにしよう。
どうやらこの世界は聖女とやらが癒しの奇跡を使えて人々を癒しているらしく、ただその聖女というのも普段は王都の神殿にいて地方の者などは一生会うことはないそうだ。いやせっかく治療できるなら王都にずっといるのはおかしいだろうと思うが、やはり王侯貴族が優先なのだろう
今は二人の聖女がいて貴族や民を癒しているらしいが・・・二人もいるなら一人はどっか違うとこでいいだろ
「なるほどなぁ・・・それで他の人は薬草とかで頑張って治してるわけだ」
当たり前なのだろうけどこの世界の医療水準は決して高くない
それなのに薬草のみに頼ってる、もちろん薬草パワーも素晴らしいのだけれども、先日のような大けがには対応ができないのだろう
じゃあ俺がすべきことは・・・まずはこの村でしばらく過ごして色々やってからだな。何をするにも最初が肝心地盤が大事
「それじゃあお昼ごはんもいただいたので早速働きますか!村長、ちょっと村人たちのとこ回ってきますね」
言うが早いかセイジは村長の家を出て村人たちの家を一軒一軒周り歩く
目的はもちろん治療である
「こんにちはー、身体不自由な場所ありませんかー?報酬は払える金額だけでいいので」
先日の怪我だけではなく、診るのは身体全体。特に高齢者などは長年の無理が祟っていたり、病気を抱えていたりもする。せっかく奇跡で治せるようになったんだ、治せるもんは治していきたい。有料で
「え、えぇ。お金取るんですか?そのうちにはあまりお金は・・・」
「何も大金をよこせとは言わないですよ。ただ見ての通り私は故あって裸一貫文無しときてる。ですので患者の皆さんが払えると思っただけでいいです。」
そういうと患者さんからもらえるのはもちろん僅かな金額だったが、それで十分だった。何もここで大金を稼ぎたいわけじゃないから。
ただ金も何もない状況で他人に施しをするほどの余裕なんて無いのよ、服すら買えない状況じゃ何も立ち行かないのだから
そして数人治してみたときに気付いたことがある。この癒しの奇跡だが・・・痛みを取ることしかできないようだ。やってみたところ、病巣を無い状態にはできるものの、骨格が曲がってる状態などはリセットができない。元に戻せないらしい
おそらくあの神が俺をここに呼んだのは、これを治せるようにしろってことなんだろう。
そうでないなら普通に内科医や外科医を呼んだほうが良かったろうから。
「いいか爺さんまずは身体の力を抜いてリラックスだ。今からその固い身体整えてやるからな」
奇跡で患部の痛みは取ったものの、おそらく放っておけば数日で再発する痛み
それを根本的に取るため、爺さんを仮設の寝台に寝かせ施術していく
「なんだこの固い肩甲骨の筋は。こんなんじゃろくに腕も動かんだろうに。ほらこっちの腰もなんだこれ!?」
爺さんからするボキボキ!という音と爺さんのぎゃぁ!という悲鳴におばあさんが心配そうに、というか顔を青ざめながら見ている
知らない人からすれば恐怖でしかないか。
ただ終わった後、気持ちよさそうな爺さんの顔を見てほっとしてるから良しとして欲しい。
男はこれで問題ないのだが、問題は女性だ。女性の身体にべたべた触るのは基本的にNGな世界らしい
まぁ元の世界だって施術以外で触るのはアレなわけだけど
「どうします?施術させていただければその股関節の痛みを根本的に解消できますが。癒しの奇跡だけだと数日で再発しますよ」
残念ながら強制はできない、女性自身と、時に伴侶の許可を得てようやく施術が始められる。
施術して翌日。再度患者の元を訪れ、日々の出来るストレッチを教えていく。ずっとここに居れれば不要なのだろうけど、私はここに居座るつもりはないからだ。
なんせこの奇跡での治療・・・一度で治るため全員治したら私はしばらく仕事がなくなるのだ。
初作品となりますがいかがでしょうか?
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