交渉成立
セイジの要求に使いの者と騎士は困り動きを止めた。
このままセイジを連れていき、不味い展開が起こっては感謝しているレティカ姫が悲しむ
かと言って王命にも近い呼び出しを無視させると王族の沽券に関わる。連れて行く以外の選択はまずない
それどころか国外追放など、させる権利がない。それこそ王の権利だ
となると・・・今できることはただ一つ、一度この話を王へと持ち帰り対応を仰ぐことだけ
「わかりました、それでは一度引きますのでまた日を改めてからお連れすることにします」
はぁと溜息一つ使いの者はドアへと向かって歩き出す
それを見てこちらもドアノブから手を離しその場を離れる
「お前は自分の命が惜しくはないのか」
離れ際に騎士がそう問いかけてきた。確かに声は女性だ
「惜しいからこそ、貴族王族神殿関係者とは関わり合いになりたくないのです」
「不敬な男だ。その命いつまであるかわからないな」
去り際にそう言い残し二人は去っていく、のを俺は後ろを着いていく。ここにいる理由もないからだ
そんな俺を見送りに行ったのだろうと思ったエリーゼと神官長はさらに後ろをついてきた。
ここで放置しててくれれば逃げるのも楽だったろうに。
外へと出るとそこにはなかなかに立派な馬車が一台。王の使いということは地位もそれなりの者のはず。
と考えはしたがあまり深入りするものでもない。
二人が馬車に乗るのと同じく俺は神殿の外へと歩いていく
そんな俺をエリーゼと神官長の二人は追いかけたそうだったが、馬車に乗る二人を無視するわけにも行かないのか歯がゆそうな顔でこちらを睨んでいる
いやいや、俺も仕事しないといけないので。二人は二人でそちらで仕事してくださいよ
さーてまたのぼりでも担いで仕事探しますか。まずは適当な布を買うとこからだ、安いのでいいから古着がいいんだよなー。破きやすいし
なんせ金以外の荷物は神官長の部屋に置いてきた。大した中身ではないとはいえちょっと惜しいが
荷物もって出たら絶対怪しまれたから仕方ないとはいえ・・・
手製ののぼりとか結構愛着あったんだよなー
子爵領での思い出をふと振り返る。あんまり患者は来なかったけど、健康なのはいいことだよ。うん
と過去を振り返ると何も王都で仕事をする必要はないことに気付いた。
そして気づいたなら行動は早かった。まずはやり残しの宿屋の主人を治してからそのまま王都を出よう!
善は急げと軽く小走りで宿屋へ向かうセイジ。そしてそんなセイジの後ろをついてくるものが・・・
その音は静かとは程遠く、ガッシャガッシャと甲冑の擦れる音をさせながら一定の距離で
初作品となりますがいかがでしょうか?
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