帰宅時間未定
コンコンコン・・・護衛の二人に案内され神官長のいるであろう部屋をノックするも返事は無かった。
「ま、まさか神官長の身に何か!二人ともドアを蹴破って中に突入を!」
ハッと後ろを振り返り二人を見るも二人は冷静だった。
「いえ、神官長様なら既に帰宅されている時間かと。もう日も落ちて夜ですし」
あの爺ぃいーー!!拳を握りしめ爺がいたら叩きこんでやりたかったわ!
「二人もそれならそうと先に言ってよ!」
「いや何か部屋に用があるのかと、神官長様に御用だったので?」
言わなかった俺が悪いのだろうか・・・とりあえず溜息混じりに来た道を戻り俺も帰ること・・・に?
「ちょっと待って、俺どこで寝ればいいんだ?宿なんて決めてないぞ!?」
「あー聖女様お二人は神殿二階でお休みになられますがー聖人様の部屋はないでしょうね。どうされます?」
どうされますも何もどうしようかと言ってる王都初体験の人に何を聞くのだ!
「ちなみに二人は?」
「私たちは騎士用の寄宿舎がありますので」
「俺、今日は騎士の気分なんだ」
「ダメですよセイジ様、寄宿舎は騎士用ですので部外者禁止です」
聖人でもダメらしい。本当聖人って何なんだ!
「じゃあもういい、野宿する。王都の道の真ん中で寝てやる」
「そんなことしたら捕まって牢屋で寝ることになりますよ」
「牢屋ってベットある?」
コイツマジか、そう言わんばかりに二人が顔を見合わせて溜息をついた・・・
「近くに宿屋もありますのでそこで泊まられては?」
「あんまり金ないんだけど泊まれそう?予算一泊銀貨2枚までで」
そう言ったら今度は鼻で笑われた!銀貨二枚だって結構貴重なんだぞ!こちとらろくに給料もらってないねん!
「せめて10枚は出さないとたぶん無理じゃないでしょうかね。少なくとも大通りに面した店はそれじゃ無理です。3枚出せばまぁ王都から大分離れた店なら・・・」
どうやら3枚でならあるらしい。この際立地なんてどうでもいいわ
「場所だけ教えてくれればいいよ。で、場所はどのへん?適当に聞きながら歩いていくから」
「歩いて!?たぶん着くころには日付変わってますけど・・・」
王都は・・・広かった。そしてその安宿はかなり遠いらしい
結局馬で運ばれること30分ほど、ようやく俺は宿屋に着いた。
その宿屋は外観は実に赴きがあり(ぼろい)実に味わい深そうないい宿屋だった。
「おや、こんな時間にお客さんとは珍しい。もう飯は終わっちまったが泊まっていくかい?」
対応してくれた店主も眼鏡をした小柄な老人だった。飯がないのは残念だが対応は久しぶりに丁寧にしてもらえた・・・あぁうれしいわ。本当他の周りのやつろくな対応してくれないんだもんな
「ええ構いません。ただ朝ごはん大盛りにしてもらってもいいでしょうか?」
「ははっ構いません構いません、たらふく食べてってください」
こうして俺は宿『ポンポーロ』でしばらく世話になることに
案内されたのは辺境伯領の屋敷のように豪華な部屋ではなかったけれども、休むには十分な部屋と、そして食べやすい雰囲気の食堂に俺は本当に久しぶりに安らぎを感じた。安宿だけに
初作品となりますがいかがでしょうか?
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